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【新しいボスさま】

トランプ次期大統領をめぐるニュースが途絶えませんね。女性やヒスパニック系の蔑視発言を繰り返し、グローバル化反対のトランプ。公共事業を通じて財政支出を増やし、規制緩和でアメリカ経済を上向かせるというトランプ。いったいどっちが本当のトランプなのか?

The Economist今週号のMeet the new boss(新しいボスがこの人)はざっくりこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。

トランプ次期大統領は、ビジネス界でも実はアウトサイダーだ。トランプ氏の特徴は3つ。

(1)経済再生に向けて民間企業の力を解き放つと主張していること。

(2)経済は大手企業に有利で、いんちき資本主義というポピュリスト的な考えの持ち主であること。

(3)保護貿易主義の論者であること。

まず、企業が期待していることから考えてみよう。トランプ氏の税制は専門家から笑いものにされてきたが、企業の間では期待が高い。法人税率を約40%から 20%以下に引き下げたいという。同時に企業に有利な抜け穴を是正するとも言う。

一方、企業が海外に蓄積した2 兆ドル(約 200兆円)の資産を巨額な課税なしにアメリカに持ち帰ることも提唱する。

トランプ氏の官僚主義の打破(war on red tape)もビジネス界で人気だろう。オバマ大統領の医療保険=オバマケアを破棄することで負担に感じていた中小企業の支援にもなるだろう。

環境規制を破棄することに成功すれば石油・ガス・石炭といった産業への完売な取り扱いにつながるだろう。選挙結果が判明した 11月9日、チャプター 11 で経営破綻したPeabody Energyという石炭会社の株価が50 %上昇した。ノースダコタ州などでシェール開発を進めているハロルド・ハム(Harold Hamm)氏がエネルギー長官になる可能性もある。

減税、規制緩和、新たなインフラ投資はビジネス界が喜ぶことだが、大手企業は次のことを懸念しているはずだ。

トランプ氏はアメリカ経済が消費者や普通の労働社には不利だとポピュリスト的な主張をしてきた。

トランプ氏の大手企業の競争に対する考えもまちまちだ。 10月にはAT&Tが 1090 億ドルでTime Warnerを買収することに反対の姿勢を示した。一方で、製薬会社の薬価には寛大な姿勢をとってきた。

特に今懸念を示しているのは、■ウォール街と■シリコンバレーである。トランプ氏は2008年のリーマンショックのあとに制定された金融機関を規制するドッド・フランク法を修正したいと主張している。金融機関はこの法律が大嫌いである。

一方で、トランプ氏は投資銀行と商業銀行を分けるべきだと主張している。そんなことになれば JP Morgan Chaseなどは悪夢となる。

シリコンバレーも焦点となり得る。Facebookや Googleの影響力は甚大であり、傲慢と言っても良いくらいであるが、トランプ氏に堂々と反対してきた。  

ライドシェアのUber の運転手の扱いに反発することも容易に想像できる。あるいは Appleに安全保障を理由に顧客のiPhone の情報を提供するよう求めることも。

ただ、トランプ氏の3つの特徴のうち、経済界に最も悪いには保護貿易主義である。トランプ氏にとって最初の大きなビジネス取引は 1970年代半ばのニューヨークである。グランドセントラルでハイアットホテルを建設したのだ。その時に比べて、アメリカ企業は海外への依存を大きく増やした。今ではS&P の大手企業の売り上げを見ると、 44%が海外だ。

選挙期間中、トランプ氏は、自動車大手のフォードや食品大手のモンデレズがアメリカ国内で雇用を十分に生み出していないとして批判してきた。

通商戦争や報復関税は、サプライチェインの破壊につながる。アメリカの自動車産業はメキシコの部品供給に依存している。仮にトランプ氏が本当に中国に対して報復関税を課すようなことをすれば、中国側は当然、中国で活動するアメリカ企業を規制するだろう。

アメリカの多くのCEO は、トランプ氏は何だかんだ言ってもビジネスを理解していると信じたいだろう。それはそれで真実だ。オバマ氏やクリントン氏に比べて、トランプ氏は資本主義に対する直感的な理解がある。

ただしトランプ氏は介入的でもある。トランプ氏は、アメリカ企業は自分の権力を行使するための道具だと思っている。

彼の不動産王という最初のキャリアの影響力はアメリカ株式会社にとって限定的だった。政治家としての第 2のキャリアの影響力は甚大であろう。

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