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完成前からホワイトウォッシュの批判。ディズニー実写版ムーランはどうなるのか

2018年に公開が予定されている、ディズニーの実写版ムーランのキャスティングを巡ってアメリカでは議論が起きている。

Mulan Live Action Remake Will Feature All Chinese Leads | IndieWire

Disney Promises All-Asian Cast for New Mulan — Vulture

ことの発端は、このブログ投稿。この投稿主は、ハリウッドで働くアジア系アメリカ人によるものだが、ムーランのスクリプトを読む機会がどうやらあったようで、制作に入る前に内容の一部の再考を求めている。その内容は、ヨーロッパ人の男性がムーランに思いを寄せ、彼女を守るために戦うエピソードが展開されているというもので、オリジナルのムーランにはない白人男性がメインキャラクターの位置にいること、そして恋愛要素の加味がムーランの世界観を残ってしまうことを危惧している。
投稿者は、スクリプトを読んだ証拠として、スクリプトの表紙のタイトルと脚本家の名前の部分をブログにアップしているが、それが本物かどうかは定かではない。

1998年に公開されたオリジナルのアニメーション版「ムーラン」では、白人のヨーロッパ人男性が登場することはない。恋愛要素に関してはシャン隊長にムーランが想いを抱くなど多少はあるが、それが物語の中心ではない。父を助けるため男装で戦う凛々しい女性の戦記ものであり、ディズニー伝統の恋する、守られるタイプのヒロイン像を打ち壊した作品として評価の高い作品でもある。

上記の投稿者は、記事の最後にハッシュタグ「#MakeMulanRight」を提唱しているが、Twitterでこれが拡散。多くのTwitterユーザーが実写版での改変に反対を表明している。

これに対して、ムーラン実写版の制作関係者がvulture.comに対して、「ムーランは常にこの物語の主人公であり続けるし、全ての主要キャラクターは中国人だ。恋愛対象も含めて」と語ったという。同サイトではさらに、ディズニーはムーラン実写版のために新たな脚本家を雇ったとも伝えている。

上記のブログのスクリプトが本物であったとして、それがいつの時点のものなのかは不明だ。映画の脚本は実際にクランクインする前に何度も改訂を行う。企画当初のプランからの変更があるのは日常茶飯事なので、白人男性とのロマンスがアイデアにあがり、それを反映したバージョンの脚本も存在するのかもしれない。

ハリウッド映画へのこうした批判はこれが初めてではない。最近では攻殻機動隊のハリウッド版の主人公がスカーレット・ヨハンソンに決まったことを受け、同様の批判が起こっている。こうした、原作などでアジア人であったキャラクターを改変して白人に置き換えることを「ホワイトウォッシュ」と呼ばれ、批判の対象となることが最近増えてきている。ベネディクト・カンバーバッチ主演の「ドクター・ストレンジ」の師匠であるチベットの老師エンシェント・ワン役に白人女性のティルダ・スウィントンがキャスティングされていることが物議をかもしたこともあった。

攻殻機動隊やドクター・ストレンジの場合はすでに完成した作品への批判だが、「ムーラン」はまだ完成してもいない。制作段階では様々な可能性を検討してどういう方向性でいくのか、決めていくだろうが、その段階で大きな批判が怒ってしまっている。見方によってはこれを参考にすることもできるかもしれないが、まだディズニーがホワイトウォッシュをすると決めたわけでもない段階でこうした批判が起こるのも気の毒という気もする。

ポリティカル・コレクトネスに配慮しつつ、完成度が高いと評された「ズートピア」であっても、企画の段階ではテイム・カラーと呼ばれる電気ショックを与える首輪を捕食者がつけているというダークな設定も検討されていた。そのまま世にでていたらどのような評価を受けていただろうか。

作品は完成まで様々な試行錯誤と検討の末、世に生まれる。まだ決定稿かどうかもわからないものを外部から大きく批判するのもどうかと思う。ディズニーは、実写ムーランの監督に中国系監督を起用したい意向のようで、アン・リーに打診したが断れたようだ。ムーラン役も中国人から起用すると名言している。
 

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