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主張/電通女性社員自殺/国の責任で働かせ過ぎなくせ

 大手広告代理店電通の女性社員が自殺、長時間労働が原因と労災認定された問題で、東京労働局(労働基準監督署)の「かとく」とよばれる「過重労働撲滅特別対策班」などが調査を開始しました。電通での長時間労働が全社的に常態化している疑いによるものです。電通では過去にも労働者が過労で自殺し、遺族が損害賠償を求めて訴えました。その時には反省してみせたのに、再び過労自殺を引き起こしました。企業の責任を厳しく追及するとともに、国の責任で異常な「働かせ過ぎ」をなくし、貴重な人命を奪う事態を絶対に繰り返させないことです。

長時間労働常態化の疑い

 大学を卒業して昨年4月に電通に入社した女性社員の働かされ方は異常の一言に尽きます。試用期間が終わって配属された職場で連日深夜までの残業が続き、休日を返上して働いても間に合わない、上司からも「パワハラ」にさらされるなどというのは、普通の神経の持ち主に耐えられることではありません。うつ病を発症したとみられる11月までの残業時間は100時間を超えていたとみられます。女性社員は昨年12月25日朝に自殺、直前に母親が電話で伝えた「死んではだめよ。死ぬぐらいなら会社はやめてもいいから」の言葉は生かされませんでした。

 労働基準法で、労働時間は1日8時間、週40時間と決まっています。それを超えて働かすときには労働組合との協定などが必要ですが、強制力はなく事実上野放しです。女性社員の場合も協定では残業時間は月70時間までとされていたといいますが、全く守られていませんでした。それなのに会社の勤務簿には70時間未満と記録する―。電通の労働時間管理が空洞化していたことは明らかです。長時間労働常態化の疑いで、電通が全社的に「かとく」などの調査を受けることになったのは当然です。

 日本では過労死や過労自殺とみられる労働者の死亡事例が後を絶たず、政府が今年初めて発表した「過労死対策白書」でも、仕事が一因となった自殺は年間2000人を超すと指摘します。背景にあるのは異常な長時間労働で、労災認定の目安で「過労死ライン」といわれる月80時間を超えて社員(正社員)が残業させられている企業が2割を超しています。

 労働時間の規制は緩やかなうえに、それさえ守られていないとなれば、異常な長時間労働や過労死はなくなりません。残業時間について協定を結んでも、仕事が忙しいとかの理由で「特例」としての延長がまかり通っています。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員が国会で取り上げたように、原発の再稼働作業まで残業時間の限度基準は除外されているありさまです。

 過労死や過労自殺を生む異常な働かせ方を一掃するために、残業時間の上限を法律で明記し、企業に守らせることが不可欠です。

働き方改革の最優先課題

 日本共産党は、長時間労働の野放しをやめさせるため、まず「残業は年360時間以内」という大臣告示を直ちに法制化するとともに、残業時間を大幅に短縮、将来的には月20時間、年120時間とすることなどを提案しています。

 安倍晋三政権は「働き方改革」を売り物にしていますが、労働者の命と健康を壊す長時間労働をなくす対策こそ、最優先すべきです。

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