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1986年の原子力発電所事故後に味噌の輸出は急増したのか

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■味噌と放射線の検証あらすじ



(味噌は放射線対策になるのか、という検証エントリを読んだ方はここはとばしてもらってもかまいません)


【放射線対策には味噌が良い】


福島の原子力発電所事故後、このような情報がツイッターなどネット上で流れました。


初めのうちはマクロビオティックと謂う、陰陽思想を採り入れた特殊な食事法を実践している方々が中心にこの話を広めているようでした。マクロビオティックを以前から批判していた立場から、当ブログではマクロビ食は放射線対策として期待できませんよ、と謂う記事を書かせていただきました。→http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110316/1300276638



ところが、それだけに留まらず、味噌メーカーのウェブサイトでも味噌が効果があるかのような記載が掲載されたり、一部週刊誌でも特集を組まれるようになりました。これについては、FOOCOM.NETにおいて、「1日2杯の味噌汁が効く」は本当ですか?放射能汚染のトンデモ科学に騙されないためにという、特集記事が組まれ検証されております。



結論から先に書きますと、1日に2杯程度の味噌汁が放射線による体への影響を抑えることができると謂えるような研究報告はありません。あるのは燥重量で食事の10%を味噌に置き換えた食事を与えていたマウスに高線量の放射線を照射したところ、そうでない無いマウスにくらべ、小腸粘膜幹細胞の生存率が高かったというものです。この実験に於いてはマウスの生存日数に統計学的に有意な差は確認できておりません。



少しでも効果が確認できているのなら、念のために味噌を食べておけば良いのでは?そんな風に考えてしまいそうですが、動物実験の結果を人間に当てはめて効果があると考えるのは実はとても無理があることなのです。もう一つ、効果が確認できたのは食事全体の10%も味噌に置き換えた食事をしているマウスであることです。これを人間に置き換えてみましょう。

1日の食事量を仮に1500gとすれば、150gの味噌に相当します。そんなに味噌を食べられるものでしょうか?いや、もう少しすくない量でも効果があるのかも知れないと、思うかも知れません。しかし、このような実験はなるべく少ない量でも効果を確認したいものなので、おそらくですが少ない味噌の量で予備実験を行ったことと推測されます。それでも10%味噌食にしたと謂うのは、それより少ない量では有望で無かったのかも知れない・・・などと謂う事が想像されます。



塩分摂取量はなるべく控えめにすることが求められている状況で、必要のない塩分を摂ることを推奨するのはあまり望ましくないと私は考えます。


因みに、上記の実験が報告されているのは、みそ健康づくり委員会が刊行した『みそサイエンス最前線』(1999)という冊子です。この話を紹介している伊藤教授の記事の扉絵です。


f:id:doramao:20110722173007j:image:w500


体裁を見ていただければ分かると思いますが、これは学術雑誌では無く、一般の方を対象とした味噌の効果を宣伝する冊子に過ぎません。有望な研究であれば、学術誌に投稿され、検証を受けて掲載されると謂う手続きが踏まれると思うのですが、私の調べた限りでは、学術論文として上記の実験が掲載されているのを見つけることができませんでした。では、なぜこのようなたいした根拠を持たない言説がこれ程までに広がってしまったのでしょうか?

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