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大隅先生の受賞を喜ぶ言葉と研究者の反応

大隅君はインタビューで、基礎研究の重要性を訴え、現状を憂い、そして一億に近い賞金をあげて若手を育てるために役立てたいとコメントしています。それに対してマスコミや首相は応用面のことにしか触れず、文科相は競争的資金の増額というような見当はずれの弁、科学技術担当相に至っては社会に役立つかどうかわからないものにまで金を出す余裕はないという始末です。なげかわしい。これでは科学・技術立国など成り立つはずがありません。

これは基礎生物学研究所のサイトに掲載された元所長・毛利秀雄名誉教授の「隣のおじさん-大隅良典君(ノーベル生理学・医学賞の受賞を祝して)」という文章の最後の方に書かれたものである。

ここで言及されている首相、文科相、科学技術担当相というのは、以下のニュースに現れたものであろう。

首相「受賞は日本人の誇り」 独創的な研究支援する考え
この記事の中で、首相は以下のように述べたと伝えられている。

「大隅良典先生の研究成果は、がんやパーキンソン病など、難病に苦しむ世界中の人々に希望を与えるものであり、日本人として本当に誇りに思う。あとに続く若手研究者たちへの大きな励みになるのではないか」

「日本人研究者が3年連続で受賞することになるが、日本が生物学をはじめイノベーションで世界をけん引し、世界に貢献できることを本当に嬉しく思う。政府として、あらゆる分野でイノベーションを起こし続けることを目指し、独創的で多様な研究をしっかり支援していくとともに、研究を担う人材育成に力を入れていきたい」

確かに、基礎研究の重要性よりも、それで何が出来るようになるの、しか頭になさそうな物言いだ。

文科相は以下のように述べたとされている。

「科学技術は、今後の日本の繁栄と安全に対して極めて重要な要素であり、国からのさまざまな補助・サポートについては、研究現場の声をなるべくお聞きしながら設計を進めたい」

ここでは、直接競争的資金の増額というような話かどうか分からないが、なんとなくニュアンスは伝わってくる。「研究現場の声をなるべくお聞きしながら設計を進めたい」というのが、大隅先生の先日紹介した発言(misc.ノーベル賞受賞者が科研費について述べること参照)を十分考慮して、役に立つ研究重視、というか審査者の理解の及ぶ範囲で役に立つことを求める審査方法の下にならざるをえない競争的資金と、研究機関のインフラを支える予算の付け方とを見直すことは、視野に入っているだろうか?

別に成果を出すか出さないかわからない研究者の個々人に無尽蔵に金を出せと言っているわけではない。競争的資金は、誰かの審査の下で、研究成果が上がりそうで、将来期待が持てると評価されるところにお金が落ちるものだし、それはそれで仕方がない。
問題はそういう資金ではなくて、大学や研究機関の研究環境を設備としても人件費としても支えるような予算、これが大事であって、そのインフラ部分を削るのは研究機関の能力を単純に削ぐものだし、その基礎的な予算は恒常的安定的に必要なものだから3年から5年、長くても10年計画の短期プロジェクトの予算を増額されても、代替にはならないということである。

そのことを文科相とその下の官僚たちが理解しているのか、理解した上でなお日本の科学技術の発展を損なうような基礎的な予算の削減に勤しんでいるのか、そのあたりが知りたいところだ。

科学技術担当相に至っては、次のように述べたと伝えられている。

「今後、優れた人材の育成や確保、基礎研究の推進に向けた大学などの改革、さらには研究成果の社会への展開の促進などについて、関係府省をリードして進めていきたい。どのような研究や環境が最もノーベル賞に結びついているか検証し、問題点を洗い出す。過去の論文の引用本数などを踏まえて検証したい」

毛利先生の「科学技術担当相に至っては社会に役立つかどうかわからないものにまで金を出す余裕はないという」というのが、なんとなくニュアンスとして伝わってきそうな感じではある。

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