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22世紀仕事の80%はAIが行う - 土方細秩子

 11月7-9日、サンフランシスコで開催されたAIワールド・コンベンション。AIの発達は人類の未来になにをもたらすのか、というのは多くの人が関心を持つ分野だろう。11月7日、コンベンションではパネルディスカッションとマッキンゼーの研究者による発表を通し、この点についての分析が行われた。

 まずパネルディスカッションに参加したのはシュレンバーガー社のデータ・サイエンティスト、ニール・エクランド氏、ヌードルai社CEOステファン・プラット氏、NVIDIA社のVP及びジェネラル・マネージャー、ジム・マクヒュー氏、SRIインターナショナル社社長、ウィリアム・マーク氏。

AIがもたらす未来

 ここではAIがもたらす未来の利点が主題となった。パネリストによる主張では AIはヒューマニティに大きな役割を果たす、という。まず、AIの導入により煩雑な事務手続きが省ける。その分資源の節約に役立つ、という利点がある。従来紙に印刷していたことをデジタル上で処理できることにより、自然資源が節約できる。同時に意思決定までの時間が大幅に短縮できることにより、電気などの資源節約にも役立つ。

 次に、投資に対するリターンの向上が見込めることで、企業の利益率が改善する。これが従業員の給与にも反映し、全体として豊かな社会の構築につながる。もちろんAI導入により従業員のカットも考えられるが、この点に関しては「政治的な解決」が望まれる。例えば米国でフルタイム勤務とされるのは週に40時間の労働だが、政府主導でこれを30時間とする、ただし賃金は減額しない、などの労働環境改善により、「AIに仕事を奪われた失業率の増大」を防ぐ可能性がある。

 もっともAI導入はまず低賃金の仕事にインパクトを与える。たとえば、ライドシェアサービスのUberが商業用自動運転に力を入れているが、この結果トラックドライバー、宅配サービスのドライバーなどが職を失う可能性がある。またファストフードの店員がバーチャルキオスクに置き換えられる、銀行の窓口業務もしかり、など、導入当初は失業率の増加につながる可能性はある。

 一方で世界の人口は先進国を中心に高齢化している。この社会に対応するために、例えば介護ロボット、あるいは高齢者のコンパニオンという形でのAI 導入は今後の成長が見込める分野でもある。

 また教育の現場でも、AIによる学生指導、カリキュラムのアシストなども可能性がある分野だ。企業ではデータを最大限に活かすことで意思決定をたやすくし、利益の増大につなげる、企業が抱える問題点の指摘、分析を行う、とAIに期待できる点は多い。

いかに常識を学ばせるか

 問題は「いかにAIに常識を学ばせるか」という点にある。折しも米国では大統領選挙投票日でもあり、「次の大統領候補はAIになると思うか」という質問が飛び出すほど、人間に近づいたAI への興味は高い。業界にもテスラCEOイーロン・マスク氏のように「AI恐怖症」を隠さない向きもある。

 マッキンゼーの研究者、マイケル・チューイ氏によると、大企業のCEOのような複雑かつ責任の重い仕事でも「AIに置き換えられないことはない」という。もちろんそれが実現するには数十年かかるだろうが、AIによる職業置換はエントリーレベルの仕事から始まり、最終的には研究職、データ・サイエンティストでさえAI が対応できる社会は来る、という。チューイ氏は「おそらく2100年には80%の仕事はAIが行えるようになるだろう」と予測する。

 2016年のG19諸国のGDP成長を見ても、全体平均では3.6%の成長、うち雇用の増加に伴うものは1.7%、生産性の向上によるものが1.8%。この数字は数年後には雇用の増加部分が1%以下になる、と見込まれる。つまり先進国はAIによる効率の増大でしか経済成長が見込めない時代はすぐそこまで来ている。

 企業はパニックに陥ることなく、まず「自社の問題は何か」を特定し、小さな分野から AI 導入を目指すのが望ましい、とパネルでは結論づけた。例えば半年から1年かかるような大掛かりなプロジェクトにいきなり AI 導入、というのは難しいだろう。しかし、例えば人間によるデータエントリーは平均で8%の入力ミスがある、という。こうした基礎的な分野にAIは大きなお役割を果たす。ミスの減少、作業の効率化といった分野から徐々にAI を導入することにより、コストを節約しつつトレンドに乗り遅れない、というのが今後の企業に求められる姿勢になりそうだ。

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