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次々と明るみに出てくる電力会社の闇

 先日のブログで、電力会社の背後には深い闇があると指摘しました。それは、一般に考えられているよりも、ずっと深くて暗いものだったようです。

 まず、明らかになったのは「やらせメール問題」でした。このような「やらせ」は、それまでにもあったということが、その後明らかになりました。

 たとえば、九州電力は以前、プルサーマル発電計画を進めるために地元で説明会を開いた際や、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)3号機の増設計画についての説明会でも、九電の社員や関連会社の社員に動員をかけていたそうです。

 玄海原発への賛否が、「やらせメール」のために逆転していたことも判明しました。玄海原発の住民説明会に出席した7人の市民代表のうち1人が九電の息のかかった人物だったということも、ネットなどでは話題になっています。

 次に、明らかになったのは、様々な形での利益供与でした。玄海原発の地元の玄海町長が原発利権の受益者であること、実弟が社長をしている建設会社が多額の原発関連工事を受注していたことが明るみに出ました。

 その後、町議会の原子力対策特別委員長の次男が経営する建設会社「中山組」も同じように原発関連交付金を財源とした工事を受注していたことが報じられました。受注額は2009年度までの4年間で少なくとも12件、総額約4億200万円分になるそうです。

 玄海町の町長と町議会の原子力対策特別委員長が、ともに原発からの受益者であったというわけです。再稼働に好意的な動きをするはずです。

 さらに、電力会社と自民党との癒着についても、色々な事実が明らかになっています。東北3県の自民党県議77人に対する「役員報酬」名目での資金供与については、すでに、このブログにも書きました。

 以前、原発のない沖縄電力を除く9電力会社の役員ら206人が、自民党側に2009年の1年間に判明しただけで、約2800万円の献金をしていた事実が報じられたことがありました。その後、共同通信の調査で、東京電力など電力9社の役員・OBらによる自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部への個人献金についての疑惑が明らかになりました。

 それによれば、2009年分の個人献金額の72.5%が電力会社の役員・OBらによるものであること、当時の役員の92.9%が献金していたこと、電力業界は1974年に政財界癒着の批判を受け、企業献金の廃止を表明したが、このような献金は遅くとも76年に始まっていたこと、献金額は35年前から各社役員ほぼ横並びで固定化していたことなどが判明したそうです。つまり、電力会社が足並みをそろえて、個人献金の形をとった企業献金を行ってきたというわけです。

 このほか、マスコミ・世論対策の実態も徐々に明らかになってきています。『しんぶん赤旗』の報道によれば、1986〜89年にかけて、当時の科学技術庁が反原発運動を監視し、その結果は89年6月に原子力局原子力調査室名で「最近の原子力発電に対する反対運動の動向について」としてまとめられたそうです。

 また、日本原子力文化振興財団の「世論対策マニュアル」は、「繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」と、原発容認意識を国民に刷り込む施策を求めているそうです。「原子力に好意的な文化人を常に抱えていて、何かの時にコメンテーターとしてマスコミに推薦出来るようにしておく」などと、文化人、マスメディア取り込み作戦も具体的に提起していると言いますから、呆れてしまいます。

 さらに、原子力施設立地推進調整事業のうちの「即応型情報提供事業」の目的は「新聞、雑誌などの不適切・不正確な情報への対応を行う」ことだそうです。担当者によれば、記事を収集する対象は、『朝日新聞』や『読売新聞』などの全国紙や『日刊工業新聞』などの専門紙、福井や青森、福島など原発立地県の地方紙など約30紙で、間違った記事があった場合、資源エネルギー庁に報告し、訂正情報も作成していたといいます。

 全く、メチャクチャではありませんか。驚くようなことばかりです。
 原発についての説明会や意見聴取の機会があれば、社員や関連会社の社員が大挙して出席する。あるいは、事前に手を回してメールなどで賛成意見を送ったりする。

 県知事など地元の首長にも政治献金を怠らない。首長や有力議員の親族の会社には関連工事をまわして原発利権に取り込む。

 原発推進の自民党には、役員やOBによる個人献金を装って政治資金を提供する。地方の自民党議員には名目的な役職についてもらって役員報酬を支払う。

 原発に好意的な学者や文化人、マスコミに金を注ぎ込んで「安全神話」を広める。普段から監視を怠らず、異論や疑問に対しては目を光らせ、訂正情報を作成していつでも反論できるようにする。

 これが電力業界・電力会社の「やり口」です。こうして、原発を推進する政治勢力や受け入れる世論が作り出されてきました。それが可能だったのは、電力会社が豊富な資金を持っていたからです。

 その背景には、電源3法交付金などの国家による支援、電力会社による市場の独占、コストに利益を上乗せして設定できる独特の料金システムなどがありました。おんぶにだっこされるような形で電力会社は甘やかされ、電気料金や税金などの形で国民がそのツケを払わされてきたわけです。

 そのような甘やかしをやめて、電力会社を本来の私企業に戻すべきです。国家による支援を止めて自立させること、独占ではなく市場競争を回復すること、一般の企業と同じような普通の料金システムにすることが必要でしょう。

 そうすれば、割に合わない原子力発電事業から、電力会社は自然に手を引くことになるのではないでしょうか。そうなれば、電力料金も、今よりずっと安くなるかもしれませんよ。

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