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選挙で落選すると議員はどうなってしまうのか(私の場合)

よく「サルは木から落ちてもサルだが、政治家は選挙で落ちればただの人だ」といわれます。今回の私のように議員が選挙で落選して、議席を再び得ることができないとどうなってしまうのか、ご存じない方が多いかもしれません。

なかには党が手厚く処遇をしてくれるのではないかと漠然と思っておられる皆さんもおいでかもしれませんが、そのようなことはありません。そこで、タイトルはなにやら一般論に聞こえますが、参議院選挙後の私の近況についてご報告したいと思います。

今年の7月10日投票の参議院議員選挙で落選し、任期が7月25日に切れました。選挙の後始末もそこそこに議員会館の事務所を引き上げる作業をしなければなりませんでした。苦楽をともにしてきた大勢の事務所の仲間たちとも突然、別れを告げなくてはなりませんでした。今思い起こしても無念です。私にもう少し力があればと大変情けなく、自らを省みる気持ちでいっぱいでした。

この時点で参議院議員としての身分は終わり、「前議員」という扱いになりました。この肩書きで得られるのは国会に手続きなしに出入りすることができる「前議員バッジ」ひとつだけです。

議員年金があるのではないかとお考えの方もいるかもしれませんが、もちろん受給年齢には到底達してません。また、かつて議員年金が存在したときには議員在職10年で受給資格を得ることができましたが、2006年に新規の支給が廃止されたので、いずれにしてもわれわれには関係ありません。零細企業の社長さんや個人事業主と同じ、国民年金だけなのです。

退職金も知事や市町村長には数千万円単位で出ますが、われわれ議員にはありません。ほぼ一年間にわたる選挙前の政治活動、本番の選挙運動で、これまで爪に火をともすようにして蓄えた政治資金も使い切っていますから、一気に金銭面では厳しくなります。

ここまでは所属政党に関係なく同じです。ここから先は実は私は他の候補者について判りませんし、党との関係については他党とは違うのでしょう。手厚い処遇をしてくれる政党もあると聞きますし、組織・団体出身者は親元に戻ることができます。しかし、内閣府の官房総務課総括課長補佐を最後に役所を辞めて、選挙に出た私には、まったく何の組織も地盤もありません。生活を丸ごと面倒見てくれるような後ろ盾はありません

現在の私は、落選と同時に党の一切の役職を失いました。神奈川県連という全国の党員の約5人に1人が所属している大所帯でしたが、その代表をずっと勤めたとはいってもそれは、要するに世話役にすぎません。党の役職自体はさほど大きなことではありません。最大の問題は、果たしてもう一度今の党から立候補するチャンスがあるのかどうかということです。政治活動は続けたい気持ちがあっても、さすがに6年後の参議院選挙まで浪人してチャンスを待つことは時間が掛かりすぎます。また3年後の参議院選挙には仲間が現職で立候補予定です。

それでも3年後に2人目の候補者として立候補してはどうかとおっしゃる方もいらっしゃいます。私のことを心配してくださる、大変ありがたいアドバイスです。しかし、冷静にならなければなりません。今の党勢で2人候補者を立てるのは愚の骨頂です。そのことは今回の神奈川での参議院選挙の結果をみる前に、誰もが予想していたことです。それとも二年後にそんなに党勢が回復しているのでしょうか。大きな疑問符がつくとお考えの方が多いと思います。二人当選の筋道が立たないのにただ勢いだけで二人立候補させることは取るべき道ではありません。

また、衆議院議員への鞍替えも多くの皆さんが勧めてくださいます。しかし現在、神奈川県内でも私に地縁のある小選挙区はすべて埋まっています。このようなことで、現時点で私は参議院、衆議院いずれでも次回の選挙の公認候補予定者(総支部長)にはなれません

そして大問題は、公認候補予定者(総支部長)になれないと一銭も党本部から活動費が出ないことです。総支部長には党本部から政治活動のための費用がこれまで月50万円出ていました。月50万円あれば、事務所を借りて、スタッフを一人雇い、日ごろの活動をなんとか賄うことができます。次の選挙で確実に公認候補者となれるのであれば応援してくださる皆さまから浄財をいただくことも不可能ではありません。もちろん、自分や家族の生活費はそれ以外で稼がなければなりませんが、地元の選挙区の代表者としてなんとかファイティングポーズを維持できます。が、それも立候補する選挙区がなければそうはいきません。

「メガホン片手の朝の駅頭活動だけもやればいいではないか」というのは小さな選挙しかみない、少し非現実的な考えです。国政選挙でそれだけで当選できるのは党勢が上り調子のときだけです。今の風向きでは、事務所もない、ポスターも貼れない、十分な政治資金もないとなると国政選挙ではまったく勝負になりません。選挙区がなく党資金も入ってこない。将来は不確定、不透明。そこで、熟慮の結果、事務所を閉めることにしました。

もうひとつの問題は、同時にどうやって家族の生活費を稼いでいくのかという大きな問題です。当然収入を得るためには働かなければなりませんが、果たして国会議員経験者というめんどくさそうな経歴の人間である私に、希望に合った条件の職場が運よく見つけられるかどうかという大きな問題がありました。こちらについては本当にありがたいことに、さまざまな方々からのお力添えをいただき、ご縁があって無事に働かせていただいています。お名前をここで挙げるわけにもいきませんが、心から感謝しています。

さあ、3ヶ月かけてなんとか敗戦から軟着陸に成功しました。今がどん底です。しかし、志は捨てません。政治活動は続けます。私の目標は、日本経済を再生することです。その海図と羅針盤を持っているのは私だと自信を持っています。古臭い表現で、パソコンでは、かな漢字変換もできない表現ですが、「乃公出でずんば」の心意気です。

それに落選も、ものは考えようです。落選したからといって死んでしまったわけではありません。権力闘争に敗れれば、すなわちそれが死を意味する国は世界中にまだまだたくさんあります。政治的にも死んでしまったわけではありません。国会に私がいないことを惜しんでくださる方々が大勢いらっしゃいます。なんとありがたいことでしょうか。

逆に、政党活動に時間を割く必要がなくなったのですから、自分の潜在的な能力を高めるためにこれまで忙しくてとてもできなかったことができると考えればいいのです。後で振り返って、「あのときの浪人の時期にこれを勉強できたからよかったな」、「現職でいたのではできなかったことを経験できたな」と言えるように、これまでとは違う新たな分野で経験を積みたいと思います。ちょうど船や飛行機に定期的なメンテナンスやソフトウエアのバージョンアップが必要なように、今は、私に対して天が「充電の時期だ」と言っているのだろうと前向きに考えていこうと思います。数年後にははるかに大きくなった「金子洋一」をお見せできると信じています。

ものごとは考えようです。考え方、ものの見方を変えれば世の中でできないことはないと思っています。少なくともうろたえ、惑うことはなくなります。これから、わが国に必要な経済政策の実現に向けて夢を捨てずがんばっていきます。皆様の引き続きのご支援をよろしくお願いします。

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