記事

【トランプの皮肉な口先加入】

トランプ次期大統領が中国駐在のアメリカ大使にTerry Branstadを指名しました。

その中国。トランプ氏は就任初日に「為替操作国に指定する」と息巻いています。 WSJのTrump’s Chinese Currency Manipulation (トランプによる中国通貨の操作)は、トランプ氏が中国批判のツイートを続けると、「 人民元相場を下落させるためにトランプ氏こそが口先介入をしていると批判するかも」と皮肉たっぷりに伝えています。

ざっくりこんな内容です(全文の翻訳ではありません)。

ドナルド・トランプは、中国が通貨・人民元をドルに対して安く誘導しているとして、大統領就任直後に中国を為替操作国に指定すると言っている。再考が必要だろう。最近、中国は人民元相場を支えるために市場介入をしているからだ。2014 年11月の高値と比べて12 %下落していて、 8年ぶりの安値だ。

皮肉なことにトランプ氏が人民元の下落に貢献しているのだ。中国に対して厳しいツイートをする度に投資家は中国経済のトラブルを察知する。

中国当局は、ドル売りの介入をすることで人民元の下落を抑えようとしている。つまり、トランプ氏の批判とは逆方向に(=元安ではなく元高方向に)操作をしているのだ。その結果、中国の外貨準備は、 2014 年6月の3 兆 9900億ドルから先月・11 月には 3兆500億ドルまで減っている。

ワシントンのシンクタンク= Peterson Instituteはドル安を主張し、中国が人民元を人為的に割安に抑えていると指摘してきたが、そこですら今や人民元はむしろ高すぎて、中国からの資本流出が問題だと認めている。

中国の企業や個人は、人民元相場がこれ以上下落する前に資金を国外に移そうとしている。 Bank of America Merrill Lynchは、資本流出は、ことしの第2 四半期の 990億ドルに対して、第3 四半期は 1130億ドルに達したと推計している。

中国政府は資本流出規制を強化。これまで企業は5000万ドル程度は容易に動かせたが、今では 500万ドルの上限が儲けられている。銀行はこれまで以上に厳しく見られ、大型の海外企業買収には待ったがかけられている。

こうした措置は、資本流出を抑えることはできるが、根本的な問題は、中国が 2008 年以降貸し出しを急速に増やしたことで供給過剰となり、競争力を鈍化させていることだ。

企業にとっては販売価格を下げないと商品が売れず、ローン金利が実質的に上がることになる。2012年に中国の労働人口が減り始めたため、賃金は上げざるを得ない。企業収益は総じて停滞していて、国営企業の多くは赤字だ。

こうした状況になれば、通常は、政府が通貨を切り下げて輸出競争力を上げるものだ。しかし、中国の指導部は、中国ほどの経済規模であればそれが自滅を意味することを分かっている。今の世界経済はあまりに弱く、中国の輸出急増を吸収しきれず、各地で政治的な反発が起きて、保護貿易主義の台頭が相次ぐだろう。

さらに1994年以降の中国経済の急成長の背景には安定した人民元があったことを中国政府は十分に分かっている。安定しているが故に、中国の市民は海外で資金を貯め込むより、自国で投資をしたのだ。

アメリカの政治的な圧力に対して、中国政府は 2005年の1ドル= 8.28 人民元から切り上げ、2014年のピーク時には1 ドル=6.03人民元まで上昇させた(現在は 688 人民元)。

しかし、人民元が上昇し続けるという投機的な動きから行き過ぎた人民元高につながったのだ。人民元相場を維持するには、政策金利を人為的に高く設定する必要があり、国内経済の成長を鈍らせた。

このため、中国政府が2015年 8 月以降取った手は、市場原理によって人民元相場を緩やかに下落させることだ。次の1年を見据えると、アメリカの中央銀行 FRB が政策金利を引き上げ、ドル高となれば、中国は人民元の切り下げ圧力に直面することになる。

トランプ氏による勝利もその認識を加速させていて、皮肉なことに人民元安を招いている。トランプ氏の政策でアメリカ経済が伸びれば、中国からの輸入品の増加につながるだろう。すると、アメリカの対中貿易赤字が増える。仮にアメリカの経済成長率が年率3 %とか4%に達すると、アメリカ企業だけでその需要はまかないきれない。

これらは、アメリカと中国の経済成長は相互依存となっていて、トランプ氏がこれをリセットするのかがいかに難しいかを示す。

トランプ氏は■アメリカの経済成長の加速、あるいは■貿易赤字の縮小を求めることができるが、大統領の期間中に両方を達成することは考えにくい。中国大使に指名されたアイオワ州知事の Terry Bernstad はこれを理解しており、米中貿易の推奨者でもある。

もしトランプ氏が中国と新しい関係を築きたいなら、われわれのアドバイスはこうだ。安定した外国為替相場と同時に、知的財産権などを巡り中国で不当な扱いを受けているアメリカ企業の状況の改善をセットにして交渉することだ。必要なのは、中国製品に45 %の報復関税を課すことではない。

トランプ氏が今後もツイートを続けるようなら、中国政府は、人民元相場を下落させるためにトランプ氏こそが口先介入をしていると批判するかもしれない(if he keeps tweeting, the Chinese may accuse him of talking down the yuan)。

あわせて読みたい

「ドナルド・トランプ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    子宮頸がんワクチン 男も接種を

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  2. 2

    よしのり氏「グッディ!」を評価

    小林よしのり

  3. 3

    「日本が中国に完敗した」は暴論

    文春オンライン

  4. 4

    NHK契約義務なら相応の番組作れ

    中田宏

  5. 5

    貴乃花の妻 女将からは評判最悪

    女性自身

  6. 6

    PEZY関連財団は元TBS山口氏実家

    田中龍作

  7. 7

    トイレ行列増加の原因は働き方か

    山本直人

  8. 8

    亀岡市暴走事故の加害者を直撃

    NEWSポストセブン

  9. 9

    庵野秀明 学校嫌なら逃げていい

    不登校新聞

  10. 10

    立民・枝野氏「法人増税が必要」

    ロイター

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。