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WELQは対岸の火事ではない

最近話題のWELQの件、

①リライトという名の著作権侵害(法律上の問題)

②薬事法違反の根拠のないいい加減な記事を掲載(法律上の問題)

③アクセスを稼ぐことにしか興味がなく、医療というセンシティブな話題を扱っているのに、必要な正確性や客観性を担保する努力がない(倫理上の問題)

 という3つのポイントがあるものと認識している。

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WELQ、というかDeNAのやったことについては、BuzzFeed Japanやまもといちろう氏の記事が非常に詳しいので、そちらを読んでいただければと思います。

さて、①、②は法令違反(の可能性が濃厚)で、言い逃れできないので議論の余地はないと思います。

③ですが、ちょっと微妙な問題で、企業としてのプライオリティがどうかというのは、それ単独では価値観の問題なので、一般論としてはそこを批判するのは結構微妙というか、スジ悪だなと思っています(一般論として)。

ただ、スジ悪だなと思ってはいながらも、今回の件は「商売をする上で倫理的にどうあるべきか」の教材として、ちゃんと考える必要があると思っています。

DeNAという企業は給与水準も高く、学歴も高いエリートっぽい人をこれまでかき集めてきたわけで、ある種の「インテリジェンスが高い人たち」が集まっていたはず。そういう集団が、デリケートな取り扱いが必要な医療に関する情報を、非倫理的かつイリーガルな方法で取り扱ってしまったというところに、何かゾッとするものを感じてしまいます。

もしかしたら、当事者たちは「塀のギリギリこっち側」だと思っていたのかもしれません。「リライトなんてどこのキュレ―ションメディアでもやってる」「免責事項があるから読んだ人の自己責任」「みんなやってるからこっちだけに火の粉が飛んでくることはない」なんて判断があったんだろうと想像できる(あくまで想像ですか)。

今回の件、「SEOのルール中でどうやって効率よくアクセスを集めて広告で利益出すか」に特化した結果、基本的なコンプライアンスが軽視されていたというところに特徴があります。法律は日本国内で生きている以上、SEOよりも上位の絶対的規範であるはずが、なぜかそれが遵守されていない。

こういう行動はDeNAに限った話ではなくて、一定の業界ルールみたいなものの中で何かをしようとしたとき、その業界ルールに変にアンカリングされてしまって、本来は業界ルールよりも遵守しないといけない基本的なものを軽視してしまう、というのは結構起こっている事態なんじゃないかと思います。

例えば労働基準法も正にそうで、人を働かせる上での基本になるルールでありながら、実際には「顧客の要求を断ってはいけないから徹夜してでも仕上げろ」「みんな休んでるんだから一人だけ有休とるのはダメだ」とか、ローカルな"規範"にドライブされてしまう。

ローカルな競争ルールに没入していくと、そのルールの隙を見つけたり、その中で「効率的」「最適」な方法を見つけたりしてしまう。そしてそういう「最適な方法」の大体は、ルールの趣旨に照らして考えるとちょっと微妙だったり、その競争ルールとは違う規則を逸脱しているものだったりする。

「最適な方法」を見つけてしまうと、それを試してみたくなる気持ちに駆られるが、それが社会規範に照らしてどうなのか、ルールの趣旨に照らして適切なのか、等々の点で自制して行かないと、どこかで身を滅ぼしてしまうことになる。

WELQの件は、自分とは無関係な「対岸の火事」ではなく、自分も一歩間違うとそうなってしまう、「麻薬」みたいなものだと認識することが必要ではないでしょうか。

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