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日本再興隆の切り札となるのかTPP

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 恒例となった「時代を象徴する一文字」や「流行語大賞」などが、本年も選考される時期を迎えることとなったが、筆者としては、近年の世界の政治・経済・世相を象徴する一文字としては、あらゆる面で、大自然の摂理や真理、物事の原理・原則を忘却し逸脱して秩序が乱れた「狂」の時世ではないかと感じている。

 例えば、今年も全国各地で展開された、まるで大人の仮装パーティーのようになった自然発生的、無統制・無秩序で、本来のケルト文化に起源を発するキリスト教の諸聖者の功績を讃える厳粛な祝祭行事で、これに見習い、子供達にも慈善行為や地域交流活動の大切さを体験学習させるために参画させ、街を練り歩き各戸を訪問して募金活動を行い、そのご褒美としてキャンディーなどを戴いたという意義や目的を知らず学ぼうともしない馬鹿騒ぎなどは、まさにこの「狂った世相」を象徴する典型的な現象といえよう。

 ハロウィンの行事はその後アメリカにも波及し、カボチャの良い出来具合を競った11月の農業収穫祭と混合され、それに商業主義が結びついて、現代のような仮装行列化し、日本では更にこれに輪をかけて、幼稚化した大人の仮装ファッションの馬鹿騒ぎパーティーとなったものである。

 古代中国趙の賢聖で儒者でもあった荀子は、「学は已むべからず(学問には、これで終了・卒業という限度はなく、生涯・永久に継続して時代に適応する学習を修めねばならない)」、「道義重ければ、即ち王公を軽んず(自分の行いが道義にかなっているという自信があれば、王公貴人や大金持ちの前に出ても、決して怯み、卑屈になることはない)」、「肉腐りて虫を出す(根本が腐って壊れると、全てが狂い、禍害が次々に起こる)」、「福は禍無きより長きはなし、幸せは禍の無い安定した生活の永続にある」などといった、平易ながら含蓄のある名言を多く遺しているが、そういった社会が荒廃する予兆として、「その”装(男性社会時代であったので主として男性の服装を意味する)は華”(過剰装飾の虚飾で華美になること)、その”容は婦”(同じく男性の容姿や言動が女性的になり、質実剛健さや覇気が失せること)、その”志は利”(志や幸福の尺度が拝金主義、自己利益至上になること)、その”俗は淫”(社会風俗が淫靡になること)など、以下は省略させていただくが7項目を指摘している。

 こういった先賢の貴重な体験からの示唆に鑑みて現代の世相を冷静・客観的に考察してみると、超大国のアメリカも中国も、日本も、EU、ロシア、イスラム諸国、いや世界中が、政治・経済・産業・社会など、あらゆる面で、その道理や根本理念を亡失・逸脱し、目先の自己利益追求に手段を選ばずで突っ走り、全人類が、阿漕なもっともっとという過剰欲望からの不当な競争に責なまれ、財物的豊かさの反面での精神的荒廃、貧窮と混迷をを招いているのではなかろうか。

 本稿でも度々強調し続けていることだが、好ましい政治・経済の真の理念や目的は、あくまでも最大多数者の最大幸福の実現にあり、そのためには、需要と供給の均衡を図り、所得の適正分配を考え、大企業や資本家優遇、弱者切捨てという不公正な政策的誘導・支援によるに極端な貧富格差の増大化や、自国・私利収益至上主義、市場万能主義、恵まれた環境にある大国に都合が良いグローバル・スタンダードの威圧的押し付けなどを根本的に改め、排除する必要があろう。

 自由・民主主義や社会主義においても同様で、特定の優越的立場にある者主体の自由や統制であったはならず、真の自由とは、自己の自由だけでなく相手の自由選択も尊重して認めるものでなければならず、その代わりに、自由の代償は自己責任と良識による自律が大切なことも理解すること、また民主主義も、また民主主義も、ただ民衆の声を聞く機会を代議制で儲けましたという形式的手続きを踏むことで良しとせず、大多数を占める民衆の声なき声を積極的に吸い上げ、小数でも傾聴に値する異見には耳を貸し、それを政策に反映させるものでなくてはならない。

