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「不正対策」は今年の隠れたトレンド

2016年の共通した特徴の一つに不正対策があると思います。大所高所からこの点を捉えたものはあまりないと思いますので取り上げてみたいと思います。

フィリピン、韓国、アメリカ、中国、パナマそしてインド

この6つの国で今年起きた共通の特徴とは何でしょうか?

ドゥテルテ大統領は麻薬取引にかかわった犯人に容赦ない厳しい姿勢で臨みました。
朴大統領は友人との公私混同のやり取りで窮地に陥っています。
クリントン氏はメール問題が最後の最後まで響き、大統領のポジションが手からするっとこぼれました。
習近平氏は不正蓄財をしたとされる幹部を次々と捕まえ、一部の層を震撼させました。
パナマの法律事務所から漏れた膨大な情報は富豪の実態を見せつけました。
モティ首相が高額紙幣をわずか4時間のノーティスで使えなくしたその理由は不正撲滅でありました。

私は世界で不正が増えたとは思っていません。世界で不正は常に起きています。一方、国家元首や国民はそれを懲らしめることに力を注ぎ、成果を上げています。このトレンドの背景とは何でしょうか?

一つには情報が広く隅々まで届きやすい状態がより進んだ点であります。また、ウィキリークスやパナマ文書、さらにはクリントン氏のメール事件のようにアッと驚く事実が一般社会に瞬く間に広がる情報インフラが完備されたことがあります。

二つ目に99%と1%の壁が明白になり、ステップアップが難しくなった点を上げておきます。99%の枠から飛び出すには実力でのし上がるか、運をつかむか、不正を働くかしかありません。かつて戦争映画で脱走ものの作品がずいぶん制作されヒットしました。スティーブ マックイーンの「大脱走」はその頂点に立つ映画の一つだと思いますが、枠=捕虜収容所から逃げ出すためにひたすら地下の秘密通路を堀り続け、脱走を試みるものの最後までうまく脱走できたのは運をつかんだ男だけというストーリーでした。

三つ目にルールがやたら増えたことでしょうか?政府と不正を犯す者とはいたちごっこ。結果としてルールがどんどん複雑化し、一般人には訳が分からない状態になっています。良い例が日本の国税でしょうか?今、相続税を手で計算しようとすると大変時間がかかります。あまりにも複雑怪奇なルール、さらに変更に次ぐ変更を重ねたからです。

世の中はこれらにストレスを溜めています。ここにがんじがらめになっているといってもよいでしょう。1-2年前、日本では飲食店に勤める若い従業員がバカな行為をYouTubeにアップし、問題になりました。池井戸潤氏の小説やドラマが大ヒットしたのは勧善懲悪的なストレス発散でした。これらは日本のみならず世界のトレンドだと言い切っても過言ではありません。

最近日本で話題になっている本に「住友銀行 秘史」があります。この本の内容については書きたいことがありますので改めてその時に申し上げますが、なんでこんな本が瞬く間に10万部も売れるのか、不思議でありません。しかし、それを紐解くと住友銀行の不正を暴くという実に明快でわかりやすい答えが出てくるのです。

住友銀行の天皇、磯田一郎やイトマン事件に絡んだ人々の不正を当時、担当者であった著者が実名で書いた書物である点はリークと同じで価値があるのでしょう。正直、一般人が読んでも絶対に面白くない本です。保証します。ある一定の知識なり時代背景なりを知らない限り467ページを通読するのは苦痛のはずですが、書評は非常に高いものを得ています。

不正を暴くのは気持ちが良い、という社会の背景はわかったとしても本当にこんなことでよいのか、という気持ちもあります。何故悪い奴がいるのか、といえば社会から落ちこぼれるから、であります。本来であれば、落ちこぼれる人を助けながら前に進んでいくのがあるべき姿です。しかし、我々の時代から今日に至るまで偏差値という明白な仕切りラインで進学できる学校は区別化、差別化され、大手企業に就職できる道は狭く、正社員になれば何があっても我慢しないと非正規に転落する怖さを抱えています。

やり直しも効かないエリート優先主義が作る社会の歪みは上述の国々だけではありません。日本も欧州もアジアも南米も皆同じなのです。人々の仕事はマニュアル化と効率化の追求、さらには監視カメラで見られている緊張感があります。

不正対策は重要ですが、不正がなくなるような社会を作ることがもっと大事だとはどの国家元首も指摘していません。これは大いなる手落ちではないでしょうか?何か世の中がとても病んでいて、歪んでいる気がいたします。

では今日はこのぐらいで。

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