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「もしトラ」でマーケットが荒れると予想されるワケ

11月8日の本投票を前にトランプ人気が上昇しています。

僕は(まだヒラリーが勝つ確率の方が高いかな)と思っているけど、もしかしてトランプが勝つシナリオも、ある程度、想定しておく必要があると思います。

マーケットにとって最もボラが高くなるパターンは、大統領も、上院も、下院も、すべて共和党が取った場合です。なぜならそのシナリオでは法案が通りやすくなるからです。

市場参加者は現状維持に一番安心感を抱き、不確実性が入り込むことを嫌います。その意味では、大統領も、上院も、下院も、全部共和党になるというシナリオが、いちばん「ガラガラポン」になるからです。

トランプは格差社会の定着の原因を「NAFTAに代表される貿易のせいだ」としています。

オハイオ、ミシガン、イリノイなど製造業の空洞化を経験した州の置かれた状況を引合いに出し、これ以上、空洞化がおきないよう、それを食い止めることが先決だと主張しました。

つまり保護貿易主義です。

具体的にトランプは中国からの輸入品に45%の関税をかける、メキシコからの輸入品に35%の関税をかける、北米自由貿易協定(NAFTA)をやめる、世界貿易機関(WTO)から脱退する、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に反対……などを主張しています。

アメリカ合衆国憲法の構造だけを見れば、貿易に関しては下院がもっとも発言力を持っているように見えます。しかし歴史的には下院は大統領に貿易に関する権限を委譲してきました

だから今回、トランプが保護貿易主義に舵を切ろうとした場合、議会がそれを止められるか、止められないか? は、かなり微妙な気がします。

さて、保護貿易主義へと舵を切ることがアメリカ経済全体にとって良い方策か? といえば、たぶんそうではないでしょう。

実際、ピーターソン国際経済研究所は、「トランプ候補の提唱する保護貿易主義的な経済政策を実施すれば480万人の失業者が出てアメリカ経済はリセッションになる」という研究を発表しています。下はどの州が最も酷い目に遭うかを示しています。

1

ピーターソン国際経済研究所はトランプの貿易に関する提言が実施されたら米国経済はリセッションに陥るとしています。

2

建設機械、鉄鋼、半導体製造装置、ポンプ、タービン、トラック、コンプレッサー、アルミニューム、トランスミッションなどの産業で失業者が増えると見ています。

中国が米国の保護貿易主義に対抗し、米国の製造する旅客機を買わなくなったら、シアトル・カンザス、コネチカットなどの経済が悪化します。

その反面、トランプの税制改革は、明らかに景気支援的です。

具体的には個人の所得税率をこれまでの7段階から3段階(12%、25%、33%)に簡素化すると言っています。最高税率が33%に下がるので、これは裕福層にはありがたいです。

また法人税を35%から15%へ引き下げるとしています。さらに相続税は廃止すると言っています。

これらのことが何を意味するかといえば、税率の累進性(=お金持ちほど税金が高くなること)が弱まるのです。

このため所得上位20%は、税引き後所得がこれまでより4.4~6.5%上昇すると見込まれています。

その反面、連邦政府の税収は▲4.4~5.9兆ドルもの減収となります。

これに対し、クリントンの税制改革プランは保守的です。

年収五百万ドル超の裕福層の税率は43.6%へと上がります。相続税控除額もこれまでの545万ドルから350万ドルへと下がってきます。さらに相続税率は現行の45%が最高65%へと上がります。

つまりクリントンの税制改革が本当に実施されたら、裕福層はボコボコに凹まされるわけです。

普通、株式市場は増税のニュースを嫌気します。だから(クリントンが大統領になれば、すべて解決し、株はオッケー)と思っている投資家は、頭の中がお花畑で、何も準備ができていないと思います。

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