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終わらない仕事、自宅残業派? 翌朝持ち越し派?

大和ハウス工業 会長・CEO 樋口武男 構成=吉田茂人 撮影=熊谷武二

「志」のあり方で取り組み方が変わる

仕事に追いかけられながら社員が頑張ってくれたおかげで、大和ハウスグループは売上高2兆8000億円の企業にまで成長した。その点でいえば、残業がなくて時間になったらパッと帰れるのがいいのか、難しい問題である。

ビジネスの世界でもスポーツの世界でも成長の過程では人一倍頑張ったという時期があるはずだ。その過程では、自分がどうなりたいのかという「志」のあり方によって、仕事への取り組み方も大きく変わってくる。


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上司がいくら仕事に打ち込んでもらおうとしても、成果は本人の人生設計の持ち方によって違ってくる。人生設計がはっきりしている人は仕事でも一生懸命に努力をする。航海に出て羅針盤がなければどこへ行くのかわからないのと同様、「夢」に合わせて自分自身の羅針盤を持たなければ目的地に到達することはできない。

私は20歳のときに、いずれ独立して自分で会社をつくり、その会社を上場させて恩返しの親孝行をするという、将来なすべきことを明確に決意した。そのために経営のすべてを経験したいと思い、いくら仕事で遅くなっても目的を達成するまでの過程にすぎないと考えてやってきた。

入社して工場へ配属になったときには、1日の睡眠は4時間取るのがせいいっぱいだった。朝5時半に家を出て、夜12時頃に帰る生活だったが、自分のしっかりした目標があったからまったく苦にならなかった。大和ハウス工業に入る前の鉄鋼商社では、朝9時から夕方5時の勤務で、残業する人もいなかった。土曜日は半ドンだったし、こんな楽をしていて自分の将来の夢に役に立つのか疑問を感じ、ぬるま湯的な職場に不安と違和感が募り転職した。

だから人生の目的がはっきりさえしていれば、朝型の人と夜型の人、それぞれタイプがあるから、残業や自宅に持ち帰るのもいいし、翌朝早く出社して仕事を片付けても良いと思う。私はその日のうちにけりをつけたいタイプなので、残業してでも片付けてしまったほうだ。ただ、残業までするというのは、仕事の効率が悪いという見方と仕事が多すぎるという問題がある。Aさん、Bさん、Cさんの3人がいて、Aさん、Bさんはできているけれど、Cさんだけができなかったとする。Cさんは創意工夫が足りないのか、その力がないことになる。その場合は努力に努力を重ねるようにするのか、他の部署の適性があるのかを見極める必要がある。一つのことができないからといって、あいつは駄目な人間と決めつけるのはおかしい。

会社としては、各自のノルマを期限までに達成してくれれば良いわけで、給料をもらうプロフェッショナルであるならば、いつまでに仕上げなければいけないかの判断は、自分でコントロールすべきだと思う。自分の責任を果たすというのは、社会人としての最低限度の常識である。

大和ハウス工業 会長・CEO 樋口武男(ひぐち・たけお)
1938年、兵庫県生まれ。関西学院大学法学部卒。63年、大和ハウス工業に入社。93年にグループ会社の大和団地社長。2001年、大和ハウス工業社長。04年より現職。著書に『熱湯経営』『凡事を極める─私の履歴書』などがある。

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