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震災はターニングポイントか?

榊原英資氏、青山学院大学教授、というより元大蔵省、ミスター円といったほうがわかりやすいかもしません。彼が日経新聞のView Pointに寄稿している「大震災、伝統回帰の契機」は榊原氏らしいユニークな着眼点で日本の変化を予想しています。

氏は震災を「一つの時代の終わりを告げる事件」とし、「近代資本主義の終焉」であり「成長時代の終わりともいえる」と言い切っています。さらに、「我々は欲張るのは止めて現在の高い生活水準を享受すべきである」と述べられています。僕は氏のご意見に半分賛成、半分は異論です。

まず、今回の大震災を契機に日本が変わるか、という点です。僕は変わらない、とはっきり申し上げます。なぜなら日本は自然災害が日本のどこかで年中起きているのです。阪神淡路大震災や新潟の地震などの大災害から九州で降り続ける大雨や台風などがもたらした被害が引き金で日本が変わってきたとは思えません。それは日本人は歴史的に自然災害と常に向き合ってきたからなのです。自然災害で日本が変わるとしたら日本は過去の歴史で何度も変わっていなくてはいけません。が、災害が日本を変えた歴史はありません。

むしろ、日本はもとの状態に如何に早く戻すかということに優れています。ですので災害が日本をより保守的に変えていく可能性のほうが高いのです。

一方、さすが、経済がバックグランドの先生だけに経済の温度については敏感なようです。ご指摘の「近代資本主義の終焉」が正しい表現かどうかはわかりません。僕には箱根駅伝でたすきを次の人に渡すぐらいの意味合いだと思いますが、明らかに時代が次のステージに入ろうとしています。

たまたま、震災が起きた時と「時代のページ変わり」が同じ時期に発生したので結び付けやすいのだろうと思います。

榊原教授と完全に同意できる部分は「成熟国家として十分なモノを持っている」と指摘している点です。僕のこのブログでしばしば指摘しているとおり日本の消費は需要不足なのではなく、供給過多であり、成熟国家において物的欲望は限定されており、マーケティング等を通じた「受動的刺激」により消費を喚起するしかない、と考えております。

一方の中国やインド。見事な経済成長段階における格差社会が形成されています。この成長過程は40代の以上の方なら誰でも聞いたことのあるキャッチフレーズ、「いつかはクラウン」の状態にあり、「能動的需要創造期」にあるのです。つまり、消費者が健全な経済格差のもと、上に上がりたい、という背伸び現象でより働き、より消費するというサイクルです。

が、日本には残念ながら「金持ちになりたい」「ワンクラス上の生活をしたい」という人が減ってしまい実に刹那的ライフスタイルが蔓延してしまったのです。

ましてや震災は結果として究極の刹那を作り出してしまったのです。とすれば、榊原教授の指摘する「伝統回帰の契機」とは日本は明治、大正期の平等で清貧な国民への回帰ということになるのかもしれません。榊原教授の実に含蓄ある示唆に考えさせられえるものがあります。

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