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ネスレ(Nestle)に学ぶ食品ビジネス

あつまろです。

「ネスレ 世界を牛耳る食の帝国」というタイトルで週間ダイヤモンドが特集を組んでいました。 投資という観点でみると食品は生活必需品なので、安定的で長期で計算しやすい頼りがいのある投資事業対象になります。 しかし、日本の食品企業は内向きが多くて世界志向を持つ企業は、味の素やビール会社など数が少ないです。 ネスレは世界で事業を展開する企業として模範になる点がたくさんあります。きょうはそんなネスレをみていこうと思います。

週刊ダイヤモンド 2016年 10/1 号 [雑誌] (凄いネスレ)

「メガ食品メーカー、Nestle」

Nestleといえば何を連想しますでしょうか。 わたしがすぐに思いつくのは、ネスカフェのコーヒーブランドとKitKatのチョコレートです。 他にもペリエやVittelなどのミネラルウォーター、ハーゲンダッツなどのアイスクリームや乳製品、マギーなどの調味料、他にもペットフードや栄養食品も取り扱っています。 先の週刊ダイヤモンドが計算した為替レートでみると売上高9.3兆円という規模です。10兆円企業ですね。 さらに営業利益(税引前利益のことでしょうか)が1.4兆円と利益率は約15%という水準です。高収益です。

「ネスレはここが違う。その1、製造原価」

日本で優良企業と言われている味の素と比較したときに、原価比率(製造原価(減価償却除)/売上)は、味の素は約60%なのに対してネスレは約50%と、10%の差をネスレNestleはつけており、これが収益性に大きく差をつけています。ちなみに日本の食品製造業の平均原価率は70%と言われており、味の素はかなり優秀といえますが、ネスレが桁違いになっています。

メガブランドの数の違いはあるのですが、コストへの取り組みがネスレはすごいです。ネスレは原料仕入れコストのうち3分の2は途上国サプライヤーから調達しています。しかし、途上国からの調達だと品質面が心配になります。ミルク(牛乳)の例をとると、創業以来の実績を誇る牛乳生産者の地区支援システムを通して、約800人の農学者と約7,800人の外部指導員を動員して、世界60万人の生産者への援助を実施しています。そこで生産者との結びつきを高めて高品質で安価な牛乳を調達しているわけです。こういう点は他社には模倣困難なネスレという企業ならではの組織能力といえます。

「ネスレはここが違う。その2、運転資金が異常に少ない」

運転資金は事業をするにあたりキャッシュをどれだけ企業内で保有しておかならければならないか、ということです。食品でイメージしていきますと、原料(例えばカカオ)を購入して支払いをして、そこからチョコレート製品ができて、スーパーやコンビニなど小売店を通して消費者に売れて、そこで対価としてキャッシュを得ますが、それまでの期間、企業が準備しなければいけないキャッシュの額です。ここが大きいということはキャッシュを常に抱えるために資金調達コストがかかるなど経営の効率性にかかわってきます。

なお、計算式は 「売上債権(売掛金・受取手形) + 棚卸資産(要は在庫) - 仕入債務残高(買掛金・支払手形)」で算出されますが、ねすれ は運転資金の対売上比が1%台と異常に低い値になています。 ちなみに味の素で約15%、明治は約12%となっており、まさにケタが違います。そこで何が大きく違うかという点をみると、買掛金(要はツケ)の比率がネスレはとても大きいのです。買掛金は売上の約17%を超えており、味の素や明治の2倍近い差をつけています。それは何を意味するかというと、先の生産者に対して支払いを待っている期間が長いということです。これは生産者側にとってうれしいことではないので、ネスレの生産者に対する発言力の強さ(バイイングパワー)のひとつとも言えますし、私はそれだけでなく先の1世紀以上にわたる生産者との関係があるんじゃないかと思います。超長期で農業生産者を支援して、安定して調達することで生産者としてもネスレが安定的に購入してくれる安心があるので多少支払い期間を待ったとしても補ってあまりある関係を築けているように感じます。

「ネスレはここが違う。その3、「のれんが大きい」」

会計基準が違うので参考レベルでしかなりませんが、のれんを含む「その他の固定資産」という額をみた場合は、味の素と明治は対売上比で10-20%のレンジになります。一方で、ネスレは60%を超えています。つまり売上にかける固定資産の効率が低いともいえますが、ここにネスレの経営の特徴がみえてきます。額にすると約2.5兆円もかかっており、それだけM&Aをしてきているということです。ネスレは買収をとおして、これまで自社でもつ商品ラインアップ・販売ネットワーク・生産拠点を活かしつつ、それを高める買収をしてきたと考えられます。例えばミネラルウォーター事業は、50以上のブランドで世界100ケ国以上で売っています。VittelやPerrier(ペリエ)など既存ブランドがありますが、例えばベトナムでLa Vieというローカルミネラルウォーター事業を買収することができると、既にLa Vieが持つ小売店への販路に高級ブランドとしてVittelやPerrierを売り込むことができます。 そうやって買収を繰り返すことで、商品ラインナップ・販売ネットワーク・生産拠点を拡充してきているといえます。

「ネスレに学ぶ、味の素」

週刊ダイヤモンドの特集でも「ネスレは味の素の兄貴分!?新興国モデルも瓜二つ」というコラムがありますが、味の素がいかにネスレの経営を学び(まね?)、現在日本食品メーカーとしてモデルのような立ち位置を獲得してきています。ただ、世界最高峰のネスレと比べればグローバル規模での生産者との関係性や、M&Aなどまだまだ大きな差があります。まだそれだけ超える山があるということ、ぜひネスレに追いつけ、追い越せで、味の素など日本食品メーカーも世界で奮闘してほしいなと思っています。

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