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選挙で「原発」がテーマになると、自民党は必ず負ける〜田原総一朗インタビュー

10月16日に行われた新潟県知事選は、野党(共産、自由、社民)が推薦した米山隆一氏が、自民・公明推薦の森民夫氏を破って、初当選を果たした。安倍政権への支持率が高いにもかかわらず、与党候補が敗れる結果となったこの選挙をどう見ればいいのか。田原総一朗さんに聞いた。【田野幸伸(編集部)、亀松太郎】

◇原発で「森楽勝」のムードが一変した


もともとは現職の県知事だった泉田裕彦氏が4選を目指して立候補するはずだったが、新潟日報とのトラブルを理由に出馬を取りやめた。そこで自民党は長岡市長だった森氏を推薦することにした。

一方の米山氏は、自民党の公認候補として衆議院選挙に出馬した経歴を持つ人物だ。新潟5区で田中真紀子氏に2回敗れたあと、2012年には日本維新の会から立候補したが、落選した。そして今度は、民進党の候補として、次の衆院選を目指していた。ところが、泉田氏が出馬を撤回したので、急遽、民進党を離党して、知事選に打って出ることにした。

そんな二人の対決は当初、森氏の楽勝とみられていた。

共産党や社民党、自由党は米山氏を推薦したが、肝心の民進党は自主投票に回った。みっともない話だが、民進党の支持基盤を考えると、やむをえない面もある。

米山氏は今回の選挙で、新潟県内にある柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢を示してきた泉田知事の路線を継承することを表明した。一方、民進党の有力な支持団体である連合において、新潟で一番大きな勢力をもっているのは東京電力の労働組合だ。

柏崎刈羽の原発は7基あり、世界最大規模の大きさとされる。東電の労働組合としては、この柏崎刈羽原発の再稼働に賛成の立場。再稼働反対の米山氏は推薦できないという問題があった。

他の地方の多くと同様、新潟は景気が良くない。景気浮揚や地域経済の活性化が大きな課題となっている。だから、県知事選では森氏が有利なのだといわれた。ところが、米山氏が「泉田氏の路線を継承する」と言ったため、急に原発が選挙の争点になった。

原発がテーマになると、反対派が有利になる傾向がある。新潟日報が選挙前に実施した世論調査は、柏崎刈羽の再稼働に反対する声が60%で、賛成の24%を大きく上回った。他の世論調査も同様の数字だった。

選挙では、再稼働反対の波に乗って、米山氏が一気に追い上げ、森氏を破った。

今年7月の鹿児島県知事選でも、九州電力の川内原発の一時停止を公約に掲げた元テレ朝記者の新人候補、三反園訓氏が現職知事を破って、当選した。

2年前には、僕の故郷の滋賀県でも、民主党出身の三日月大造氏が原発反対の立場で戦い、自民・公明推薦の候補に勝っている。

◇自民党は原発の「将来」を明確に打ち出すべき


選挙で原発がテーマになると、自民党が必ず負けるというわけだ。それは、なぜか。

1つは、3.11だ。2011年の3月11日に東京電力の福島第一原発が深刻な事故を起こした。その事故処理がまだうまくいってない。それどころか、東電がいろんな隠し事をしてきたことが明らかになった。

実のところ、いまの日本の原発の一番の問題は、使用済み核燃料の再処理である。軽水炉の原発を稼働させると使用済み核燃料が出てくるが、その量は1万7000トンあると言われている。

いまの自民党は、この使用済み核燃料をどうするかまったく定めていない。責任をもって定めようともしていない。

実は、原発反対と言っている側もいいかげんだ。原発に代わるエネルギーとして風力や太陽光を使えばいいというが、現時点ではとても足りない。日本の電力はほとんど原油と石炭でまかなっているが、国際会議でCO2を2050年までに半減する方向性が決められたので、将来的には原油や石炭を極端に減らさないといけない。そのとき、どうするのかというのが大きな問題だ。

僕は、日本ではもう原発の新設は無理だと思う。リプレイスがせいぜいだ。つまり、50年先には原発がなくなると考えないといけない。そういうことを、自民党ははっきりと言うべきだ。そのうえで、それまでに原発に代わるエネルギーをどうするのか懸命に考えるべきだ。

問題は、使用済み核燃料をどうするべきか。政府はこれまで長い間、高速増殖炉「もんじゅ」で使用済み核燃料を再利用するとしてきた。つまり、使用済み核燃料を再処理して、もんじゅに投入すると、さらに燃料を生み出すことができるということで、「夢の原子炉」と言われた。

しかし、もんじゅは1995年に事故を起こして以来、20年以上まったく使われていない。そしてようやく、もんじゅを「廃炉」にすることが確定的になった。では、使用済み核燃料をどうするのか。

僕は、2つの方法があると思う。

1つは、アメリカ方式。これは、原子力発電所の内部に頑丈な鉄の容器を作って、そこに使用済み核燃料を入れて、数十年保管するというもの。数十年の間に使用済み核燃料の最終処理の方法が開発されるのを待つという方式だ。

もう1つは、フランス方式。フランスは高速増殖炉を開発することで、使用済み核燃料を300年で無害化したいと考えている。

小泉純一郎氏が「原発反対」を叫ぶようになったきっかけは、フィンランドの放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」を見学したことだ。オンカロは地下400メートルに使用済み核燃料を置く。そこで無害化するのには10万年かかる。その現実を見て、小泉氏は原発反対となった。

アメリカ方式か、フランス方式か。自民党がきちんと打ち出すべきである。少なくとも、原発は新設せず、将来はなくなるということを明確に打ち出すべきだ。

そこが、あいまいになっているから、原発政策への不信感が強い。それが、自民党が原発がテーマになった選挙で勝てない理由だ。

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