記事

お金の大失敗を避ける世代別アドバイス

お金にまつわる失敗は世代ごとに異なる。それを防ぐコツとは?
お金にまつわる失敗は世代ごとに異なる。それを防ぐコツとは?
Photo: John Kuczala for The Wall Street Journal


By CHARLIE WELLS

 私たちとお金との関係は年齢とともに変化する。お金にまつわる失敗も同じことだ。

 人生が新しいステージに入るたびに、新しい資産管理の戦略が必要となる。また失敗の内容は経済情勢や人口動態とともに変化するため、いまの世代が経験する失敗は、過去の世代が避けようとしたミスとは異なる。

 世代ごとに犯しやすい失敗の例と、回避するポイントを以下にまとめた。

20代:過度な安全志向

 キャリアの出発点においては、貯蓄を数十年かけて大きく育てるため、積極的な投資が必要と言われている。しかし各種の調査結果によると、現代の20歳代は大きなリスクを取りたからず、投資を手控えたり、非常に保守的な手段を選んだりする。

 例えば、ジョージアサザン大学のリンジー・ラーソン助教(マーケティング)による今年の分析によると、ミレニアル世代の約100人を対象に退職金口座の運用方法を調査したところ、株式への配分が少なく、収入が保証されているものを好む傾向があった。これは長期運用してもわずかなリターンしか得られない選択肢だ。「いまはお金に関する知識がない」といった理由を挙げ、低リスクが「最善の選択肢」などと回答している。

上:投資は危険すぎると感じる人々の割合(左から:ミレニアル世代、X世代、ベビーブーマー世代、沈黙の世代) 下:ミレニアル世代は投資に占める現金比率が高く、株式比率が低い(上から:現金、株式、債券、不動産、オルタナティブ、その他)
上:投資は危険すぎると感じる人々の割合(左から:ミレニアル世代、X世代、ベビーブーマー世代、沈黙の世代) 下:ミレニアル世代は投資に占める現金比率が高く、株式比率が低い(上から:現金、株式、債券、不動産、オルタナティブ、その他)

 ラーソン氏が引用した文献によると、ミレニアル世代はとくに金融リテラシー(お金に関する知識や判断力)が低い。同氏の調査では、この世代は失敗を恐れるため独立した思考や意思決定をしにくい傾向が見られた。このようなリスク許容度の低さは現在の20歳代に特有のものであり、米同時多発テロや世界金融危機などで長らく不透明感にさらされたためではないかと同氏は指摘する。

 解決策としては、あらかじめ設定した期日に向け、リスクの高い投資から次第に保守的な資産に変えていく「ターゲット・デート・ファンド」が選択肢となり得るだろう。

30代:複雑な問題に振り回される

 30代の10年間は往々にして結婚したり子どもを持ったりといった大きなイベントがある時期だ。そのため複雑なお金の問題が一気に持ち上がり、失敗しやすい局面も多い。

 バッキンガム&BAMアライアンスの女性向け資産戦略責任者マニシャ・タコール氏は、この世代の人々が両親と同じ高い生活水準を求めたがると指摘する。そうした傾向はクレジットカード債務につながり、貯蓄の代わりに消費をするため貯蓄の複利効果を得られないことになる。

 「最初のうちはテレビや映画のような美化された暮らしよりも、大学を出たての若者のように生活するのがよい」とタコール氏は助言する。

 さらに金融全般が以前よりも複雑さを増している。今日の30代には多くの選択肢が用意されているが、その複雑さに対処する準備ができていない。そこにミスが生じる余地が生まれる。

 ロボ・アドバイザー会社ベターメントの金融アドバイザー、ニック・ホールマン氏は個人退職金口座を例に挙げる。30代に入るとこうした口座を検討する人が増えるが、年間積み立て限度額を超えるとペナルティーが課されるなど、複雑な仕組みをよく理解しなければ、思わぬ不利益を被ることがあると注意を促す。

40代:大きな出費で判断ミス

 40代までには職業人生のほぼ半ばに達し、大きな出費に見舞われることがある。多くの金融アドバイザーは特に失敗しやすい2つのポイントを挙げる。住居費と教育費だ。

 コーナーストーン・ウェルス・アドバイザーズの金融アドバイザー、ジョナサン・ガイトン氏は、高すぎる住居を購入し、40代の間にローン返済に精を出すことを怠るため、退職後に十分な収入を確保できなくなる人が多いと指摘する。

 問題はローンをいつ完済するだという。「私が47歳として、2~3年前に大きな家を購入して30年ローンを組んでいたら、返済に75歳前後までかかる。つまり引退して収入のほとんどを使いたいのに、お荷物がついて回るのだ」。同氏は40代のうちに住宅ローンを組み直し、返済を前倒しすることを勧める。

 子どもへの出費が思いのほかかさむ人も多い。40代後半の大きな出費は大学の授業料だ。ガイトン氏は車を購入するときのように教育費の判断を下すべきだと話す。授業料の余分な数千ドルは何をもたらすのか? 20万ドル以上の支出は年金計画にどのように影響する可能性があるか? その資金を市場で増やさなかったことによる機会費用は?


