記事

【バスプロ・ショップス】、粗利益率は50%!アマゾンの影響を受けないのは〇〇のプロ?

161115バスプロショップス
■3.5億品目の品揃えを誇るネット通販最大手のアマゾンがどんなに品揃えを増やしても、ほとんど影響を受けない大手チェーンストアがある。巨大な店舗から難攻不落の要塞とも喩えることができる。現代に生まれた流通業界の大阪城と言えるかもしれない。それがアウトドア専門店のバスプロ・ショップスだ。バスプロ・ショップスは、フィッシングや猟銃などのハンティング、アウトドアの代名詞となるキャンピング、さらに大型ボートやアウトドアのアパレル品まで圧倒的な品揃えだ。店内には淡水魚が泳ぐ巨大な水槽や人工の滝、動物のはく製等もディスプレイされ、家族で楽しめるレストランもある。バスプロ・ショップスの平均的な顧客は60キロメートル以上からも来店し、平均滞在時間は2時間30分となる。

 バスプロ・ショップスがアマゾンからの攻撃にびくともしないのは店内アメニティなどエンターティメントの要素だけではない。商品の7割がアマゾンなどオンラインストアから、ウォルマートなどの競合が扱えない商品となっているのだ。その一つが銃販売だ。オンラインでは銃の販売を規制されているため、アマゾンは手が出せない。さらにボートなどの大型品から質感やしなりなど実際に手でもって確認しなければならない釣り具等、フィッシング用品もショールミングでの買い物は無理だ。また販売価格を規制している一部のアウトドア用品メーカーはバスプロ・ショップスとの取引を優先し、アマゾンやディスカウンターとの取引は控えているのだ。しかもバスプロ・ショップスのアパレルブランドの多くがプライベートブランドだが、知名度はナショナルブランドにもなっている。したがってバスプロ・ショップスの粗利益率は、驚くなかれ50%を維持しているのだ。

 ミズーリ州スプリングフィールドに本部を置くバスプロ・ショップスの創業は1972年。非上場の同社の売上は44億ドル(フォーブス誌推定)となっている。北米に99店(ボート製造・販売のトラッカー・マリン・グループのディーラー店を含む)を展開するバスプロ・ショップスは先月3日、同業のカベラズ(Cabela's)を55億ドルで買収したことを発表した。1961年創業のカベラズは北米に85店を展開する上場企業で売上高は40億ドルだ。両者が合併すると北米に156店(トラッカー・マリン・グループは除く)を展開する巨大アウトドア用品チェーンとなる。
 莫大な品揃えを誇るアマゾンでさえ参入できない市場はまだまだあるのだ。

161115バスプロショップス01
バスプロ・ショップスはアマゾンから影響を受けず粗利益率50%を維持している理由は銃販売にボートなどのフィッシング用品、販売価格を規制している一部のアウトドア用品メーカー、さらにバスプロ・ショップスのアパレルブランドの多くがプライベートブランドだが、知名度はナショナルブランドレベルが挙げられる。

161115バスプロショップス02
バスプロ・ショップスには創業者のジョン・モリス氏が1978年に創業したバス釣り専用ボートメーカーもある。現在はバス釣りボートにとどまらず、レクレーショナルボートやマリンフィッシングボートなどブランドも拡大している。


⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。クライアントや研修参加者とバスプロ・ショップス・アウトドアワールドに視察するのは後藤のひそかな楽しみです。店に入るとアウトドア用品の品揃えの広さや深さに誰もが目を輝かせて感動するからです。ずらっと並んだライフル銃やボートなど、日本では絶対に見ることができないですから。同時に課題として考えてもらっていることがあります。非上場企業と上場企業の違いです。不特定多数からお金を集めて運営する上場企業は投資家(特に大口の機関投資家)からの影響を受けやすい反面、潤沢な設備投資から出店やIT展開などが速くなります。一方で非上場は銀行からの融資に自前でお金をまかなっての運営ですから設備投資は制限され、出店やITは遅くなりがちです。ただし、部外者となる投資家からの影響はまったくないので好きなように経営ができるのです。つまり短期決算に関係なく自分のこだわりをもって運営ができるのです。


⇒バスプロ・ショップスに入ると感動すると同時に「こんなお店よく作れるなぁ」とため息が漏れます。淡水魚が泳ぐ巨大な水槽や滝、動物のはく製やファミリーレストランなど、店舗運営コストがかなりかかっているからです。それを可能にしているのは利益率。粗利益率はなんと50%!です。粗利50%の理由はバスプロ・ショップスは販売だけでなく製造も行っているからです。代表格が店舗内店のトラッカー・マリン・グループ(Tracker Marine Group)です。バスプロ・ショップス創業者のジョン・モリス氏が1978年に創業したバス釣り専用ボートメーカーです。バズ釣りにこだわりをもつ創業者が、スイベルチェア(回転いす)などをもつバス釣りボートを作ったのです。現在はバス釣りボートにとどまらず、レクレーショナルボートやマリンフィッシングボートなどブランドも拡大しています。アメニティを持つ巨大店舗も自分たちで製造をおこなっているからこそ経営できるということです。


⇒当ブログではイノベーションを「誰もやらない・できないことを」「誰もやらない・できないスピードや距離などの単位で」「誰もやらない・できないほど反復する・続ける」としています。「人がやりがちなこと」や「ありがちなこと」をやってもイノベーションにならないどころか、すぐにコモディティ化してしまうのです。ラクしてできた商品やサービスはコモディティ化と同時に(参入障壁が低く)過当競争に陥り、利益はありません。バスプロ・ショップスで考えてもらうのはズバリ「自分たちの業界で競合他社がやりたくてもできないこと」なんですね。できないことは精神的に大変な苦労を強いられます。「失敗したら?」との不安もよぎり、プロフェッショナルでないと簡単にはできないのです。その苦労を耐え、あえて挑戦するからこそ差別化になり、利益率も高くなるのです。厳しいことを書けば「ウチにはそれほど資金がないから」と商売のプロをあきらめていたらアマゾンの餌食。

 バスプロ・ショップスのプロはプロフェッショナルからきています。あなたは何のプロフェッショナルですか?何を(他者が持てない)武器にしていますか?

あわせて読みたい

「小売業界」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    定年後は蕎麦打ち職人になるな

    内藤忍

  2. 2

    今度こそ北朝鮮の崩壊は秒読みか

    自由人

  3. 3

    真逆に報じられた仏大統領発言

    西村博之/ひろゆき

  4. 4

    海老蔵と麻耶 歌舞伎界の非常識

    NEWSポストセブン

  5. 5

    豊田議員あと一歩で逃げ切り逃す

    文化通信特報版

  6. 6

    金正恩氏が米国への本音を吐露か

    高英起

  7. 7

    金正恩氏 史上最高の措置を検討

    ロイター

  8. 8

    老後の同窓会は成功者しか来ない

    NEWSポストセブン

  9. 9

    解散総選挙で与党にお灸を据えよ

    阪口徳雄

  10. 10

    石破氏「解散の意義わからない」

    石破茂

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。