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12月の米利上げの観測強まるが大統領選の結果次第とも

 12月1日、2日に開催されたFOMCでは賛成多数で現在の金融政策の維持を決定した。カンザスシティー連銀のジョージ総裁と クリーブランド連銀のメスター総裁が利上げを主張し反対票を投じたが、前回反対票を投じたボストン連銀のローゼングレン総裁は賛成に回った。

 今回の声明文では「委員会はFF金利を引き上げる根拠は引き続き強まったと判断するが、当面は目標に向けて続く進展に関するさらにいくらかの証拠を待つことに決めた」とした。また、「インフレ率は今年の初めからやや上昇した」としたほか、目先はインフレ率が低い水準にとどまるとした従来の文言を削除した(ロイター)。

 これにより12月のFOMCで利上げの可能性が高まった。4日に発表された10月の米雇用統計で非農業雇用者数は前月比16.1万人増と予想の17万人程度を下回った。しかし、前月の数字がは19.1人増と速報値の15.6万人増から上方修正されたこともあり、市場のコンセンサスは12月の利上げとなっている。

 ただし、ここにきて米大統領選挙の行方に不透明感が強まった。クリントン候補のメール問題が再燃し、トランプ候補との支持率が接近している。万が一にもトランプ候補が勝つようなことになると金融市場は波乱含みの展開となろう。その際にはいったん利上げ観測が後退するとみられる。

 ただしクリントン候補が勝てば、不透明要因はいったん後退し市場は歓迎するとみられる。FRBにとっても利上げできる環境が整うことになる。しかしひとつ気になる点は、クリントン氏が大統領となった際の財務長官候補とされるブレイナードFRB理事の存在か。利上げにむけて慎重派とされるブレイナード理事が、12月のFOMCで利上げに賛成してくるのかどうかも焦点となりそうである。

 12月2日、3日にはイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)も開催された。こちらも予想通りの現状維持となったが、2017年のインフレ率見通しを大きく引き上げるなど、ポンド安による物価上昇をかなり意識したものとなった。8月には国民投票でのEU離脱選択の影響を懸念し利下げを決定したが、その際に示した追加利下げの公算に関するガイダンスを無効とした。

 カーニー総裁は決定発表後の記者会見で「インフレ目標への持続的な回復を確保するため、金融政策は景気見通しの変化に応じいずれの方向にも動き得る」とし、「今後の政策に関するバイアスは中立だ」と述べた(ブルームバーグ)。

 一時大きく売られた英国の通貨のポンドではあったが、ここにきて底打ち感も出ている。3日に英国のEU離脱手続き開始に議会承認が必要との司法判断等を受けて、外為市場でポンドは上昇した。ポンド・ドルのチャートからはいったん戻りを試すような動きにもみえる。それでも水準自体はかなり低いところにある。

 イングランド銀行はEU離脱による金融経済への影響よりも、物価動向を見据えた金融政策に舵を取った。日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」も実質的には追加緩和に向けたバイアスを修正したともいえる。日米欧の中央銀行の金融政策のバイアスは緩和方向から中立もしくは引き締めにむけて方向が変わりつつあることも確かである。

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