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【10月25日、参議院外交防衛委員会で質問: 駆けつけ警護について等】

10月25日(火)、佐藤は参議院外交防衛委員会において質問に立つ機会を得た。今回の持ち時間は35分。限られた時間ではあったが、パリ協定、駆けつけ警護、弾道ミサイル対処、防衛医大改革、沖縄北部訓練場移設工事など、今議論されるべき5つの点について問うことができた。

まず、1点目のパリ協定について。

質問に当たり、まず佐藤が確認したのは、用語定義である。個人の感想ではあるが、国民の意識として「気候変動」という言葉より、「地球温暖化」とい言葉を多用する傾向があるように感じる。英語ではクライメイトチェンジが一般的であり、気候変動という大きな概念の中に、一つの現象として、地球温暖化が位置付けられているようである。しかし、日本では、「気候変動」と「地球温暖化」を同一視している向きがある。実際、外務省には気候変動課があるのだが、そのカウンターパートは、環境省の地球温暖化対策課である。こうした現状を指摘したところ、政府側からは、国民に誤解を与えないよう、今後は、より分かりやすい説明に努める旨、回答を得た。

これに引き続き、COP22に関連し、パリ協定を早期に国会で承認することの意義について、外務大臣などに確認した。外務大臣からは、早期発効・早期締結により、環境問題に対する日本の積極的な姿勢を示すことができ、更に、オブザーバーではなく締結国として、説得力のある形で議論に参加することできる旨説明があった。そして、11月上旬に開催が迫ったCOP22に間に合うよう、1日も早く国会における承認を得るべく、理解を得るために全力を尽くしたいとの発言があった。

次に、2点目として、「駆けつけ警護」に関する質問を行った。

実は、駆けつけ警護に関する話題を耳にする度、気になっていることがある。それは、「安全確保任務」と「駆けつけ警護任務」が混同されているのではないかという点だ。
安全確保任務と駆けつけ警護任務は、全く異なる。安全確保任務は、予め任務を付与され、防護を必要とする住民を保護するためのものである。一方、駆けつけ警護は、応急的かつ一時的に生じた、活動関係者に対する急迫な侵害が間近に迫った場合において、その要請に応じて、部隊等の能力の範囲内で駆けつけ、警護するものだ。ただ、佐藤には、こうした違いが国民に十分伝わっていないように感じる。佐藤はこの点を指摘した。防衛省側からは、両者の違いをもっと丁寧に、分かりやすく国民に伝えていく旨、回答を得た。

引き続いて、駆けつけ警護の対象に日本のPKO派遣隊員やJICA職員、日本大使館員が含まれるか否かを確認した。そして、防衛大臣から、「含まれる」旨、回答を得た。つまり、駆けつけ警護の対象には、日本人も含まれるのである。この点こそが、「駆けつけ警護」を語る上で重要だ。

実は、従来の法律では、日本人すら助けることができなかったのである。なぜなら、正当防衛、緊急避難の域を超えてしまうと、従来は解されてきたからである。よって、例えば、以前、東ティモールにおいて日本人の安全が脅かされた事態が発生した際には、現場の部隊は、「休暇中の隊員を迎えに行く」という主旨の名目で、人員送り出した。つまり、これまでは、現場の機転により、何とか対応してきたのである。

しかし、政治は本来、現場に無理をさせてはいけない。駆けつけ警護は、そうした事態を回避するために、法律として整備したものである。

駆けつけ警護は、あくまで、部隊等の能力の範囲内で行われる。現在、南スーダンに派遣されているのは、道路や橋などのインフラを整備することを専門とする「施設科」の部隊だ。戦闘を専門とする「普通科」の部隊ではない。これだけでも、能力の範囲は、より限定的なものになる。報道などでは、要請さえあれば、どこにでも駆けつけるかのような印象すら与えるが、実際には、「能力」という考慮すべき要因があることを、ここで明確にしておきたい。

これに関連して、PKO部隊の指揮系統に関する質問も行った。いわゆる、「指揮」と「指図」(さしず)に関するものである。

日本の派遣隊長はデュアルハットである。例えば、南スーダンPKOの場合、日本の派遣隊長は、施設部の隊長を兼務する。よって、同じ人間が、日本からの「指揮」を受け、国連からの「指図」も受けるのである。そのため、「指揮」と「指図」の方向性が異なった場合、隊長は困難な状況におかれる。

佐藤が派遣されたゴラン高原PKOのカナダ部隊の場合、カナダ政府の指揮を受ける派遣部隊長と、国連の指図を受ける兵站大隊長は別けられていた。それは指揮と指図がぶつかる場合があるためである。カナダ部隊の関係者は、カナダの基準も全て国連スタンダードと同じであるわけではないと語っていた。

日本の派遣隊も国内法に縛られる。国内法に書いてないことはできない。よって、法理論上は、国連が「やれ」といったことも国内法上「やらない」場合があり、一方で、国連が「やらない」といったことも日本政府からの指揮や国内法上「やる」場合がある。実際に、私自身もゴラン高原で経験した。ただ、言う間でもなく、可能であれば、指揮と指図が、相反しないことが望ましい。

よって、派遣部隊長と施設隊長を兼務させている以上、継続的に日本の国内法や指揮の話を国連関係者にすべきだと佐藤は思う。また、指揮と指図がぶつからないようにする派遣隊長の努力も重要だ。

