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米大統領選で睡眠不足、原因はストレス?

By RACHEL BACHMAN and SUMATHI REDDY

Photo: Gary Hovland for The Wall Street Journal

 運動量や睡眠パターンを計測するウエアラブル端末のデータを分析した結果、大統領選が原因の睡眠不足が米国民の間で広まっていることが分かった。フィットビットなどのメーカーの調査で判明した。

 サンフランシスコを拠点にするフィットビットによれば、共和党候補のドナルド・トランプ氏と民主党候補のヒラリー・クリントン氏が初の討論会を開いた9月26日(月曜)には端末利用者の睡眠時間が減少。その前後の週の月曜と比較し、全米で平均4.2分短かった。同社によればフィットビット利用者の睡眠時間は週の同じ曜日を比べた場合、通常であれば1分から2分程度しか変化がなく、今回の違いは統計的にも意味がある数値だという。

 調査は米国内1000万人の利用者情報を分析して行われた。利用者の睡眠時間はウエアラブル端末をモバイル機器やコンピューターと同期する際に収集される。フィットビットでは個人の判別ができない状態にしてからデータの分析を行っているという。

 討論会の夜に睡眠時間が減少する傾向はインディアナ州、フロリダ州、サウスカロライナ州、そしてワシントンDCなど米国東部で顕著に見られ、第1回討論会の際は10分以上も睡眠時間が短縮していた。

第1回討論会の夜、フィットビット利用者は平均して4.2分、睡眠時間が短かった
第1回討論会の夜、フィットビット利用者は平均して4.2分、睡眠時間が短かった

 しかし時差の関係で討論会が就寝時間よりもだいぶ早く終わる米国西部でも同じような現象が起こり、カリフォルニア州やテキサス州の利用者も睡眠時間が普段よりも5分程度短かったという。

 フィットビットの研究部門のバイスプレジデントを務めるシェルテン・ユエン氏は、この程度の寝不足が翌日の認知能力に大きく影響することは恐らくないものの、人によっては違いを感じる場合もあると話す。

史上最多の視聴者数

 両候補による第1回討論会は史上最多となる8400万人が視聴した。これは米国内の成人人口の3割程度にあたる。今年の視聴者数では米プロフットボールリーグ(NFL)のスーパーボウル(1億1200万人)に次ぐ2番目の数字となった。また第2回と第3回の討論会や副大統領候補の討論会も高い注目を集め、中継は年間視聴者数上位7位までにすべてがランクインしている。

 フィットビット利用者の間では、スーパーボウルの際も8分程度の睡眠時間の減少が確認されている。ただし不安や興奮などがこうした視聴者の寝不足の原因だったのかどうかまでは明らかになっていない。フィットビット利用者の平均就寝時刻は午後11時44分だが、スーパーボウルも討論会も米東部時間の午後10時45分までには終了している。

 一方、同様のウエアラブル端末を販売する他の企業から得られたデータも第1回討論会後などは睡眠時間が短くなっていたことを示している。フィンランドのノキア・テクノロジーズの傘下に入ったウィズイングスの製品を利用するユーザーの場合、第1回討論会と副大統領討論会が行われた夜は前週と同じ曜日と比べて5分弱ほど睡眠時間が短かった。また最後の討論会が行われた夜は、9分弱も睡眠時間が短縮していたという。データは約1万3000人から1万5000人のウィズイングスの活動量計ユーザーや、インターネットに接続しているアラーム時計利用者から収集・分析された。

ウエアラブル端末の多くは利用者の睡眠時間などを計測し記録する
ウエアラブル端末の多くは利用者の睡眠時間などを計測し記録する
Photo: Fitbit


 ジョウボーンのウエアラブル端末を使う利用者も、第1回と第2回の討論会後は前年同日と比べて睡眠時間が5分ほど短かった。ジョウボーンのデータは全米各州に住む10万人の情報を分析して得られたという。

 運動や睡眠を記録するウエアラブル端末を所有する層は一般的な有権者よりも少し若く、収入が著しく多い場合が多い。市場調査会社NPDグループのウェストン・ヘンデレク氏によれば、このような端末利用者のうち40%以上が10万ドル(約1040万円)を超える世帯収入を得ている。

大統領選は「ストレスの原因」

 睡眠不足はストレスが原因になることもある。調査会社ハリス・ポールの統計によれば米国内の成人の半数以上が、大統領選はストレスの大きな原因になっている、もしくは多少ストレスの原因になっていると考えている。また登録済みの民主党員(55%)と共和党員(59%)でも同じように大統領選がストレスになっていると答えた人が過半数に達している。

 ハリス・ポールによる調査は3500人の成人を対象に8月に実施され、結果の一部は米国心理学会が10月に公表した。学会で研究や特別プロジェクトなどを手掛けるベイル・ライト氏によれば、ソーシャルメディア(SNS)を利用する人の方が大統領選にストレスを感じやすい傾向があったという。

 「頭の中で悩み事がずっと再生され続けて、それをなかなか止めることができない。その結果寝付けなくなり、安眠を取ることも難しくなっている状況だろう」とライト氏は話す。

SNSやニュースは視聴制限を

 アーカンソー州ジョーンズボロに住むリサ・ボーンさん(42)は、10月19日に行われた最後の討論会を視聴しないと決めていたという。しかし真夜中に6歳の息子に起こされた後、フェイスブックを立ち上げて討論会の結果に関するやりとりを読み続けてしまったと話す。「その後、なかなか頭を切り替えることができずに1時間以上も寝られなかった」と彼女は振り返る。

 コロンビア大学メディカルセンターで精神医学を教えるフィリップ・マスキン教授は、患者の3人に1人は大統領選について相談してくると明かす。睡眠不足の原因になっていると話す人もいるほか、特に女性患者はトランプ氏の女性の扱い対して怒りをぶつけるという。マスキン氏はその場合、睡眠薬を服用して寝るのではなく、ニュースの視聴やSNSの利用を控えるのが得策だとアドバイスをする。

 「午後11時半に就寝したいのであれば、10時には機器の電源を切り、刺激を受けないようにすべきだ」と同氏は言う。

 一方、大学のキャンパスでも睡眠不足は広まっている。スマートフォン・アプリのイック・ヤックが10代後半から20代前半の利用者を中心に5000人を調査したところ、その89%が選挙を理由に睡眠不足に陥っていると返答。睡眠不足だと話した人のうち、73%が選挙後の影響に不安に感じていると答えたという。

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