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風光明媚な「原発銀座」で「敦賀原子力館」と「美浜原子力PRセンター」を見学してきた

 昨日、「原発銀座」の一角である敦賀半島での見学から帰ってきました。敦賀湾は深い入り江となっており、風光明媚な海岸沿いの道を縫うようにして、日本原電敦賀発電所、美浜原発、高速増殖原型炉「もんじゅ」の3カ所を巡りました。

 一昨日、京都駅から特急「サンダーバード」に乗り込み、約50分で敦賀着です。途中の停車駅はなく、1時間もかかりません。これは近い。
 駅前のビジネス・ホテルに宿を取りましたが、1階に大浴場がありました。温泉ではありませんが、ゆったりと湯船に横たわることができ、体が休まりました。
 近くの寿司屋で地元の魚をいただきながら、地酒の冷酒「一本義」を飲みました。横にいた夫婦連れらしいお客さんと言葉を交わし、濁り酒を一杯ご馳走してもらいました。

 店を出ると、前の歩道に松本零士の「銀河鉄道999」に出てくる車掌の像があります。その先にはメーテル、反対側の歩道には「宇宙戦艦ヤマト」の古代進と森雪の像が。
 「ここは松本零士と何か関係があるのかな」と思いましたが、実は何も関係はないんだそうです。翌日、案内していただいたタクシーの運転手さんの話では、昔、ここからナホトカ行きの船が出ていたからだといいます。
 昔、ナチス・ドイツを脱出して、リトアニアで杉原千畝さんからビザをもらったユダヤ人はシベリア鉄道に乗り、ナホトカ経由でここ敦賀に上陸したそうです。鉄道から海に出るということで、「銀河鉄道999」をイメージしたのでしょう。

 この話をしてくれたタクシーの運転手さんは、大変、親切な人でした。駅前に停まっていたタクシーの1台ですが、それをつかまえて「敦賀半島の原発を巡りたいのですが、3時間1万5000円で貸し切りできますか?」と聞きました。
 その近くに、「観光タクシー小型車3時間1万5400円」と出ていたからです。原発を巡るだけなら、もう少し安くできるだろうと思って交渉したわけです。
 中型車だったこともあり、運転手さんは少し渋っていましたが、結局、引き受けてくれました。実際には、3時間もかかりませんでしたが。

 というわけで、この車をチャーターして、3つの原発を巡ったわけです。途中、いろいろと教えていただき、大変、参考になりましたが、とりわけ地元の人の原発に対する思いがよく分かりました。
 原発さんが来なければこの舗装道路もできなかったし、夏の海水浴客も不便していたもんだ。今更反対できないし、これまでの恩義もある。関西の人は、原発反対と息巻いているけれど、停まって困るのはあんた方じゃないのかと、みんな言っているよ。まあ、博打のようなもんだね。何かあるかもしれないけど、安全だと信じるしかない。国がやっていることだから、とやかく言っても無駄だろう。というような趣旨でした。
 漠然とした不安は感じるけれど、反対はできないし、今さら反対しても無駄なだけだという諦めでしょうか。これが、地元の人の率直な心情なのでしょう。

 3カ所の原発を見ただけでなく、日本原電敦賀発電所に付属している「敦賀原子力館」と、美浜原発の隣にある「美浜原子力PRセンター」にも立ち寄り、中を見学しました。原型炉だった「ふげん」が廃炉になったためでしょうか、前者の方は展示がおざなりで、ビデオも見られないものばかりでした。
 これに比べて、美浜のPRセンターの方の展示は充実しています。ペレット、被覆菅、原子炉容器、原子炉格納容器、遮蔽壁という5つの「多重防護」の実物大の模型や大がかりな展示があり、ビデオも豊富でした。
 施設の一角には、土産物スペースや軽食が食べられるレストランまであります。メニューの中で一番高いのが450円のカレーですから、ここにも原発マネーの一部が注ぎ込まれているのかもしれません。

 そもそも、このようなPR館そのものが、原発マネーのおこぼれによる施設です。その建設費や維持費は関西電力のコストに計上され、電気代として利用者から徴収されているわけです。
 大体、電力会社は地域独占ですから、「競争相手」と言えるものはガス会社くらいしかありません。それなのに、バスがほとんど来ないような不便な場所で、一体、何を「PR」しているのでしょうか。
 それを確かめたいというのが訪問の目的だったと言いたいところですが、その目的は分かっています。原発の安全性を「PR」するためです。このような形で大金をかけて売り込まなければ安心してもらえないような危険で不安に満ちた施設だということを、電力会社は良く分かっているからでしょう。

 受付のお嬢さんに、「最近の入場者はどうですか?」と聞きましたら、「原発事故などで関心が高まったせいか、増えています」という答えでした。関心の中には、不安の高まりという要素もあるにちがいありません。
 そのような不安に答える意味もあるのでしょうが、「地下深くへ処分する高レベル放射性廃棄物」というパネルが展示されていました。発電で使用済みとなった核燃料廃棄物(死の灰)は、硝子固化体で固められ、その周りを金属容器(オーバーバック)で覆い、さらに粘土で包むから心配ないという内容です。
 しかし、どこにそれを埋めるのか、場所が書かれていません。まだ、使用済み核燃料の最終処分場が決まっていないからです。

 美浜のPR館2階の展示場の周囲は回廊になっていて、地域の人の「一言展」という展示がありました。色紙に一言、書かれています。
 その最初に掲示されていた色紙の言葉は「ちょっと不便がちょうどいい」というもので、最後の色紙には「あかんもんはあかん」と書かれていました。私には、原発をめぐる現状を暗示するような一言に思えたものです。

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