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「弁護人」ソン・ガンホの硬軟入り混じった熱演

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韓国映画界きっての名優、ソン・ガンホの新作(といっても2013年の作品だけど)「弁護人」が公開された。相変わらず素晴らしい芝居をする。

本作でソン・ガンホが演じるのは弁護士。高卒で判事になり、その出自で注目されはしたが、学歴差別も多く、弁護士に転身。法改正でまだ誰も手を付けていなかった不動産登記に目をつけ、大金を稼ぐようになる。ほどなくして、税金専門の弁護士となり、またしてもこれを成功させ、金の稼げる弁護士として名を馳せる。しかし、馴染みのクッパ屋の息子が不当逮捕されたことを知り、明らかな冤罪、そして拷問による自白があったことを知ると、この事件の弁護を担当することに。そこから彼の人生が大きく変わりはじめ、若い学生の人権を守るため、全く自分の分野ではない裁判に身を投じる。

本作は、80年代の全斗煥軍事政権時代を舞台にしている。民主化運動が「アカ」のレッテルを貼られ、厳しく弾圧された時代だ。そしてソン・ガンホが演じる弁護士のモデルとなった人物は、盧武鉉元大統領である。元々俗っぽい弁護士だった彼が人権派に転身するきっかけとなった「釜林(プリム)事件」を題材にしている。

「釜林(プリム)事件」とは、1981年9月、全斗煥政権が基盤確保のため釜山地域の民主化勢力を根絶やしにすべく引き起こされた不当逮捕事件で、社会科の学生勉強会に参加していた学生や社会人など19人を令状もなく逮捕し、20日以上に渡って監禁、拷問を行い、彼らを反国家分子の構成員に仕立て上げ、国家保安法違反などの罪を捏造した。本作ではそこに主人公の馴染みの店の息子が参加しており、彼を救うために立ち上がるという筋書きが設定されている。

こんなあからさまな拷問や不当逮捕があるものなのか、と口をあんぐりあけて見てしまったが、先日こんな報道があった日本も似たようなもんだな、と振り返ってしまった。(法医学教授:「勾留中に暴行死の疑い」奈良県警を告発)80年代と2010年代では時代は大きく異なるだろうが。

ソン・ガンホがとにかく素晴らしい。是枝裕和監督も絶賛しているけども、ソン・ガンホの振り幅広い魅力を堪能できる作品になっている。高卒の劣等感と苦労した過去ゆえに、金に執着する、いかにも俗っぽい弁護士としての顔を人情から裁判に参戦し、次第に人権のために国家と対峙する社会派弁護士へと変化していく様が違和感なく演じている。映画冒頭のソン・ガンホとラストをポンと見せられたら、全くの別の作品だと思うかもしれない。しかし、物語の進行に実に馴染みながら、その変化が見て取れる。

不当逮捕される学生、ジヌを演じた、ZE:Aのイム・シワンも良い芝居をしている。手酷い拷問を受け、ボロボロにされる役どころだが、韓国のアイドルはこういうのにどんどん挑む姿勢がいい。

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