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なぜ低い、日本の労働生産性

戦国時代の小説を読んでいると人々が誰につくか、その身代わりの早さに驚くことも多いのではないでしょうか?誰が天下を取るか、その行方次第で諸国の武士たちの忠義は豊臣であったり、徳川であったりするうえに、諜報が入り乱れ、国は噂や世の流れで振り回されていたことが実に面白く記されています。

日本最大の合戦だったとされる大坂の陣。特に夏の陣はわずか3日で終わったもののその激しさでは他を寄せ付けません。諸説ありますが、豊臣側の戦力は徳川方15万の半分にも満たない上に、秀頼は頼りなく淀殿など女方が実権を握る状態でありました。それにもかかわらず、2日目の合戦では豊臣方は圧倒的な強みを見せ、一時は家康を脅かしたともされるその理由は負けがわかっているいくさにおける圧倒的迫力だったとする書もあります。

豊臣方の勢いで戦意消失しかかったほどとされる徳川方は数で押しただけで戦術、戦力としてはどうだったのか、という見方もできます。現代風に言えば、所属意識だけでは実質負けであり、組織力と後に引けない気迫が作り上げる戦いが勝敗を左右するとも言えます。

学卒の若手社会人の離職率が高いという話題を先日提供させていただきました。今なお就活をしている人は業種、業界関係なく手あたり次第廻れるところを回る、という必死の形相となっていると聞きました。志望動機が不鮮明なまま就職すると「俺の期待と違っていた」と辞めるケースは多いものです。新人にとって「俺の期待」が何を意味するのか不明ですが、思うに「居心地の良さ」ではないかと察しています。

また、日本では作業量のボリュームもあることから時として人海戦術をとることも多いのですが、一つの作業に10人、20人と投入されれば各々の緊張感は薄くなりがちです。「言われたから来た」「応援だから細かいことはわからない」といったコメントはよく聞こえてくるものです。私はこの辺りが作業効率が上がらない一つの理由ではないかと感じています。

つまり、戦国時代に強そうなところにつく、という発想があるのと同じで就職も安定している、福利厚生がいい、給与や賞与が他に比べて上といった表面的な理由で選んでいるケースが多いのではないでしょうか?

日経ビジネスに気になるデータが示されています。「主な国の社員の会社への信頼や仕事への熱意」を調べたデータ(出所AONヒューイット)によるとインド71%、中国70%、アメリカ64%に対して日本は39%と主要国では圧倒的に低いとされています。これは「やる気度」のチェックですから日本人が勤勉だという認識が覆されてしまうとも言えます。もちろん、どのように分析したのか、そのプロセスがわかりませんし中国が70%というのはにわかには信じがたく、このデータだけを鵜呑みにするつもりは毛頭ないのですが、そのようなトレンドがあり得るかもしれないと思っています。

多くの組織の場合、誰か秀でている人が引っ張るケースは多いものです。社内外で誰もが認める功績をあげることでリーダーとしてのポジションを得て、小さなグループのリーダー、複数グループのリーダー、さらには組織の上層部という形態をとります。戦国時代も同じ、武将が多くのにわか戦士を引っ張るのですが、末端の士気は十分ではないこともしばしばです。

外国における労働生産性が高いのは個人主義であり、アメとムチの世界であるからでしょう。つまり、個人の実績次第で給与は社長より多くなるケースもまま、ありますし、そのような社員は馬車馬のように働きます。そこには組織の発想はありません。

では労働生産性が低い日本が一概に悪いのか、といえば私はそうとも言えないと思っています。それはアメーバのような小さな組織は出来ない者を引っ張り上げる努力をし、連帯責任制という発想を持っているからです。つまり、偏差値で70は取れないけれど30の人間も少ないのです。日本の労働生産性は世界のそれと比較すれば50かも知れませんが、国家全体でみればそれの方がメリットがある場合も多いということです。

日本方式の組織の活力を考える場合、組織の偏差値を上げるために目的意識と責任感を明白にするべきだと思います。その方法の一つとして組織への褒賞は有効かもしれません。私が建設会社に務めていた際にも毎年「社長賞」なるアワードがあり、優秀な現場には所長宛に100万円単位の褒賞が配られました。それを現場内で山分けする仕組みでこの場合は若手など末端までなにがしかのインセンティブがあったのです。

日本はアメとムチをもう少し、うまく使い分けることで労働生産性を上げることは可能だろうと思います。かつては日本の地位は世界の中で圧倒的でしたが今や東アジアの一国であり、インドなどからの追い上げもあり、日本の独自性をいかに発揮するかにかかっています。だからこそ、知恵を絞りだし、それを実行することが日本の強みを更に増す手段ではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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