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農水産の産業革命

かつて植物工場なるものができたとき、アフリカの乾燥地帯やロシアの極寒地でも新鮮な野菜が食べられるようになる時代が遂に来たと思い、感慨深かったのを覚えています。その昔、エジプト カイロでチューブ野菜なるものをゲットし、世の中、こんなまずいものがあるのか、と思ったことがあります。歯磨き粉のチューブのような容器に野菜がペースト状になったものが入っており、それにはびっくりしました。

植物工場は企業化するにはまだコストとの勝負があり、栽培可能種類が葉物やイチゴ、トマトなどに限定されている点はクリアする必要があります。一方、かなり小さい規模でもできるため、野菜がとれにくい地域では自宅で栽培できる個人向けキットをもう少し力を入れて販売すればすそ野が広がる気がします。それこそ、完全無農薬野菜ですから食にこだわる人には最適ではないでしょうか?

さて、最近、その上を行く技術が紹介されています。それは「魚がついに陸に上がる」であります。海でとれる真鯛やマハタが長野県茅野市で養殖されています。まだ、実験段階ですが、順調な結果を見せているようで技術的には可能なところまでやってきたようです。

魚は大量捕獲が原因で天然ものが少なくなる一方、養殖技術が発達し、世に出回る魚の半分は養殖物になっているそうです。我々はいまだに天然ものを好む風潮があり、魚の養殖をどう捉えるか、であります。農作物には天然ものは基本的に存在しません。家畜も一般市場向けには天然物はないでしょう。日本ではむしろ、松坂牛や神戸牛のように天塩にかけて育てた家畜がより高い価値を生み出します。ある意味、これは「養殖」です。ならばなぜ、魚は天然ものが好まれるのか、という疑問が出てきます。

多くは自然界の潮流でたくましく生きた魚は身が締まっているから、とおっしゃるでしょう。ところが最近ではゲノム編集技術が発達し、筋肉がたくましい魚や肉付きが良い魚を作ることも可能になっています。そんなもの、食べたくないとおっしゃるかもしれませんが、さしが入った牛肉を柔らかくてうまいというのと大して変わりはないでしょう。

これを仮に海で養殖し、間違って天然ものと混じってしまったらどうなるのか、というリスクは当然あります。生態系に影響が出るだろうと。そこで陸上で養殖すれば生態系への影響はほぼ防げるということになります。つまり、陸上での養殖技術の確立ができれば急速に発展する余地があるとも言えそうです。

この技術は海がない地域で新鮮な海の魚が食べられるようになる革命にもつながり、食に対する将来への対応がより一層進むとも言えそうです。

ところで話題の豊洲市場ですが、なぜ、あれほど大規模な市場が必要なのか、私はいまだに疑問なのです。もちろん、築地の規模がそのまま豊洲に移転するという前提で作られたのでしょうけれど、世の中の流通革命は日進月歩であります。

日本各地で水揚げされた水産物をいったん築地に持ってくるという発想は市場としての規模は理解できるのですが、なぜ、消費者に直接持っていけないのか、あるいは本当に流通的に最大効率なのか、という点において改善の余地がある気がするのです。それこそ、例えば日本に主要な水産市場を10か所作り、それぞれの地域の特性に合わせて流通を細分化する方が理にかなっているような気がします。なんでも東京に持ってくるという発想そのものがなにか古くないでしょうか?東京にいったん集めれば高く売買できるというメリットもあるのでしょう。

農水畜産は地域特定型であった発想が今やすっかりその常識を覆すようになりつつあります。地方再生が叫ばれる中、廃れる地方にビジネスを「養殖する」発想はありでしょう。「この村には何にもないから」とあきらめていたところに何もないからできる事業が生まれやすい土壌ができつつあります。

よくよく考えてみれば社会の成熟化とともに進むのが日本国土の均一化であります。どこにいても同じようなサービスが得られるわけです。ならば、何処にいてもどんなビジネスでも立ち上げられるとも言えないでしょうか?

日本ではまだまだ面白いことが次々に生み出されています。せっかくの知恵やアイディアを生かすかどうかは我々にかかっているといえそうです。

では今日はこのぐらいで。

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