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サムスンの車載部品メーカー買収は成功するか

 サムスン電子は、米自動車部品メーカーのハーマンインターナショナルの買収を発表しました。80億ドル(約8600億円)の大型買収です。

 ハーマンは、カスタマー向けのオーディオ機器や、映画館やスタジオなどの音響技術が知られていますが、カーオーディオ、カーナビゲーションシステムなど車載部品にも強く、コネクティッドカー関連の事業も展開しています。
16年6月期の売上高約69億ドルのうち、自動車関連は6割超にのぼります。サムスンの狙いは、この自動車関連事業にあるのは間違いないでしょう。

 ネットワークの時代を迎えて、車載用の電子部品市場は拡大する一方です。
現に、世界に名だたる電機メーカーが、熾烈なシェア競争を繰り広げています。
パナソニックは、自動車関連事業を19年3月期に2兆1000億円にする目標を掲げています。

 サムスンは、かねてから、自動車関連事業への進出を狙っていました。いや、もともと自動車業界とは無縁ではありません。

 サムスンの2代目会長で現在入院、療養中の李健煕氏は、90年代前半、日産からの技術支援を受けて自動車事業に進出しました。グループに“サムスン自動車”を持つ、自動車メーカーだったのです。「これからの自動車は電機製品である」と発言するなど、EV化や、自動運転化を展望し、電池を含めた車載事業に大きな可能性を見ていたんですね。

 しかし、97年のアジア通貨危機の影響による業績の低迷で、自動車事業を手放さざるを得ず、ルノーに売却した経緯があります。現在のルノーサムスン自動車です。

 サムスンはその後、次なる成長分野の一つとして車載電池を掲げました。2010年頃の話ですね。が、現状は、どうも芳しくありませんよね。
そして昨年12月、自動車電装事業チームの新設を決定しました。

 ご存じのように、李健煕氏が倒れて以降、実質的にグループの指揮をとっているのは、副会長で李健煕氏の長男の李在鎔氏です。彼は、M&Aを積極的に進めています。AIやソフトウェア分野の投資は顕著で、直近2年で、電子決済ベンチャーのLoopPayやAIベンチャーのVivなど10社以上に対し、買収、出資しているんですね。

 ただ、ベンチャー企業への出資と、今回の大型買収とでは話が違いますよね。
車載用の電子部品の世界には、ボッシュやコンチネンタルといった世界の大手部品メーカーが控えています。それだけではありません。日本でいえば、パナソニックやソニー、日立、三菱電機など大手電機メーカーは軒並み、自動車関連事業に進出しています。成長分野だからです。

 サムスンは、ハーマンが得意とするカーオーディオやカーナビゲーションに加えて、自らの得意とする半導体やディスプレイの技術を駆使し、ハーマンとのシナジー効果を発揮して事業拡大を狙いたいところでしょう。が、そう簡単なことではありませんね。

 その意味で、三代目の李在鎔氏が、いつ、李健煕氏の後を継いでサムスングループの総帥につき、いかなる経営手腕を発揮するか。自動車産業への新規参入の成否は、その手腕にかかっているのではないでしょうか。

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