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95才母が亡くなったあと、65才高齢ひきこもりは、年金・貯金、生活保護へと移行できるか

■高齢ひきこもりをもつ高齢化した保護者支援

僕は、貧困支援(「18才以降に本格的にPTSDが出現しながらも、行政支援からは離されていく人々」の支援)をいろいろな支援機関とともに行ないながらも、一方では「高齢ひきこもり」の支援は引き続き行なっている。

僕が行なう「高齢ひきこもり支援」とは、「高齢ひきこもりをもつ高齢化した保護者支援」のことで、それは面談支援が大半だ。

現在よく出会うのは、本人40才超え、保護者(主として母)75才前後という組み合わせだ。

高齢化のために夫も生存している場合も多いが、夫=男性ジェンダーは、生存していたとしてもほぼ高齢ひきこもり子どものことには関心が向かなくなり、自らの老後生活を淡々と過ごしていることが多い。

母=妻=女性ジェンダーの人々は75才になったとしてもまだ割合とお元気で、かといって体力の衰えも隠せず、40代で相変わらずひきこもり生活を送る子どもを眺めつつも、「これでいいんだろうか」と心配している。

そんな母親に対して僕は、以前当欄にも書いたように、「75才を過ぎたらとにかく90才まで生きましょう!」と励ます(おかあさん、90才まで生きましょう!!~思春期は40才で終わる)。

子どもを25才で産んだ場合、母が90才になると子は65才になり子本人の年金取得年令になる。30才で産んだ場合は、95才まで生きると子が自身の年金を受け取ることができる。

だから、子の国民年金を代わりに親が支払うことは絶対条件となる。25年と言わず40年かければ満額6万7千円ほどをゲットできる(これが法改正で25年から10年に短縮されようが、受取額が少なくなればあまり意味はないものの、まあ「ないよりはマシ」程度だ)。

■この預金は60代なかばの子どもたちに

それまでは母が受け取る遺族年金で生活していくことになる。だから、母が90才あるいは95才まで生きることは必要条件だ。

最近は、そんな母たち(現在75才程度)から、「私が死んだあとはどうなるんですか」という質問をよく受けるようになった。

そのシュミレーションとしては、よく若者支援者が言うような「就労の賃金でフォローする」的生き方をできる人はそれほど多くはないと僕は想像している。

65才まで仮に就労体験がまったくない人が、いかに60代になり多少の精神的余裕ができたとしても、10万円程度アルバイトで稼げるかととわれれば、そこは甘くはないだろう。

現実としてはアルバイトすらあまりできず、自分の国民年金6万ほど(親が満額分かけていたとして)に足りないいくらかは、「親が残した預金」を頼りに生きていくことになる。

老人(高齢ひきこもり)が1人生きていくには、やはり10数万円は必要だと思う。国民年金6万強で足りない5~6万円を、親の預金を少しずつ切り崩していくことになる。

ひきこもりとは「中流階層」の問題でもある(貧困階層は不登校程度は可能だが、長期のひきこもり生活を送る子を親は支えられない)。65才以上の平均預金額は2,000万円を超えており、高齢者の生存中はこのおカネは自分の生活費の予備資金として蓄えられている(だから日本の預金額1,700兆円は一向に消費に回されず、これが日本経済の停滞の最大原因だとも言われる)。

高齢者(ここでは高齢ひきこもりをもつ高齢者)が残念ながら90代でお亡くなりになったあと、この預金は当然のことながらその60代なかばの子どもたちに回されることになるだろう。

当事者の多くはきょうだいがいるはずなのでこの2,000万全額はムリだとしても、仮に1,000万円を相続したとして、年間60万円を国民年金に足りない生活資金として消費するとして(5万円×12ヶ月)、15年は生きていけることになる。

■預金→生活保護

65才に15年足すと、80才。男性の平均寿命はこのあたりなので、このあたりで高齢ひきこもり当事者がお亡くなりになるとすると、亡き親御さんの預金で十分フォローできる。

当事者ががんばって80才を超えて生き、親の預金を使い果たした時、いよいよ登場するのが「生活保護」だ。

生活保護は現在200万人以上(国民の60人に1人)が利用する最も有名なセーフティーネットで、たしかその半分がすでに高齢者だったはずだ。

だから、高齢ひきこもり高齢者が80才になって生活保護制度を利用したとしても、社会的にはなんら目立たない。フツーにしていればいい。

以上は単純なシミュレーションで、僕の単純予測のためどこかで間違っているかもしれない。

そうした間違いのほかに、社会制度的に危ういのは、国民年金支給額の減額と、国民年金支給年齢延長の危険性だ。現在の年金制度の危うさからそれはかなり起こりうる危機で、具体的には額が半額程度(6万から3万)、支給年齢が68才あたりになるかもしれない(ドイツは68才を狙っている)。

また国債破綻が起きた時、年金生活者を直撃する可能性も大だ。

が、こうした心配事が当たるときは、つまりは「日本という国家の危機」でもあり、国民全体、具体的には富裕層と大企業と行政がまずは負担していくはずだから、高齢ひきこもり者はぎりぎり逃げ切れるかもしれない。

これらの見通しをざっと僕は面談で語る。当欄の読者のみなさんは「そんなの面談で親御さんに語ってもいいの?」と思われるかもしれないが、75才の親たちはこうした具体的シミュレーションを聞けば聞くほど元気になっていく。

見通しの見えない暗さよりも、多少(というかかなり)重い予想ではあるが「逃げ切り」も十分可能性があるこうした話は母親たちを逆に安心させるようだ。

高齢ひきこもり本人たちの就労訓練等が非現実的になったとき、こうした「親の老後の老後の死後の死後」まで描いくことは、妙ではあるがポジティブな語らいとなり、保護者を励ます。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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