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米国の2015年の原子力発電 〜 稼働率は過去最高92.2%、発電電力量は世界第1位・・・

 米国原子力エネルギー協会(NEI;Nuclear Energy Institute)は最近、2015年の米国の原子力発電について、次の旨を発表した。

① 稼働率は過去最高の92.2%(資料1)
② 他の電源に比べても稼働率は相当高水準(資料2)
③ 発電電力量は7980億kWhで世界第1位(資料3)
④ 米国の電源構成のうち、原子力発電比率は最近10年間20%を維持(資料4)

<資料1>
57
http://www.nei.org/Knowledge-Center/Nuclear-Statistics/US-Nuclear-Power-Plants/US-Nuclear-Capacity-Factors

<資料2>
13
http://www.nei.org/Knowledge-Center/Nuclear-Statistics/US-Nuclear-Power-Plants/US-Capacity-Factors-by-Fuel-Type

<資料3>
42
http://www.nei.org/Knowledge-Center/Nuclear-Statistics/World-Statistics/Top-10-Nuclear-Generating-Countries

<資料4>
58
http://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=26232

 また、米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)が今月25日に発表したところでは、米国の3大電力系統ごとに見ても、原子力は、設備容量(capacity)の割合に比べて発電電力量(generarion)割合が高いことが見て取れる(資料5〜8)。

<資料5>
47

EIA “Energy source mix varies among the three U.S. electricity grids

<資料6>
14
EIA “Energy source mix varies among the three U.S. electricity grids

<資料7>
24
EIA “Energy source mix varies among the three U.S. electricity grids

<資料8>
34
EIA “Energy source mix varies among the three U.S. electricity grids

 原子力発電は、化石燃料その他のエネルギーによる発電との比較でも、コスト低減効果やCO2・SOx・NOx排出抑制などの環境保全効果が大きい。もちろん、使用済燃料や放射性廃棄物に係る諸問題を解決する途を示すべきであるのは当然なのだが、いわゆる“最終処分問題”は適切な中間貯蔵により最終的にはそれほどの障害にはならない。

 原子力発電所の運営は、政治的に翻弄されやすいが、その面で適切な判断がなされれば、技術的に可能な範囲で稼働率を90%以上にまで引き上げることができる。

 主要国の原子力発電所の動向と比較すると、米国の平均稼働率は高水準である一方で、日本の平均稼動率は低水準で、しかも2011年以降はゼロ近傍。その理由は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故後の政治・行政上の判断による。

 原子力発電所事故を経験した米国と旧ソ連は、事故炉以外の原子炉を強制停止状態にはしなかったが、日本はなぜか事故炉以外の原子炉まで、事実上、強制停止状態に置かれている。

 日本のエネルギー事情を冷静に見つめれば、原子力規制基準に係る猶予期間の設定など原子力規制行政上の運用を改善することで、事故炉以外の原子炉の早期正常化を政治的に決断する必要がある。

 天然ガスや石炭など化石燃料による発電(火力発電)は安定電源なので、供給安定性の観点からは、火力発電は他の火力発電や原子力発電の代替になり得る。但し、火力発電はCO2・SOx・NOx排出などの環境影響が相当ある。

 日本のような化石燃料をほぼ全面的に輸入依存している国では、コスト面でも大きな負荷がかかっている。エネルギー自給率を向上させる必要性は、安全保障面だけでなく、コスト面からの要請でもある。

 風力と太陽光の設備利用率は、日本(陸上風力20%、太陽光14%)との比較においては、相当高い。しかし、これらの再エネによる発電は、当面の技術では、不安定電源であること、不安定電源であるために火力発電によるバックアップが必須であること、設備容量が小さいことなどから、原子力発電や火力発電の代替にはなり得ない。水力・地熱・バイオマスと違って、風力・太陽光は天候に左右されるので、蓄電システムが浸透するまでは、不安定電源のデメリットを克服することはできない。

 原子力と風力・太陽光の関係を語るには、こうした基本的知識を大前提としていかないといけない。蓄電システムが普及はまだまだ遠い未来の話であろう。それまでの間は、原子力と化石燃料で凌いでいく必要がある。

 しかし、将来的に風力・太陽光など『再エネ100%化』を目指すべきであることは、言うまでもない。

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