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産経新聞の首相公選論

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 msn産経ニュースの「from Editor」というコーナーで、6月初めに大野敏明編集委員が菅内閣退陣論に関連して首相公選制を呼びかけていることを最近知った。
首相は国民が選ぼう
2011.6.1 07:38

 西岡武夫参院議長が、菅直人首相に退陣要求を突き付けた。先々週のことである。西岡氏は議長のため、党籍を離れているが、本来は民主党員である。西岡氏以外の民主党員からも退陣要求が出たり、離党して、不信任案に賛成するといった議員が出るなど、菅さんも自分の党からの造反にあい、つらい立場だろう。

 参院は衆院とならぶ立法府である。その立法府の長が、行政府の長に「辞めろ」と言ったのだから、すさまじい話ではある。西岡氏の退陣要求に対して、自民党など野党は拍手喝采だが、当然のことながら、民主党執行部は苦り切っている。その中で、こんな議論があった。

 「立法府の長が、行政府の長に退陣を要求するのは、三権分立の思想からいかがなものか」というのである。三権分立は立法府、行政府、司法府がそれぞれ対等に独立していて、相互に干渉されないことを前提としている。

 私はこの議論を聞いて、首をひねってしまった。行政府の長である菅首相は衆院議員なのである。なぜ、立法府の議員が首相という、行政府の長をしているのだろうかと。日本国憲法第67条には、首相は国会議員の中から選ぶと規定されている。また、同第68条には、国務大臣の過半数は国会議員でなくてはならない、とされている。要するに、日本国憲法は行政府のトップ集団を立法府から選ぶことを規定しているのである。われわれは小学校で三権分立は民主主義の根幹と教えられた。だが、民主憲法の規定は三権分立に反することを定めている。これは矛盾ではないか。

 戦前、日本の首相は元老や重臣によって選ばれ、天皇から任命された。国民も議員も首相を選べなかった。このためGHQ(連合国軍総司令部)が国会議員から選ぶように憲法に規定したのである。

 ところが、憲法を押し付けた米国の大統領は国会議員ではない。国民の直接投票で選ばれている。

 いま、多くの国民が菅政権に大きな不安感を抱いている。辞めてほしいと思っている人も多い。しかし、菅首相を選んだのはわれわれ国民ではない。選挙で彼に投票した東京18区の選挙民は、立法府の議員として彼を選んだのにすぎないのである。国民が政治に責任をもつためにも、憲法を改正して首相を直接選べるようにすべきではないだろうか。大臣と議員の重任もやめた方がいい。真の三権分立のためにも。(編集委員 大野敏明)
「三権分立は立法府、行政府、司法府がそれぞれ対等に独立していて、相互に干渉されないことを前提としている。」

 私はこの箇所を読んで「首をひねってしまった」。

 三権分立とは三権が独立していて、相互に干渉することを前提とした制度である。

 立法府、行政府、司法府が独立することにより権力の集中を防ぐとともに、相互に干渉し合うことにより各権力の行き過ぎをも防ぐとされている。

 国会は首相を指名し、また衆議院は内閣不信任を議決できる。そして法案の審議や国政調査権の行使により内閣を監視する。これに対して内閣は衆議院の解散権を有し、また国会を召集できる。こんなことはわざわざ説明するまでもあるまい。
 大野は小学校で何を習ったのだろうか。

 それはさておき、大野の言うとおり、たしかにわが国では立法府の議員が行政府の長(首相)を務めている。

 しかしこれは、いわゆる議院内閣制であり、議会政治の元祖である英国をはじめ、ドイツ、ベルギー、オランダ、スペインといった民主制の国々で広く採用されている政治体制だ。

 フランスは大統領を国民の直接選挙で選ぶが、首相は下院の多数派から選出される。

 大野が矛盾を感じるのは自然だが、首相を指名するのは国会なのだし、首相の暴走に対しては衆議院が内閣不信任を決議することができる。一方内閣には衆議院の解散権があるのだから、三権分立に反しているとは言えない。
 ところが、憲法を押し付けた米国の大統領は国会議員ではない。国民の直接投票で選ばれている。
 それはそうだが、大統領は単なる行政府の長ではない。国家元首、すなわち国家の顔でもある。

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