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JR北海道の幹線は、国防や大災害への備えであることも考慮せよ - 寺井 融

政策提言委員・アジア母子福祉協会常務理事 寺井 融

 JR北海道が運営する鉄道の約半分にあたる、13区間1237㌔の経営維持が困難になってきていて、今後の存廃は論議の上で決定されて行く、と発表された。

 もともと国鉄の分割民営化の際、本州3社(JR東日本、JR東海、JR西日本)に比べ、島3社(北海道、四国、九州)の経営環境は、厳しいものになると見られてきた。うち九州は、新幹線の開業や豪華観光列車の展開も成功させて、株式を上場させるまでに好転させてきている。しかし、北海道、四国の2社は、依然として厳しい経営状況が続く。

 特に、JR北海道。以下、5点の問題がある。①北海道はカバーする面積が広く、人口は約538万人、人口密度が65人(全国平均339人=2015年調べ)と少ない、②道内の道路は整備されていて、しかも札幌と拠点都市を結ぶ空路(例えば、新千歳・稚内間や新千歳・釧路間など)も充実している、③札幌市の市営地下鉄がゴム車輪であり、JRとの相互乗り入れが実現していない、と言った要因のほか、④JR北海道の労組が、革マル派の影響が強いと言われている旧動労系のJR総連が大半を占めていて、労使関係が厳しい、⑤道産子のアバウトで大陸的な性格(余談ながら斜里郡小清水町生まれの当方も、その一人)もあって、安全認識が緩い傾向にある。ずさんな管理体制とも相俟って事故を起こしてきた、と言った、諸事情が大きいものと思われる。

 〝道産子気質〟は、なかなか変えられるものではない。問題は、労使関係である。JR全体の労働組合勢力図で言えば、旧鉄労(旧同盟・民社党)系や旧鉄産労(旧国労穏健派・社会党)系らが母体のJR連合と、旧動労系のJR総連が、勢力を拮抗させており、「箱根から西がJR連合、東がJR総連」が強い(北海道に関していえば、総連7000人対連合600人)と言われている。そんな状況の改善が、まず必要であろう。

 それらと共に、北海道の鉄路をどうするのかを検討する場合、経済合理性の追求もさることながら、国防や大災害に備えであることも忘れてはならない。これが、第一である。

 名寄から稚内、釧路から根室、旭川から網走といった基幹路線も、廃止候補にも入っている。もし、隣国ロシアとの間で、戦端が開かれてもしたら、どうなるのか。相手は、かつて東北海道の領有を企図し、最近ではクリミア半島の強奪を果たした国なのである。

 また、東日本大震災のとき、津波で仙台国際空港が一時、使用不能となった。本来、東北自動車道の一部が滑走路仕様となっていれば、問題が起きなかったはずである。東京ほか大都市には、深く掘られた地下鉄が走っている。これら路線についても、核シェルター機能を付与しておくべきである。国土や交通網の整備は、常に国防や大災害への備えの観点が必要なのだ。それらを踏まえて、北海道の基幹鉄道についても検討していただきたい。たとえ支線や枝線がバス路線への転換を進めるとして、幹線の存廃は、別の視点が肝要なのである。

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