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ウエルスファーゴ銀行はグラインド・ハウス(深夜興行映画館)

著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が永久保有銘柄に指定している米国の優良銀行ウエルス・ファーゴが一部の従業員による不正口座開設事件で大問題に直面していることはご存知のとおり。

同行は米政府と協議して、1億8500万ドルの罰金を消費者金融保護局に支払い、顧客5百万ドルの損害賠償金を支払うことで決着をつけた。

不正に開設された口座数は2百万件で、口座開設に携わったとされる従業員5,300人が解雇された。解雇されたのは人の大部分は下級の職員(現場の職員)だった。

同行のCEO・ジョン・スタンプ氏は先月29日に上院の金融サービス委員会で「間違ったセールス活動は我々の中核としている原則・倫理・文化に反している」「当行は顧客が望んでいない商品やサービスを提供するように指示したことは決してない」と証言した。

だがそれは真実なのだろうか?

米国のラジオネットワークNRPが同行の(元)従業員たちから集めた声を報じていた。

それはスタンプCEOを証言とは真逆のもので、ウエルス・ファーゴの基本は理由なきクロス・セルだった。クロスセルとは、顧客に関連する商品を販売することで、それ自体は悪いことではない。問題は顧客のニーズを超えて、強引にクロスセルを仕掛けたことにある。さらにはそのようなクロスセルをしないと達成できないようなノルマを現場従業員に課したことにある。

2007年に入社した女性の元従業員は「最低でも1日8つの金融商品を販売することが目標として与えられ」「販売強化月間には20もの金融商品の販売を強要された」と述べている。

目標を達成できない従業員は「指導」のために呼び出され、上司から目標を達成できないと君はチームプレーヤーとみなされないから首になるだろう。そしてそれは永久に君の職歴に残ると脅かされた。

日本より転職機会に恵まれている米国だが、職歴は極めて重要だ。つまり新しい就職希望先で面接を受ける時、多くの場合、前の職場に勤務状況を照会するが、その時業績不振で首になったと言われるとまず採用の可能性がないからだ。

この状態について別の従業員はIt was a grind-houseだったと述べている。Grind-houseはオールナイト興行の映画館や休日なしの安ストリップ劇場という意味だ。現在日本で流行っている言葉でいえばブラック企業状態だろう。

同行で解雇された従業員は5,300名。数からいうと日本の地銀2行分の従業員数だが、ウエルスファーゴ全体では2%に過ぎない。

2%の下級職員が首になっただけで済む問題なのだろうか?それとももっと大きな問題になるのだろうか?

それは分からない。

分かっていることはただ一つ。それはそれほど無理な販売を行わないと優良銀行になれなかったということだ。

別の見方をすれば、大半の銀行が本当は消費者のニーズに合っていないものを自分たちの利益のために販売している可能性が高いということである。洋の東西を問わずに、だ。

賢い消費者になるには、まず金融機関の窓口に近づかないことである。ほとんどの手続きはネットで済む時代なのだから。

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