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社会保険の加入対象者が拡大 企業は負担増対策に、コスト削減の動き

サイトウ イサム[著] / 加藤 秀行[著]

 社会保険の加入対象者の拡大に伴い、企業の負担が増加する。各企業はコスト削減に向けた対策を検討しているようだ。

 10月1日から厚生年金保険や健康保険の加入対象者が広がった。現在は、一般的に週30時間以上働く人が厚生年金保険や健康保険の加入対象だが、拡大後は従業員数が501人以上の企業で週20時間以上働いている人のうち、月額賃金が8万8,000円以上で、雇用期間が1年以上の見込みの学生以外のパート従業員などが対象に加わる。

 パート従業員が厚生年金保険や健康保険に加入するメリットは大きい。厚生労働省がホームページで公表しているモデルケースによると、月収8万8,000円の人が厚生年金保険に加入した場合、毎月8,000円の保険料で40年間加入すると、全国民共通の基礎年金に加えて厚生年金が毎月1万9,000円もらえる。加入期間が1年間の場合でも、毎月500円の年金が増えるほか、厚生年金保険加入中に障害がある状態になった場合には、障害厚生年金も支給される。一方、健康保険に加入すると、傷病手当金や出産手当金も給付されるため、ケガや出産によって仕事を休まなければならない場合でも、賃金の3分の2程度の給付金がもらえる。

 そんな中、東京商工リサーチは企業を対象に、社会保険の適用拡大に関するアンケート調査を実施し、その結果を9月23日に発表した。調査期間は8月18日から31日で、有効回答数は6,941社。

 まず、社会保険の適用拡大について認知度を調べたところ、「知っている」と回答した企業は67.5%だった。産業別ではサービス業他が70.6%で最も高く、運輸業(70.0%)、建設業(69.1%)、小売業(69.0%)、製造業(68.6%)と続いた。認知度が最も低かったのは不動産業(58.6%)で、唯一6割を割り込んだ。「知らなかった」と回答した企業をみると、従業員数が500人以下の企業と短時間労働者の雇用がない企業など、今回の改正の対象外になる企業が大半を占め、企業規模による認知度の違いも明らかになった。

 続いて、社会保険の適用拡大で予想される影響について複数回答で聞いた。最も多かったのは「法定福利費の増加」の47.7%で、「社会保険事務の負担増」(24.5%)、「短時間労働者の勤務調整や退職」(19.9%)、「人員確保難」(13.7%)などが続いた。「無い・分からない」は32.9%。また、「法定福利費の増加」と回答した企業を対象にコスト増に向けた対策を複数回答で聞くと、「人件費以外の経費節減」(44.5%)と「残業削減など、人件費の抑制」(36.7%)が多かった。一方で「正社員の削減」(5.7%)や「短時間労働者の削減」(14.6%)など、一部で人員削減に動く企業もあった。

 社会保険の加入対象者の拡大は、パート従業員にとってメリットがある一方で、企業はコスト削減に取り組む必要に迫られているようだ。

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