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テレビは何を失った?「テレビ衰退」6つの理由

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

***

地上波テレビはどんどん見られなくなっている。民放に限って言えば2005年にテレビの広告シェアが34%だったものが、2015年は29%。対してインターネットは5%から19%への4倍増である。テレビは依然として広告シェアの1位であるもののこの傾向は回復せずシェアは漸減していくだろう。

筆者の大好きなテレビはなぜ、流されるままに衰退していっているのだろうか。さてこの論考で対象にするのは、バラエティやバラエティ化してしまったニュース情報番組であることをまずお断りしておく。本来あるべきテレビニュースの調査報道に関しては筆者は希望を持っている。

以下に、「テレビ衰退の原因」として6つの理由を書いてみたい。

<理由1>テレビ界は護送船団方式で政治に守られてきた。

許認可事業であるテレビは、電力業界が護送船団で守られ慢心してきた轍を踏み、同じく慢心してきた。競争相手は登場しないであろうと長い間、高をくくってきたのである。ケーブルテレビの登場も、衛星専用放送の登場も退けてきたが、これは護送船団方式だったからである。

しかし、自分たちの業界の実力だと勘違いしてしまった。護送船団方式には当然マイナス面もある。政治の都合で、電機業界の主力製品テレビが売れるようにと、BSデジタル放送の設備を導入させられ、地上波もデジタル化を余儀なくされた。膨大な資金が必要になったがこれには反対できない。護送船団だからだ。護送船団なので権力を忖度することも求められる。番組はどんどんつまらなくなる。

<理由2>テレビ界はマーケティングの使い方を間違った。

テレビ界でもマーケティングは流行っている。だが、コーポレート・アイデンティティ(CI)など、自局宣伝のために巨額のコンサルティング料金を払い良い恰好をしたがっただけだった。

【参考】露骨なステマで崩れ落ちた「報道ステーション」の信頼感

あるプロのコンサルタントに「コンサルを導入するとテレビはよくなるか」と聞いたことがあるが答えは「ダメだろう、コンサルタントのノウハウが増えるだけだ」ということであった。本来のマーケティングは未来を読むものだが、テレビ局は過去のデータとして使う方法しか知らなかった。視聴率を読む(分析する)と、若い人がどんどんテレビを見なくなっていることが分かる。

さてこのデータをどう使うべきか。テレビ局は広告代理店などの強硬な姿勢に騙された。「購買力のある若い人テレビを見ないとCMを勝ってくれるスポンサーがどんどん離れて行く。年寄りの見る番組をつくっても売れない」本当にそうか確かめないままに言うとおりにした。若い人がテレビを見なくなっているのに「若い人に向けた番組を量産」した。最も凋落が激しいテレビ局がそうだが、他局も似たり寄ったりである。ますます、視聴率が下がった。テレビ離れが進んだ。

TBSラジオは早くに年寄り向けにシフトしてもう15年も聴取率トップを走っているが、それを「ラジオはたかが2%の広告シェア」と侮ってきちんと検討していない。タイムシフト視聴率という録画視聴率も採用され始めたがテレビ局はこの視聴率の統計的な分析放送を知っているのか。統計的な有意性を判定できる人材はテレビ局にはいるのか。

<理由3>テレビ局はテレビ番組を作るのが自分たちの一番の使命であることを忘れた。

いまのところ、依然として、テレビ局は日本最大の番組製作会社である。そのことを忘れてしまったのはいつなのか。いま、テレビ局は自局でのソフト製作にあまり力を入れていないように見える、番組を外注するために局員はただの管理者に成り下がり、クリエイターとして育っていかない。局内では看板として目立つクリエイターが重用はされるが、地味な縁の下で支える形のクリエイターは大事にされない。

【参考】<パソコン未所有と貧困は無関係>NHKが描く「貧困女子高生」のリアリティの低さ

ドラマは、もっと海外に売ることも考えて作るべきだが、ちまちまとまと内向きのものしかないのはマーケティング理論で言えば、いまやもう間違いである。

<理由4>テレビ局はコンプライアンスを勘違いした。

コンプライアンスとは臆病になることなのか、やらない方がよい理由を100個考えることなのか。違う。ソフト制作者としてのコンプライアンスとはそれをやるためにはどうすれば良いかを考えることだ。ずっと前から「ソフトはこれからどんどん必要になる」と言われてきた。その通りであった、しかしテレビはソフト制作者を育ててこなかった。

<理由5>テレビ局は芸能プロダクションに牛耳られてそのくびきから逃れられなくなった。

芸能界を牛耳る有力プロダクションのトップは皆、高齢である。テレビ局はこれらの人々に遠慮するあまり、また、恐れおののくあまり自由に番組が作れなくなった。敬礼の人がいなくなれば代わるのだろうか。芸能プロダクションのオーナー経営者に定年はない。

基本的に番組の企画はテレビ局のものである。その企画をもう一度やりたいときにはプロダクションに遠慮などすることはない。同じ主役が使えなければ他の俳優でやる権利はテレビ局のほうにある。

<理由6>テレビ局のトップにテレビの未来に対する愛情と大局観が感じられる人物がいない。

最後に、これが最大の理由であるように感じる。

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