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消費増税は日本経済の長期停滞の引き金となるのか

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目 次

  • 1 長期停滞の可能性
  • 2 米国の1937年大不況
  • 3 日本に1937年型大不況長期停滞を起こしてはならない
  • 4 消費税増税判断のミスと「景気条項」
      • 4.0.1 政権にかかわりなく進んだ増税の歩み
      • 4.0.2 三党合意文書で「その時の政権が判断すること」
      • 4.0.3 懲りない学者・評論家たち
      • 4.0.4 われわれが提案した景気条項はデフレ脱却を「条件」としていた
      • 4.0.5 手続きを法定することが重要
      • 4.0.6 クルーグマンの指摘を先取り
  • 5 将来に希望が持てなければ「長期停滞」につながる

長期停滞の可能性

前回、企業の収益はよいのですが、その企業で働くわれわれサラリーマン・消費者の景気が悪いことをお伝えしました。消費増税で、サラリーマンや消費者が使うお金(個人消費)が構造的にして減ってしまったのではないかと考えています。

私は6年前の私自身の参議院選挙でも、菅直人総理が、なんら党内手続なしにいきなり選挙戦直前に「消費税の増税が必要」と発言し、増税に前のめりになる中、「デフレから脱却できていない中で、つまり景気が悪い状況での消費税増税は経済に大ダメージを与える」と反対を明言しました。あの選挙戦で有権者に訴えかけたときから、私の考えはまったく変わりません。給料が伸びない中で、サラリーマンや消費者が将来への明るい展望を持てていない中での増税は悪であることはいうまでもありません。これは消費増税についてだけではなく、東日本大震災の復興財源も増税に頼るべきではないと国会で議論し、行動してきました。

私は今回の消費増税がサラリーマンや消費者にトラウマを植え付けてしまって、今後なにがあっても財布の紐を固く締めてしまう可能性があるのではないか。このトラウマがわが国経済のとりわけその中核となっている個人消費に長期停滞をもたらしてしまうのではないか、その引き金になってしまったではないかと心配しています。

米国の1937年大不況

実は、2014年のわが国と同様に、米国も過去に早すぎる財政緊縮を行い、大々的な失敗を経験しています。よく知られてはいませんが1929年から始まる大恐慌での脱出で二番底をつけたのです。

株価が下落し、企業が倒産、失業者があふれた1929年の大恐慌がおき、当時大統領だったフーヴァーはマーケットに任せるだけの政策しか取りませんでした。これはケインズ経済学の知識が一般的なものになる前の世間的な常識からすれば、見当はずれな政策ではありませんでしたが当然不人気でした。そこで、選挙戦で大胆な経済政策を掲げてフランクリン・ローズベルトが当選。大統領として、有名なニューディール政策で大幅な金融緩和と財政の拡大を行いました。

これにより米国経済は景気回復に向かったのですが、もうそろそろ経済も回復しただろうと考え、1937年に財政赤字とインフレへの危機感から完全に回復する前に金融引き締めと緊縮財政に走ってしまいました。その途端に、米国経済は1929年に劣らない大幅な景気悪化を迎えました。これが「1937年大不況」です。

実は後日談があります。早すぎる経済の引き締めが失敗だったことに当局は気がつきました。その後ただちにこれまでと同じ景気刺激策に戻ったのですが、1937年引き締め以前のような景気回復の強さは戻りませんでした。結局、第二次世界大戦への突入による軍需経済の到来と対戦の終了まで景気は回復しなかったのです。生産自体や雇用は軍需で盛り上がったのですが、株価が以前の水準に戻ったのは戦後でした。そのためこの1937年大不況をきっかけにさまざまな学者が資本主義の「長期停滞」について議論を始めました。

わが国も「異次元の金融緩和」によってデフレ脱却への道を歩んでいたところに消費増税によって冷や水をぶっかけられたことは皆さんもよくご存知でしょう。私には、わが国も、1937年大不況時の米国と同じく、特に個人消費に端を発した長期停滞に陥ってしまった可能性があると感じています。

日本に1937年型大不況長期停滞を起こしてはならない

財政引き締めとは、他には緊縮財政などと呼ばれます。これは政府の予算の削減や増税といった手段で歳出を厳しく抑制して、政府のこれまでの借金を返そうとすること。つまり国債の累積発行残高を減らそうとすることです。

私は、参議院議員在任中にこうした財政引き締めにことがあれば走ろうとする霞が関の動きには常に警告を発してきました。増税実施前日にも消費増税が米国の大恐慌からの脱出失敗と同様になるのではないかとツイートしました。

また、それに先立つ2013年5月の参議院での質疑でも麻生太郎財務大臣に問いました。

○金子洋一君 長い間のデフレからの脱却というのはなかなか世界の歴史の上でもありません。(中略)アメリカの例で見ますと、一九二九年から世界大恐慌が始まって三三年に当時のルーズベルト大統領がきちんと取り組み始めたと。ああ、これはいいあんばいだな、いい調子になったなというところで、一九三七年に気を緩めて経済を引き締めてしまったわけですね。そうしましたら一気に一九三八年に悪くなってしまったというのがあります。(中略)
その代表例が、大恐慌の研究をしているクリスティーナ・ローマーという学者で、この人が今年(2013年)の三月十一日にオクラホマ大学で講義をしていまして、こんなことを言っております。
『財政赤字の削減は痛みを伴う』という一九三八年からの教訓からは、諸国は自国の財政赤字をコントロールしようと試みるときに注意深くあるべきだと示唆されます。合衆国のような国々は長期の財政問題に取り組む必要があります。私たちは持続不可能な経路を取っており、これを解決せねばなりません。ですが、そのやり方は賢くなくてはいけません。増税と支出削減は成長をそぎ失業率を高める傾向があることを理解すれば、赤字削減を徐々に進めるよう調整した方がよいことになります。他の要因が回復を強化し始めるようになってから進めていく方がよいでしょう」と言っておられるわけです。
また、内閣官房参与の浜田宏一先生も、消費増税の延期を四月九日のロイターの記事で、「消費増税先送りも選択肢だ」と言っておられます。(中略)
せめて名目GDPが実質GDPよりも上になる状態ですね、そこまで持っていってから消費増税と、例えば来年の四月ではなくて次回本来でしたら一〇%に引き上げるときに一遍にやるとか、そういうようなことを御検討をなさってはいかがかと思うんですが、特にそうした方が今の政権も長く続くんじゃないかと思いますけれども、麻生財務大臣の所見をお願いいたします。
(参議院経済産業委、財政金融委、消費者特委連合審査 平成25年05月31日)

残念ながら、政権が2014年4月に消費税の8%への増税を行い、その結果現在の状況と成っていることは皆さんもよくご存知だと思います。

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