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日本の物価はいまだ前年比マイナスの理由

 25日に公表された10月の全国消費者物価指数は、総合が前年同月比プラス0.1%と前月のマイナス0.5%からプラスに転じた。これは生鮮野菜の値上がりが大きく影響し、宿泊料の上昇も寄与した。

 日銀が物価目標としている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比マイナス0.4%となり、前月のマイナス0.5%からはマイナス幅は縮小しているが、いまだマイナスを脱していない。マイナス0.4%という水準は日銀が量的質的緩和を決定した月である2013年4月のマイナス0.4%と変わりはない。

 下落に寄与したのはガソリンなどエネルギー価格であるが、その下落幅が縮小しており、マイナス幅は縮小している。WTI先物の価格を1年前と比べるとすでに上回ってきており、今後エネルギー価格は前年比でみるとプラスに寄与してくると予想される。

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は、前年同月比プラス0.2%となっている。日銀が独自に公表している基調的なインフレ率を捕捉するための指標(速報)によると、総合(除く生鮮食品・エネルギー)は 9月の0.2から10月は0.3となっている。

 原油価格の下落の影響は次第に後退するとみられ、消費者物価指数(除く生鮮)はいずれプラスに転じてこよう。もちろんこれは日銀の金融緩和の成果ではなく、原油価格の動向など外部環境の変化によるものである。

 日銀は物価の基調はしっかりしていると主張するが、前年比ゼロ近傍で日銀の物価目標たる消費者物価が推移している以上はその主張は正しくはないということになる。もともと日本の消費者物価指数は帰属家賃などの影響で上がりづらい面があるとともに、原油価格や為替市場動向に大きく左右される。

 2013年4月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.4%となっていたが、それが1年後の2014年4月にプラス1.5%にまで上昇した。これは2012年10月頃の原油先物価格が90ドル近辺、ドル円が80円割れとなっていたものが、1年後の2013年10月にそれぞれ100ドル、100円近辺上昇した影響が大きい。

 ドル円はその後も上昇し2015年には一時120円台をつけるが、原油先物は2015年に50ドル割れまで下落する。この原油価格の下落が消費者物価指数の前年比を押し下げた。結果を見る限り、日本の消費者物価指数は主に原油価格の動向に左右されがちで、そこに為替による影響もありうるといったところか。

 そこにどれだけ日銀の金融政策の余地がありうるのか。もちろん賃金が抑えられ、消費が上向かないなどの上昇抑制要因もあろう。しかしそれが日銀の金融政策で変えられるものではない。まったく効果がないとは言わないが、金融政策はあくまでその補助的な役割でしかないはずである。

 大胆な金融政策でも物価は変えられないし、世界も変えられない。金融政策はあくまで金融市場の不安を取り除くといった役割程度の認識とすべきで、過度の期待は禁物ではないかと思われる。

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