日本にとって新たな任務となる「駆けつけ警護」は、まさにその対象である。仮に任務付与をする場合、特に大使館員やJICAの職員は国連要員ではないが、彼らに対する駆けつけ警護の必要性が発生した場合、それを国連の指図、UNCOMMDの業務として行うには、特別代表やFC、あるいは作戦部長の理解がないと出来ない。そのためには、日頃から関係者の理解を得る努力が必要だと、経験上、佐藤は考えている。この点について、防衛省の認識を問い、見解の一致をみた。

3点目として、弾道ミサイル対処について質問した。

ジブチの海賊対処の法的根拠は、公共の秩序の維持である。即ち、警察権で航行船舶を守っているのだ。自衛隊法82条の破壊措置命令も警察権で領海内の航行船舶を守ることが出来る。警察権で守ることができる日本関連船舶は、資料のとおりである。

現状の自衛隊法の破壊措置命令下では、領海を航行していた日本関連船舶を守るためには、弾道ミサイルを迎撃できる。しかし、排他的経済水域や接続水域を航行する日本関連船舶を守るために迎撃することはできない。同じ警察権で、アデン湾の日本関連船舶は守れるが、日本の排他的経済水域の日本関連船舶は守れないのである。これではバランスが悪いのではないか。

他方、防衛出動が下令されれば、排他的経済水域を航行する日本関連船舶を守るために弾道ミサイルを迎撃することができる。即ち、破壊措置命令下でも、資料における挿入図の通り、能力的には、イージス艦が日本海に展開すれば、技術的に困難な点はあろうが、日本の領域だけでなく、少なくとも日本海側の排他的経済水域を航行する日本関連船舶を守ることは可能と見込まれる。換言すれば、「出来るのに、出来ない」よう、法的に縛っているのである。

破壊措置命令に関する法律は、今から10年前に作った法律である。当時は、北朝鮮のミサイルのレベルも相対的に低かった。ただ、9月6日の防衛大臣の発言にもあるとおり、9月5日に生起したミサイル発射は、同じ「地点」から3発の弾道ミサイル連射し、我が国の排他的経済水域のほぼ同じ「地点」(地域ではない)に、同時に着水させている。大臣の言葉を借りれば、1000Km飛んで3発がほぼ同じ「地点」に着水させるレベルにまで、技術を向上させているということだ。今回、弾着地点となった奥尻島沖約250Kmの排他的経済水域は、北海道の荒川副知事によれば、石狩新港に入ってくるタンカーの通り道、そのものである。
EEZ内の一般船舶を守るとなれば、イージス艦やそれを守るためのアセットの負担は増える。しかしながら、自衛隊が能力上守れるのに国民を守れない、守ることが許されない法律は政治的にも問題だと、佐藤は考えている。この点について、防衛省側に見解を求めた。残念ながら、政府側の回答は慎重なものであり、法改正に向けた姿勢を確認することはできなかった。

そして、4点目は、防衛医科大学校改革についてである。特に、現大綱中期に防衛医大改革が記載された理由と進捗状況について質問した。

自衛隊は冷戦間時代とは違い、運用の時代に身を置いている。実は、その状況に防衛医科大学校がついていけていない。例えば、エボラ対策でも露呈したように、感染症対応も十分に出来ていないのが実態である。

こうした背景にあると思われるのが、防衛医大の「人事」である。実は、防衛医大の学校長は、自衛隊の医療の現場に詳しくない部外の先生である。正確には、教育担当の副校長か、自衛隊病院院長を兼務する診療担当の副校長が学校長になるのだが、1994年以降、診療担当の副校長からは学校長になっていない。つまり、防衛医学に詳しくない方を、診療担当ではなく、教育担当の副校長として外部から呼び、学校長に昇格させる人事が行われているのである。

防衛医大が抱える問題は、人事だけではない。医師不足、看護師不足、病床の減少、医療施行費の枯渇、そして、一般の病院かのような地域病院化。課題が山積みだ。しかし、それでも改革は遅々として進んでいない。

佐藤からは、原因の一端が、学校長のリーダーシップと経験不足にあるのではないかと問うた。政府側からは、課題が山積していることを踏まえ、課題解決に向け、鋭意取り組んでいく旨、回答を得た。

最後に、5点目として、沖縄の北部訓練場ヘリパッド工事に関する質問をした。

あまり報道されないが、高江では、工事反対派のグループに防衛局の人間が取り囲まれ、頭を押さえつけられ、無理やり座らさせられ、帽子や無線機を奪われた状態で尋問を受けるというような事態が生じている。

そうした中、防衛局の関係者たちは、どんな罵声を浴びせられても、頭を抑えられても、抵抗をせず我慢に我慢を重ねている。佐藤は、防衛大臣に対し、そうした隊員を激励しに行くことを検討しないのか確認した。防衛大臣からは、現場で耐える職員に対する感謝の意が表されると共に、現場に激励しに行く旨、意志表示があった。

佐藤としては、もっと問いたい事柄もあったが、時間の都合上、今回は主に上記の5点について質問した。また機会を頂ければ、日本の未来と現場で汗する者のために、更に政府側に対して問うてみたい。

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