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ポスト朴槿恵でさらに漂流しそうな韓国

途上国型の経済発展には成功したものの、近代国家への脱皮ができないままでいるのが韓国です。財閥経済が揺らぎ、政治も朴槿恵政権の内部腐敗に民衆の怒りが大規模なデモとなって、時を経ても収まるどころか、5回目の26日のデモは最大規模となりました。
それを受けてでしょうか、朴槿恵大統領から国会に進退を委ねるという奇策が発表されました。

この先、どのようなカタチになるにせよ、朴槿恵体制は終わり、韓国版のトランプと呼ばれ、世論調査で支持率が高まってきている野党の李在明(イ・ジェミョン)市長や与党の高藩国連事務総長など、焦点は誰がポスト朴槿恵を担う大統領になるのかに移ってきます。

しかし、誰が大統領になっても韓国の厳しい状況は変わりありません。

中国は、高高度防衛ミサイル(THAAD)配置決定に警戒心を高め、中止を求めて厳しい態度を取り始めています。 韓流コンテンツを排除したり、昨年より韓国への旅行者を20%以上減らせという指針を旅行会社に出したり、突然、規制基準を変更し韓国製バッテリーを締め出すなど、じわじわと陰湿な韓国いじめがはじまっています。

米国はトランプが次期大統領に決定しましたが、韓国には逆風となってきます。米国が保護主義を強めれば、輸出に支えられた韓国経済にはマイナスとなり、米国と中国で貿易摩擦が起これば、中間財を供給する韓国産業にも影響してきます。

そしてトランプ次期大統領は、選挙戦中に、在韓米軍の撤収を主張し、北朝鮮が韓国や日本と戦争しても米国は介入しないとさえ言い切っています。かならずしもそうならないにしても、米国は朝鮮半島への関与を弱める流れにむかっていく可能性が高いのでしょう。

そんな韓国の命運を左右するタイミングで政治空白が生じてしまいました。 韓国は北朝鮮の脅威にどう向き合うのかで新たな選択が求められてきますが、難しいパズルです。フィリピンのドゥテルテ大統領のように米国と中国を振り回すことができればいいのですが、韓国は貿易依存度が高い点から見ても、また北朝鮮の軍事的な脅威に晒されている点でもドゥテルテ大統領のように振る舞うことはできません。

韓国は米国と中国の板挟み状態になってきます。しかもどちらもが大きな輸出相手先で、両国との安定した関係を維持することに韓国経済の死活がかかっています。 もし次期大統領が中国をアジアの盟主として仰ぎ、朝貢外交路線をとれば、中国との蜜月時代が戻ってきます。

しかし、問題は中国産業の成長によって、次第にさまざまな分野で、中国と韓国は競合関係になってきていることです。 部品や素材などの中間財を韓国から輸入し、加工して欧米に輸出する産業の構造も、国内で調達する流れが起こってきています。その影響を受けて、拡大が続いてきた韓国の対中輸出は2014年に微減に転じ、2015年は前年比5.6%減と落ち込みました。

朝貢外交を進め、属国化すれば、下手をすると財閥経営破たんの空洞に中国資本が入り込み、知的財産などを根こそぎもっていかれる恐れもでてくるのでしょう。 しかも韓国が中国への朝貢外交路線に戻れば、アジア地域の力の均衡に大きな影響がでてくるだけでなく、米軍駐留費の大幅な負担増、さらに進めば韓国からの撤退も現実味を帯びてくるかもしれません。さらに韓国にとってのリスクは、トランプ大統領が、12年に発効した米韓2国間の自由貿易協定(FTA)の見直しを示唆していることです。

いずれにしても、韓国の次期大統領がそういった困難な状況のなかで人気取りを狙うなら、「反日」色を強めることがもっとも手早く、日韓の軋轢が高まる可能性が高いのでしょうが、はたしてこれまでと同じように慰安婦問題が効くのかは未知数です。

韓国は漂流し始めますが、日本もその影響を受けるものと思います。しかし、目先に右往左往すれば、日本まで漂流してしまいかねません。日本が必要だと各国に認識される立場や関係をどう築けるのかですが、それを支えるのは、経済や産業の強さであり、知的財産や文化の魅力、また日本の平和主義なのでしょう。

その意味で、日本の外交も産業政策も、長期ビジョンに基づいた戦略性が求められてきますが、もはや日本は開発独裁体制で伸びる段階になく、そのためには、もっと野党がしっかりしてくれることが必須条件になってきます。しかし現実はなかなか最大野党の民進党を進化させる人材がでてこないというのが日本の不幸かも知れません。

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