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ヘイトスピーチにまた断罪

ヘイト賠償判決 差別への厳しさ示した

小気味良い判断だ。

在日朝鮮人の女性フリーライター(45)が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と同会の桜井誠元会長に損害賠償を求めた訴訟で大阪地裁は77万円の支払いを命じた。

 在特会は街頭やインターネットの動画サイトで女性について「朝鮮人のババア」などと発言し、ツイッターにも「鮮人記者」と書き込んでいた。判決はその一部を「在日朝鮮人に対する差別を助長、増幅させる意図があった」として違法と判断し、「公正な論評」との在特会側の主張を退けた。


Dscf2027 類似の先例は、arret:在特会のヘイトスピーチに高額賠償判決、上告容れられずでも紹介している。

この社説の中でも引用されている人種差別撤廃条約、正しくはあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約は、人種差別を以下のように定義する。

この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。

また、各締約国は「人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する」として、以下のような行為を約束している。

各締約国は、すべての適当な方法(状況により必要とされるときは、立法を含む。)により、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる。

特に人種的憎悪を助長・先導するような行為は禁止すべきとして、具体的に以下のように定める。

(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。

日本で行われているヘイトスピーチデモは、上記の判決の一部にも現れているように、明らかにこれらの条約の規定に違反し、国として抑制し、犯罪として処罰すべき内容である。

ヘイトスピーチに限らず、日本人を強調する思想、日本国籍を取得してもなお同等には扱おうとしない態度など、排外主義的な活動はそこかしこに見え隠れする。
蓮舫民進党代表に対する二重国籍批判というのも、結局、この排外主義的な思想に根ざしているものであった。

まあ、今後、日本の人口減少・働き手の減少に伴い、否応なく外国人の助けを必要とするようになるし、研修生という名の奴隷まがいの制度もいつまでも続くものではない。
日本で暮らす外国人や外国出身者、その子孫に対する差別と偏見を露わにしていながら、外国人観光客やオリンピック等での訪日外国人だけ「お・も・て・な・し」なんて都合の良いことはできるものではない。
日本社会の多様性は否応なく進行するし、そのときに改めて、差別心と戦う苦しみを味わう必要も出てくるし、差別との戦いは諸外国を見ても永遠に続くと言っても良い。

でも今は、ヘイトスピーチの賠償判決や差別禁止の条約等を通じて、差別とは何なのか、日本人は内なる多様性をどう受け入れていくべきか、各自が考えて行動する時期ということであろう。

なお、法規制について、具体的に刑事罰を伴うような立法をしようとすると変なことになる恐れがあるというのは、misc:ヘイトスピーチと法規制・雑感でも書いたとおり。状況は今でも変わっていない。司法の賢慮に期待せざるを得ない状況である。こういうときこそ、多数民主政から独立した司法の存在意義が示されるというものである。

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