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自動運転開発「Uberが独走、Googleには試練」のワケ - 宮田拓弥

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 自動運転の開発競争が激化している。提携、買収、新しいサービスなど、最近は自動運転に関するニュースがない日が珍しいというくらいだ。この3カ月の間の主だったニュースをまとめてみると次のようになる。

 7月:GoogleがUberに対抗し、ライドシェアサービスを開始

 8月:nuTonomyがシンガポールの一般道での自動運転テスト開始
   UberとVOLVOが自動運転で提携
   Uberが自動運転スタートアップOtto買収
   Teslaが独自ライドシェアサービス構想発表
 
 9月:Uberが米国の一般道での自動運転テスト開始
   米国政府が自動運転車の開発、運用指針発表
   Googleの自動運転車が信号無視の車に衝突される
   UdacityがMercedesなどと自動運転エンジニアのオンラインコース開始
   Comma.aiが後付けの自動運転キットを発表
   Uber傘下のOttoが長距離トラックビジネス参入


 Google、Uber、Teslaなどを中心に様々な動きがあるが、自動運転車開発でのVOLVOとの提携、元Googleのエンジニアたちが立ち上げた自動運転スタートアップOttoの買収(買収額6億8000万ドル、約680億円)、一般人を乗せての自動運転テストと、Uberが矢継ぎ早に動きを見せている。

 最もインパクトがあるのは、UberとMIT(マサチューセッツ工科大学)発のスタートアップであるnuTonomyが、「一般の利用者」を乗せて一般道での自動運転テストを開始したことであろう。

 これまでも、Googleや自動車メーカーなどが、社員を乗せて一般道でのテストを長い間行ってきたが、「一般人」を乗せたことはなかった。今回、Uberなどが一般人向けのテストを開始したことで、自動運転車が実用化に向けて大きな一歩を踏み出した感がある。

 9月14日には、Uberの自動運転技術開発センターがある米ピッツバーグで、自動運転車によるライドシェアのテストを開始した。一般の利用者を対象として、ピッツバーグの街中を自動運転車でテスト走行するというものだ。

 当面は、Uberの社員が2人同乗をしており、いつでも運転をマニュアルに切り替えられるようになっているということだが、実際の市街地を基本的に自動運転することが可能だという。テスト車両は、Fordの市販乗用車Fusionを改造したものだ。

 テスト車は、速度規制を守り、黄色信号ではちゃんと止まるため、多くの体験者は少し運転が遅いと感じるようだが、今のところ大きな問題はなさそうだ。しかし、まだ苦手な状況(橋:周りにビルなど認識するものが少ない、厳しい天候:雪で車線やセンサーが隠れる、植物:地図データにはある街路樹の葉っぱが季節によっては散っているなど)が数多くあり、最終的に目指している「無人運転」が実現するまでには、まだ時間がかかりそうだ。

完全自動運転車に乗りたい人はわずか16%

 技術開発が進む自動運転車だが、その普及には「技術」「規制」「社会」の3つの大きな壁があると言われている。

 「技術」は、今回Uberが一般向けにテストを開始したことに見られるように、自動運転の区分でいうところのレベル3(基本的には自動車任せだが運転者の監視が必要で、緊急時は人間が制御)の技術は一般道においても実用化に近づきつつあるように思われる。レベル3であっても、交通事故の削減、高齢ドライバーの補助、長時間運転時の補助など、ドライバーそして社会にとって大きなメリットがあることは間違いない。

 ただ各社が目指しているのは、ドライバーが全く乗っていないレベル4だ。これは前述のUberのテスト車にあるような苦手なシチュエーションを、テストを重ねることでクリアしていくだけでない。人が運転する車の予想外の行動、歩行者の予想外の行動など、自動運転側の技術の進化だけではクリアすることが難しいポイントも存在する。Uberが次にスタートすると思われる「一般人を乗せてのレベル4のテスト」がどのような形で行われていくのか注目だ。

 「規制」については世界的な条約(ジュネーブ道路交通条約)の問題、各国の法律の問題などがある。技術開発が進む米国においても、州ごとに規制や見解が異なり明確なルールが存在しないという状況が放置されていた。

 そんな中、9月に米国政府が初めて自動運転車の開発、運用指針を発表した。メーカー側に技術情報や運転情報など様々なデータを政府に提出することが義務付けられ、そのまま受け入れられるかは不透明だが、これをきっかけに自動運転時代にあったルール作りが進むことが期待される。

 最後のポイントが「社会」の受容だ。今年3月に、ミシガン大学が自動車を運転する人を対象に行った調査では、レベル4、つまり「完全な自動運転の車に乗りたい」と答えた人の割合は、わずか16%にとどまった。一方で、「引き続き自分で運転をしたい」と答えた人の割合は46%にも上った。つまり技術開発が急速に進む一方で、消費者の側はそれを受け入れる準備はできていないと言える。

 私自身もオートパイロット機能がついたTeslaに乗っているが、初めてオートパイロットを体験したとき、高速道路でオートパイロットモードに切り替えると、カーブでも車線の真ん中を自動的にキープし、前の車との車間を一定にキープするが、高速で走る車がどのくらい正確に自動でハンドルを切ってくれるのかが信用できず、隣のレーンの車に徐々に近づいているような気がして、手に汗を握ることが何度もあった。

 今はオートパイロットの力量が理解できたためこうしたことはなくなったが、自動運転に馴れるにはある程度の時間が必要であることを体感した。

 やはり自動運転車というのは人類にとっては「未知の乗り物」なのだ。自分が運転をせず、人工知能が運転してくれるというのは、頭では理解をしても、実際に乗ってみると受け入れるのはなかなか難しい。

 自動運転の技術開発に取り組む事業者にとって、「自分が運転する車」と100年間共存してきた社会にどう受容してもらうのかという点は大きなポイントとなりそうだ。


自動運転を巡って加速する合従連衡
(出所)各種資料をもとに筆者作成  写真を拡大

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