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毎月勤労統計に見る賃金動向は上昇の気配なし!

本日、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+0.1%増と、生産に歩調を合わせてほぼ横ばいだった一方で、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.3%の伸びとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質賃金、10月は横ばい 天候不順で物価上昇
伸び率8カ月ぶり低水準

厚生労働省が6日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて横ばいだった。増加が止まったのは9カ月ぶり。天候不順で物価がやや上昇したことで、名目での小幅な増加がかき消された形だ。

名目にあたる従業員1人当たりの現金給与総額は26万6802円と、前年同月比0.1%増加した。増加は3カ月ぶり。名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は0.3%増の24万655円で、名目賃金の増加をけん引した。基本給の増加は4カ月連続だ。

内訳をみると一般労働者の所定内給与は0.2%増だった。一般労働者の所定内給与は2年6カ月連続で前年同月を上回っている。パートタイム労働者は0.3%増だった。業種別では人手不足が深刻といわれる建設業で現金給与総額の増加が目立った。

実質賃金は名目賃金から物価上昇分を差し引いて計算する。10月は天候不順で野菜などの生鮮食品の価格が高騰し、物価全体を押し上げた。10月の消費者物価指数(CPI)は、持ち家の帰属家賃を除く総合で前年同月比0.1%上昇していた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。
上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、1番下の3番目のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。
いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。


所定外労働時間の動向については、最近ほぼ横ばいを続けている鉱工業生産指数と整合的に動いていると私は認識しています。雇用や労働については生産の派生需要ですから、当然といえます。
また、賃金については基本的に名目で私は見ているんですが、いわゆる恒常所得部分の所定内賃金については、ほぼ安定的に前年比でプラスを記録するようになったと受け止めています。

ただし、引用した記事にある通り、消費者物価上昇率でデフレートした実質賃金は、天候不順に起因する野菜価格の高騰などから、最近時点で急ブレーキがかかっているのも事実です。すなわち、所定内給与だけでなく現金給与総額で見た実質賃金の前年同月比は、今夏のボーナスが好調だったこともあって、6月+2.0%増、7月+1.8%増の後、8月+0.6%増、9月+0.8%増と伸びを縮小させて、直近統計の10月速報ではとうとう前年から伸びゼロの保合いになってしまいました。このあたりが昨日公表された消費者態度指数に現れたマインドの低迷にもつながっているのであろうと私は考えています。

ただし、上のグラフの一番下3番目のパネルを見て、フルタイムの一般労働者の伸びが、速報段階ながら、とうとうパートタイム労働者を超えました。かねてよりこのブログでも主張している通り、ほぼほぼ完全雇用に近い人手不足の現在の労働市場では、賃上げではなく正規雇用の増加という雇用の質の改善の方向に進むのかもしれません。でも、正規雇用の増加とともに、賃金も上がるのが何といってもベストであろうと考えるエコノミストは私だけではなかろうと思います。

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