 しかしながら現在の民主主義政治、とりわけわが国の場合は、形式的な制度上の民主主義でしかなく、今次の2020年東京五輪の施設建設や東京中央市場の豊洲移転問題の例でも明らかなように、結論に導きたい政策の骨子は既に為政者側で確立し、密かに着手準備までも進めているのであり、手続き上のセレモニー的な審議が済めば、多数で押し切り裁決するという、「民は由らしむべし、知らしむべからず」の体制なのである。

 この言葉の真意は、「一般民衆の全てを、難しい理屈で説明し完全に理解を得ようとすることは至難なので、為政者たるものは、あの人のいうことや実行する事なら信頼できるので任せるという、言行一致の信用こそが大切である」と説くもので、「愚衆には情報の共有化などで余分なことを知らせる必要はなく、ただ従わせ協力させれば良い」ということではないのだ。

 日本の為政者の手法は、中央政庁から地方自治体、民間企業に至るまで、全て法案を通すために、最初は民衆の納得と支持を得るための美辞麗句で誤魔化すが、その裏では既成事実を着々と積み上げ、法案が通れば豹変し、その後で厳しい条件や実態が暴露しても、民主的な議会審議で一旦承認を得たことや既成の事実を、今更変更することは出来ないと、微調整だけでなだめて、強引に推し進めるという狡猾さである。

 今回の衆議院の環太平洋連携協定(TPP)特別委員会でのTPP承認案と関連法案の審議でも、野党の慎重審議継続、せめて数日後の米国大統領選挙の結果を見てからでも遅くないのではとの要求も無視し、情報開示も外交上の秘密と不十分なままで、自民・公明の与党と日本維新の会の数の力による賛成多数で承認を強行採決し、今後衆議院本会議と参議院での通過も目ざすという与・野党の猿芝居も、いずれも党利・党略からの論争が主体であり、国民にわかりやすく、生産者と消費者、輸入業者と輸出業者、他国に攻め込み勝てる自信がある強者と、他国から攻め込まれて苦境に立たされる弱者など、利害が相反する双方の立場に立ったメリットとデメリットを対比した説明や、具体的な対応策などの審議と説明が不十分だったこと、一番深刻な問題を抱える農業を所管する農水産大臣の度重なる失言があっても放任したことなどは、まさにその通りであった。

 そもそもTPPとは、2006年にシンガポール、ニュージランド、ブルネイ、チリの4カ国で締結した4P協定が源流であり、東南アジア地域の経済発展途上国を主体とした貿易の自由化、関税の撤廃など経済発展活動のルールづくりをしたもので、日、米国などは、既に多数国と個々に自由貿易協定を結び、自由貿易圏も設定していたので参加を見合わせてきたが、その後中国の台頭とアジア覇権の拡大が進んだことから、国際戦略的見地もあって、遅れて参加し、その圏域も、中国を除き、広く南北アメリカ大陸の太平洋周辺諸国にまで拡大させることとなり、5年半にも及ぶ長く複雑な利害の調整と交渉を重ねた末に、2015年には、上記の国の他にベトナム、ブルネイ、メキシコ、カナダ、ペルー、チリ、オーストラリアの環太平洋諸国合計12カ国で構成され、ようやく交渉が決着し、後は各国内での承認・批准が得られると、協定が正式に成立、発効、実施されることとなる。

 所謂地域自由貿易協定の一つだが、わが国はこれまで既に、スイス、インドネシア、インドなど、アジア圏以外の国も含めた15国とのFTAを結んでいるので、日本政府としては、FTAより広い分野での連携を意味する言葉として「経済連携協定(EPA)」を正式名としている。

 環太平洋経済連携協定(TPP~Trans Pacific Partnership)12カ国だけでも、その国内総生産の合計は世界全体の約4割、貿易量は約2割5分を占め、世界各地域のFTAの中でも最大級の大型通商協定となる。

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