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「ピロリ菌除去」におけるリスクを考える

■ピロリ菌除去の副作用

 ホリエモンが2016年3月に開始した『「ピ」プロジェクト』なるものが再び脚光を浴びているようなので、少し思うところを書いておきたいと思う。
 先月、書店の医療本コーナーを覗いてみると、たまたま堀江氏の『むだ死にしない技術』という本を見かけたので、興味を抱き少しだけパラパラと立ち読みしてみた。(残念ながら購入には至らなかった)
 その本には、よく知られている「ピロリ菌」についてのことも書かれてあったので、また近い内に話題になりそうだなと思っていたのだが、案の定といったところだろうか。

 昨年に読んだ別の本にも書かれてあったことだが、本書でも「胃がんの99%はピロリ菌が原因」と書かれてあった。
 しかしながら、ピロリ菌が関係しているのは胃の表面にできる胃炎、胃潰瘍、胃がん等であり、スキルス胃がんとの因果関係は未だハッキリと判っていないらしい。胃というのは精神的なストレスと密接に関係している臓器なので、感覚的には、ストレスによる影響が全く無関係だとは思えないのだが。

 ピロリ菌の存在が胃に悪い影響を与えることは、ずいぶんと前から囁かれていたことだが、実はもう1つ、あまり知られていないことがある。それは、ピロリ菌を除去すると胃腸環境が急激に変化するため、副作用として逆流性食道炎を発症する可能性が高くなるというもの。
 私も昔、井戸水を飲んだことがあるので、多分、ピロリ菌には感染していると思うが、副作用があるがゆえにピロリ菌検査も除去も敢えて受けていない。どんな治療にも副作用というものがあるという点は知っておいた方が良いと思う。

■「予防医療」と「予防生活」

 「医学の父」として知られるヒポクラテスは「人間は生まれながらにして100人の名医を持つ」という明言を残している。人間は生まれながらに現代医学でも解らないことを知る最高の名医を身体の内に宿している。その名医のまたの名を「自己治癒力」と言う。

 「予防医療」というのも確かに大事な視点かもしれないが、もっと大事なことは、極力、医療にかかる必要のない生活を心がけることだと思う。言わば「予防生活」だ。
 「予防医療」と「予防生活」の違いは、他者に依存しているか、依存していないかの差だとも言えるだろうか。先のヒポクラテスの言葉で言うところの「100人の名医」とは、「予防生活」の中でこそ活躍してくれる医者のことでもある。

 健康診断や人間ドックというものは基本的に、「病気になった結果」を調べるためのものであり、「病気の原因」を調べるものではない。しかし、最も重要なことは、結果が生じる前の段階で、原因となるものを追求することであり、病気予防になる健康的な生活を意識し実践することだと思う。
 例えば、血液検査で少し異常な数値が出れば、その数値が出た原因は何なのか?ということを自分なりに追求し、生活習慣を改める。それが「予防生活」の基本だが、「予防医療」というのは、言葉の定義から考えても、予め病気になる原因が判っているものを、医療行為によって事前に取り除くという意味合いになる。当然、そこにはなんらかの副作用のリスクが付いてまわる。

 肺がんを例に挙げれば、ヘビースモーカーの人が肺がん検診を受診することが重要なのではなく、肺がんにならないように、健康に悪いとされるタバコを極力吸わないように努めること。それが、健康な生活をおくるために必要なことであって、病気になる原因を改めずに、検査ばかりしていたのでは、本末転倒というものだろう。
 ちなみに、タバコを吸ったからといって必ずしも肺がんになるわけではなく、タバコを吸わないからといって必ず肺がんにならないわけでもないが、タバコを吸えば、血流が悪くなることだけは間違いのない事実なので、どう考えても健康に良いとは言えない。「血流が悪くなること」=「万病の原因」ということは誰もが認めているところなので、その部分を改めずの検診の結果だけに意識が向くというのでは可笑しいと思う。

 少し前に話題になった鳥越俊太郎氏の「がん検診100%」のように、「ピロリ菌除去100%」を強制的に行うというようなことは控えていただきたい。知識を伝えて啓蒙することは良いことだと思うが、人の命に関わるようなことは、あくまでも個人の意思を尊重していただきたいと思う。

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