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行き過ぎた分業 - 森宏一郎(滋賀大学 国際センター教授)

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環境・経済・社会のバランスをどう取るかというサステイナビリティの問題がさかんに指摘・議論されている。たしかに、社会全体を覆う閉塞感のようなものも感じる。一体、何が問題なのだろうか。問題の本質は、行き過ぎた分業と市場依存にあるのではないか。

◆里山資本主義

分業は「特化(専門化)の利益」と市場取引を通じた「交換の利益」の2つをもたらす。経済的な豊かさは間違いなく、分業に基づいた効率化(専門化を通じた技術革新を含む)によってもたらされている。この点は否定できない。

だが、分業が行き過ぎていると幸せになれないかもしれない。そんな問題提起が出されてきた。その代表格は里山資本主義である(注1)。

分業すると、人が生活していくためには、必ず市場からモノやサービスを買ってこなければならない。市場で買い物をするためには、ますます専門的に労働を増やさなければならない。そんな経済生活で幸せになれるのか?

経済全体を巨視的に見ると、「分業と市場に過度に依存する経済では、節約は善ではなく、エネルギーや資源をどんどん使用し、そのコストを上回る収益を上げていけばよく、それが豊かさであるということになる」という。これでは、環境面のサステイナビリティを実現するのも難しい。

では、どうするか。里山資本主義では、小さい地域で一人の人間がいろいろなことに従事し、部分的に自給自足的経済をつくることによって、市場への過度な依存から脱却し、環境・経済・社会をバランスさせたシステムを生み出すことができるとしている(注2)。

◆都市型と農村型の融合

9月下旬、研究プロジェクトの一環で研究者・学生とともに愛媛県西条市を訪れて、現地の多様な人々へのインタビューを通じたフィールドワークを実施した。都市と農村の相互作用による豊かさの実現をテーマに研究している。

沿岸地域には工業地帯、駅の近くには居住地域、川を挟んでやや内陸寄りには農業地帯が広がっている(写真1)。そして、南側には四国山地が控えており、壮大な景色が広がる(写真2)。四国山地のおかげで地下水資源が豊富に存在し、町は上水道や浄水処理施設を必要としない。

【写真1】 西条市の景観

※ 西条市役所考古歴史館(八堂山)から筆者撮影。写真には写っていないが、西側(左手)にいくと加茂川があり、川の西側は田園地帯が広がる。

【写真2】 山地の景観

※ 黒瀬ダム付近で筆者撮影

西条市にとって農業が重要な産業の一つであることは間違いないが、工業用地に立地する二次産業も欠かせない。筆者の勝手なイメージだが、田畑と山で形成される風景は美しいが、そこに工場が混ざっていると、美しくないと感じる。

だが、この風景の中には都市と農村の両方が含まれており、見るスケールを変えてみると、西条市の景観は社会の縮図を示していると言える。都市と農村がうまく相互作用して、経済的報酬だけではない豊かさを獲得するためにはどうすればよいか。まずは西条市のスケールで考えてみた。

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