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ネオ・アメリカンドリームの胎動

■ドナルド・トランプの時代

 世界中から注目されてきたアメリカ次期大統領選は、巷の識者達の予想とは裏腹に、ドナルド・トランプ氏が大統領の座に就くことになった。
 ジャーナリストの木村太郎氏が言われている通り、「民主党の次は共和党」と相場が決まっているので、順当に行けばトランプ氏が選ばれることは、ある程度、予測がついたことでもある。
 私も、半年前にトランプ氏が大統領になると予想していた(→『暴言王トランプの強かな選挙戦略』)ので、トランプ氏が大統領に選ばれたことについてはそれほど驚かなかったが、日米文化の違いというものをまざまざと見せつけられた選挙という意味では、驚嘆せざるを得なかった。

 もし、現代の日本に大統領制というものが存在し、トランプ氏のような人物が現れて大統領を目指そうものなら、どうなっていただろうか? おそらく、世論とマスコミから総バッシング&総スカンを喰らい、大統領になるどころか、社会的に干されることになっていただろうと思う。
 日本で今回のような大統領選挙が行われていたとすれば、圧倒的大差でクリントン氏が勝利しただろうことは容易に想像が付く。

■「建前」から「本音」へのチェンジ

 かつて、オバマ氏の言葉「チェンジ」がもてはやされたことでも分かる通り、元々、アメリカ社会は日本と違って「変化」を好む人々が多い国でもある。しかし残念ながら、オバマ氏ではアメリカ社会はチェンジできず、むしろ、何も変えることができない国になってしまった。ゆえに、米国民は、本当に社会を変えてくれる大統領を潜在的に待ち望んでいた。

 オバマ政治によって普通の国化しつつあったアメリカは、いつの間にか建前を重んずる国に傾倒してしまい、有権者達も実際に投票するまでは本音を隠していたのではないか?と思われるフシがある。「誰に投票しますか?」と聞かれれば、無難に「クリントン」と答えていただけかもしれない。
 選挙直後に行われたアンケート調査では「ヒラリー・クリントンが圧倒的有利」などと伝えられていたぐらいだから、実際に本音を隠していたと観るのが正解だと思う。トランプ氏を応援することに、どこか後ろめたい気持ちがあったのかもしれない。

■V字を描いた世界の株式相場

 ブレグジットの時も、日本の株式市場ではパニック売りが出たが、今回のトランプショック(と言うよりもトランプパニック)でも、案の定、パニック売りが出た。
 私は、ヒラリー・クリントン氏が大統領になれば、一時的には株価は騰がるが、長期的には下げることになると予想していた。逆に、トランプ氏が大統領になれば、一時的に株価は下がるが、長期的には騰がると予想していた。しかし、その下げ期間が僅か1日で終わるとまでは予想できなかった。

 トランプ氏が次期大統領に決まっても日本人のようにパニくることもなく、冷静に将来を見据えて株式を買うことができるアメリカ人の懐の深さ。この圧倒的な違いにカルチャーショックを感じずにはいられなかった。

 日本では、トランプ氏の優勢が伝えられた時点で空売りを仕掛けた投機家が大勢いたと思われるが、当日に買い戻した人以外は全員踏み上げられて大損したのではないかと思う。そう考えると、今回、トランプリスクに賭けた人にとっては、かなり意地悪な相場だったと言えるのかもしれないが、わずか1日で歴史に残るようなV字を描いた株式チャートが今後の動向を指し示しているようで、実に頼もしい。日本の株式市場も完全に底打ちした格好だ。

■トランポノミクスでNYダウは2万ドルに向かう

 実際のところ、「トランプショック」などと言っても、有権者の過半数がトランプ氏に投票しているわけだから、それがショックのはずがないわけで、変化(チェンジ)を望む多くの人々の期待が叶ったわけだから、米国民にとっては「トランプサプライズ」だったはずだ。その証拠に、アメリカでは選挙が終わった初日から株価は上昇した。日本の株価はいつもアメリカ次第なので、日本の「トランプショック」は1日で終わってしまい、「トランプが大統領になると為替が95円になる」といった御託宣は、ただの妄言になってしまった。
 今度は、「トランプバブルで為替が115円になる」と言うような人が出てくるかもしれない。

 トランプ大統領が誕生することによって、今後、NYダウ平均は2万ドルを超えてくることが予想される。日経平均株価は先に述べた通りアメリカ次第なので、これもコバンザメの如く2万円を再度、試すことになるかもしれない。おそらく、余程の地政学的リスクが顕在化しない限り、次のオリンピックまでは緩やかな上昇相場が続くのではないかと予想する。もっとも、強いアメリカが蘇れば、逆に地政学的リスクは後退する可能性が高い。
 トランプ氏の「アメリカンドリームを取り戻す」という発言が本当であるなら、2万ドルは目標ではなく通過点と考えるべきだろう。

 建前社会から本音社会への「チェンジ」、ネオ・アメリカンドリームの始まりだ。

 【注意】あくまでも個人的な予測なので、株式投資は自己責任でお願いします。

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