記事
  • ヒロ

色合いが変わったマネーマーケットの行方

世界がテレビの開票結果にくぎ付けとなった11月8日以降、地殻変動ともいうべき潮流の変化が起きつつあります。アメリカでは「私の大統領ではない」とデモが続きます。気持ちはわかりますが、ちょっと違う気もします。選挙は平等に行われ、勝負はついたのです。自分の支持する人が勝てなかったその気持ちはわかりますが、そうならなかったことを受け止められないのも如何かと思います。

彼らが必死に抵抗を示している間、マネーマーケットはその瞬間にも新しい世界を受け止め、来年以降のアメリカを想像し、マネーがうごめいています。想定外だったのはトランプ氏が大統領になったという事実よりもトランプ氏の政策をウォール街が受け入れ、株式市場ではそれこそ誰もが予想しなかった活況を呈しているということでしょうか?

為替をみればあの選挙開票の時、「あぁ、もうだめだ、トランプだ」と叫んだ瞬間105円台から101円台へするすると円高になりました。しかし、世の中を見る目とはいかにマスコミに左右されているか露見させたのが「経済中心のトランプ」「ケインズ型の内需振興策」というだけで金融株を中心に市場は活況となり、ドルは急上昇し、10年物国債は11月8日には1.8%台だった利回りがすでに2.2%台に上昇、12月のFOMCでの金融政策会議では利上げは9割の確率で行われるとみられています。

こういう局面で参考になるのは銅相場。内需拡大といえば銅が上がるというのは知る人ぞ知る隠れたインジケーター。中国の不動産ブームの時はトン当たり1万ドルを超えたもののその後、長く低迷、今年に入りやや持ち直してきたところにトランプ相場がやってきてトン当たり6000ドル程度まで回復しつつあります。

さすが不動産屋が大統領になると土建屋とその材料屋が儲かるという田中角栄元首相をほうふつとさせる相場つきでさえあります。私も不動産業を営んでいますからこの体質はよくわかります。白人大衆が怖がるのは将来への不安であります。彼らが安定して仕事にありつけ、それなりの賃金を貰えるにはオールドエコノミーとも称される土建業や製造業など「現場」を重視するビジネスであり、AIやIoTなど極度の効率化は社会の安定化には逆を行くとみなされる可能性があります。それゆえ先日指摘したように「西低東高」の株式市場となっているのでしょう。これは多くの「ハイテク難民」が生まれ、取り残されている現状を示しています。この流れはしばらく続くと思われます。

では為替はどうなるのでしょうか?正直、誰も見通せないはずです。なぜなら全く新しい局面に入ってしまい、世界が変わってしまったからです。125円を超える円安になるといってもなるほど、とも言えるし、110円が精いっぱいだよ、といっても今ならそうかもね、といえる非常にあやふやな「ガラスのない天井」がそこにあります。

但し、一つだけ言えることは相場に参加している人は無限に一つのトレンドが続くとは思っていません。ブームが去り、一息つくと利食いをしていったん手じまいすることが多く、プロになればなるほどサンドウィッチの真ん中のおいしい部分だけかじってあとはポイと捨てる仕組みになっています。

トレンドに飽きが出たかどうかは売られすぎ、買われすぎといった市場のシグナルがありますのでそれを参照にして深追いを避けるのが妥当だろうと思っています。

ところでオバマ政権の時、なかなかインフレにならず、イエレン議長はその金融政策に四苦八苦しました。小手先の金融政策に関して多くの人が一席ぶち、その論評に花を咲かせました。結論的に言えば私も時折指摘していたように金融政策だけではだめだ、ということであります。日本も同様、政策がモノをいうということを改めて示したと思います。これは安倍首相が一番刺激を受けてもらいたいところであります。多分ですが、アメリカのインフレはかなり健全なところまで戻せるきっかけを作ったかもしれません。

ここで今までの経済シナリオを違うかもしれない留意点が思いつきます。それはアメリカ経済が良くなれば日本や中国、さらには新興国経済もよくなるというストーリーラインが必ずしも成り立たない可能性が出ていることでしょうか?それは「利益の独り占め政策」の懸念であります。

それゆえ金にならないアジアや中東との非ビジネス関係はより薄くする公算は高いでしょう。これは日本が自分で考えなくてはいけない時代になったとも言えます。「日米安保は永遠ではない」のならば日本が自立するべく全体像を立て直さなくてはいけません。これは日本にとってチャンスでもあり、日銀が半ばギブアップした2%インフレを呼び起こす絶好機であるともいえます。

私もこの数日いろいろ考えてみましたが、ロシアとのディールはよりやりやすくなったとみています。それ以外にも東アジアでは様々なことが起きるでしょう。朝鮮半島、中国の息切れ、対フィリピン政策、アメリカ無きTPPなどネタはいくらでも転がっています。

少なくともこれだけの数えきれないほどのネタをくれたのはトランプ大統領の誕生によるところもあります。

我々が期待したいのはアメリカの一挙一動ではなく、それを受けて日本がどれだけ積極的にタイムリーに新展開を打ち出せるか、であります。いつまでも相手の腹を探ってばかりおらず、自分の色をだす、これが今、日本に求められていることであり、その出し方次第で2%のインフレも日経平均2万円も夢ではないのではないでしょうか?チャンスを殺すも生かすも日本次第、これが私の今のマネーマーケットの展望であります。

では今日はこのぐらいで。

あわせて読みたい

「世界経済」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    野田聖子氏の文春砲を扱わないTV

    小林よしのり

  2. 2

    「米は北攻撃できない」は本当か

    自由人

  3. 3

    北におびえ足並み乱す韓国大統領

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  4. 4

    元TBS記者の不起訴に異常な警察

    猪野 亨

  5. 5

    山尾議員の不倫相手は恥だと思え

    小林よしのり

  6. 6

    米国空軍のB1爆撃機が怖い北朝鮮

    和田政宗

  7. 7

    共産党のデマがはびこる堺市長選

    足立康史

  8. 8

    よしのり氏 山尾氏の謝罪に苦言

    小林よしのり

  9. 9

    「脱デフレは幻想」イオンが証明

    近藤駿介

  10. 10

    勝手に説明省くかんぽ生命に怒り

    krmmk3

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。