記事

中国漁業の膨張を抑え込むために日本がすべきこと

中国漁業の膨張について、Financial Timeにおもしろい記事がありました。

Chinese fishermen caught up in Asian geopolitical conflict

Local fish stock collapse pushes fleet further away from domestic waters

https://www.ft.com/content/364a5172-5ec5-11e6-bb77-a121aa8abd95

中国沿岸の水産資源が減少した結果として、より遠くの海域まで中国漁船が進出し、それが各地で紛争を引き起こしているという内容です。日本のメディアは「中国の野郎が俺たちの魚を獲りやがって」という被害者の視点しかないのですが、FTの場合は中国の漁師にも取材して、中国漁業の現状がわかるようになっています。

ここに書かれている中国漁業の実態は、興味深いですね。

  1. 魚が減ったので、遠くの漁場に行かざるを得ない
  2. 漁業の生産性は低く、燃油の公的補助金をやめれば漁船は半分になる
  3. 漁業者は自分の代で最後

日本の現状とかぶる部分が多いのですが、2に中国の膨張を押さえ込むヒントがあります。乱獲に結びつく漁業補助金を禁止してしまえば、中国漁船は稼働できず、縮小されるのです!

すでに、世界はその方向に議論を進めています。

漁業補助金:乱獲助長の補助金禁止へ13カ国連合 – 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160916/ddn/008/020/025000c

米通商代表部(USTR)は14日、魚介類の乱獲を助長するような漁業補助金の世界的な禁止を目指し、米国主導で13カ国が連合を結成したと発表した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に盛り込まれた補助金規制の規定を土台に、世界貿易機関(WTO)加盟の有志国で具体策を議論する。日本は参加を見送った

記事の元となった、米国政府の発表はこちら

持続性を無視した補助金による漁業拡大を食い止めるために、米国、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、コロンビア、ニュージーランド、ノルウェー、パプアニューギニア、ペルー、シンガポールなど多くの水産資源保有国が立ち上がったのです!

しかし、日本は参加をしませんでした。

中国の隣に位置して、大きな被害を被るであろう日本が、世界の沿岸漁業国の中国包囲網の足並みを乱しているのは残念です。日本が参加を見送ったのは、乱獲助長の補助金を禁止されると、自国の漁業者に行っている、燃油の補填やら、大型巻き網船の造船補助やらが出来なくなる恐れがあるからでしょう。その代償として、日本近海の水産資源を中国にプレゼントすることにならなければ良いのですが。

私は、それほど遠くない将来、中国は乱獲に繋がる補助金の禁止に賛同すると考えています。大きすぎる漁獲能力を国費で維持しておくのは、中国の国益に合致しないからです。この分野でも、国益では無く、庁益で動く日本だけが獲り残されることになりそうです。

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