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タイのプミポン国王陛下のご崩御の報に接して思うこと - 平賀 富一

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タイ王国のプミポン・アドゥンヤデート国王(ラマ9世)のご崩御の報に接し、取りあえずの感慨として以下の点を述べたい。

筆者とタイとの関係は、1984年に、外務省で、同国に対する経済協力(ODA)担当官になった時に始まり、以来、民間企業、シンクタンク(政治経済分析)、同国(ソブリン)や有力企業への格付けなど立場を変えながら継続している。100回を優に超える同国への訪問(訪泰)の度に、どのオフィス・店舗・レストラン・家庭にも国王のお写真が掲げられている。それは、同国王が、全国を行幸される中で、苦しみ困っている国民の声を聞き対策やプロジェクト等の支援など数多くの重要な活動をされ、大きな尊敬と親しみを受けられた名君であることを示している。

しかし、同国王が、在位70年の中で、ご即位の当初から上記のようなポジションであられたわけではない。米国でお生まれになった同国王は、1946年、スイス留学中に、兄君(ラマ8世)の突然のご崩御によって18歳の若さで急遽即位された。その頃タイにおける王権は必ずしも安定していなかったとも聞いている。その中で、プミポン国王は、国民各層との対話やアクションを通じて、国民各層の信頼を深め尊敬される存在になったと思われる。ちょうど、その過程は、貧しかったタイが、日本をはじめ海外からの投資や企業進出を積極的に受け入れつつ活用し、その典型例である自動車産業において「アジアのデトロイト」と呼ばれるような産業の重要な集積地としての地位を確立し、アセアン(東南アジア諸国連合)の有力国として、大きな経済発展を遂げ、プレゼンスを高めた時期と重なっている。つまり、国王は、タイの発展と共に歩まれ、その精神的支柱ともいうべき存在であったといえる。過去のクーデターの際に自らその収拾に乗り出されたこともあった。また、1997年のアジア通貨・金融危機以降、折に触れ、過熱傾向にある経済や消費行動のあり方について、より持続的で柔軟性のある社会となるよう「足るを知る経済」(セタキット・ポーピアン:Sufficiency Economy)の重要性を諭された。

同時に、同国王の在位期間に、日本とタイは各分野の各層で長く深い関係を築いており(企業分野を例に挙げれば、タイの日系現地法人数は、アセアン最多の2,318社、日本人派遣者数5,306名、現地従業員数545,589名に上っている:東洋経済新報社「2016年版 海外進出企業総覧(国別編)」)、わが国にとっても同国王の存在は大きなものとなっているといえよう。

近年、タイが発展する過程において現出した経済格差や対立といった諸課題が問題となり、現在も、同国では、軍の影響下にある政府体制が続いている。今、非常に大きな存在であったプミポン国王が亡くなられ、タイの国民は大きな悲しみの中にある。しかし、同国は、これまで幾多の政治危機、経済危機を乗り越えてきた歴史を持ち、その都度強くなってきた。今回の国王のご崩御という大きな悲しみの中、タイの国民が団結し、より成熟した国に成長させることが、プミポン国王のご希望とご遺志に叶うことではないだろうか。

今、「悲しみの国」となっている同国が、それを乗り越え、より力強く、団結した「微笑みの国」となることを祈りたい。

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