「サンドイッチ」現象に悩む世代
2013年の調査結果の分析によると、存命の両親と成人した子どもがいる男女のうち、30%以上が両方の世代を支援している(青:子どものみ、オレンジ:親のみ、緑:両方、紫:どちらも支援せず)


 それ以外にスポーツや部活動などの費用も生じる。コンパス・プランニング・アソシエイツの金融プランナー、ジェニファー・レーン氏は、子どもへの出費は親の収入の10%に収めることを勧める。小遣い制にするとコストが比較的抑えられるという。

 子育てと年老いた両親の世話が重なることもある。金融アドバイザーはこうした「サンドイッチ」現象に悩む40代の顧客が増えていると話す。以前は見られなかったこの現象は、子どもをもつ年齢が後にずれていることが背景にある。

 レーン氏が勧めるのは、世話が必要な親に対して「ビジネス関係」を保つことだという。「心配しなくてもいい。なにもかもうまく行くから」と言って金銭的な負担を引き受けるのではなく、金銭面の判断を下せる人に「家族にとって何が最善の方法か?」を相談するのだ。

50代:蓄えが追いつかない

 50代の多くにとって悪夢のシナリオは、引退後に備える十分な蓄えがないという事態だ。成人の寿命が大きく伸びる中、退職資金が40年以上底をつかないようにすべきだと金融専門家は話す。

 ライフスタイルの変化もマイナス要因だ。ボストン大学退職研究センターのアリシア・マンネル所長は、老後には続けられない生活スタイルを50代になって始める人が多いと話す。「子どもたちが独立し、授業料を払い終わると、生活水準を引き上げる傾向がある」という。

 50代には別の誘惑もある。夢をかなえるため、または必要に迫られての起業だ。ジョージワシントン大学経営大学院のアンナマリア・ルサルディ教授の2016年の論文によると、ベビーブーマー世代はそれ以前の世代に比べて事業を興す人が多いという。場合によっては報酬をもたらすが、たいていは非常に危険な賭けだと同教授は指摘する。

 退職資金がピンチだと感じる人々にとって「極めて重要な手段」とマンネル所長が話すのは、社会保障制度からすぐに年金を受け取らないことだ。62歳ではなく70歳まで待つことで、毎月の受取額は76%増しとなる。

60代以上:他人に任せられない

 個人のバランスシートは年を取るほど一段と複雑になる。しかし最近の調査で不愉快な事実が相次いで判明した。われわれの分析能力はこの複雑さについていけないというのだ。

 ジョージタウン大学マクドノー経営大学院のサミット・アガルワル教授(金融論)の2009年の研究「判断力の年齢」によると、金融に関する意思決定のピークは53歳だという。

 しかし大半の人々は自身の能力を過大評価し、重要な仕事を他人に任せようとしない。それが投資商品の細則を見落とすといったミスにつながる可能性がある。アガルワル教授は、認知能力が衰える前に、資産に関する責任を委ねるべきだと提案する。70代か80代になってからではなく、50代か60代のうちに。

あわせて読みたい

「貯金」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    よしのり氏「バイキング」を叩け

    小林よしのり

  2. 2

    JTBを筆頭に死にゆく旅行代理店

    木曽崇

  3. 3

    都民ファが都議賞与UP阻止に反対

    上田令子(東京都議会議員江戸川区選出)

  4. 4

    NHK契約義務なら相応の番組作れ

    中田宏

  5. 5

    日本では皆が狙える年収1000万円

    永江一石

  6. 6

    宮司殺傷 遺書を2300箇所に送付

    文春オンライン

  7. 7

    中国人カキ殻100t投棄 どう対策

    高橋亮平

  8. 8

    皇后陛下に退位後も仕えたいの声

    NEWSポストセブン

  9. 9

    聴取拒否する貴乃花の行動は異様

    鈴木宗男

  10. 10

    藤吉久美子 50代ドラマPと不倫か

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。