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「ハドソン川の奇跡」と「ダイビング・ベル セウォル号の真実」から学ぶ努力の重要性

このところ、立て続けに水難事故に関する映画を観た。「ハドソン河の奇跡」と「ダイビング・ベル セウォル号の真実」だ。

ともに近年実際に起きた事件を元に製作された映画だが、かたや劇映画、かたやドキュメンタリーである。映画の趣も主張も全く異なるし、船と飛行機では事故の性質も違う。両作品を比較してどうかというつもりもない。だが、同時期にこれらの作品を鑑賞して、それぞれの事故における人間たちの行動はどちらも人間とはどんなものであるのか知る上でとても良いものであると思った。努力は報われるのか否か、という点において両作品はとてもためになる教訓が引き出せる。しかも命が関わる重大な局面であるから、なおさら切実だ。

ハドソン河の奇跡」では、機長の見事な判断でハドソン川への不時着水を成し遂げた。しかし、賞賛されるべき機長の見事な判断は、シミュレーションによると空港に引き返せたはずの状況で、川への着水はむしろ乗客の命を危険にさらす行為だとの疑いが向けられる。映画では最後にそのシミュレーションの結果は退けられ、機長の判断が正しかったことが証明される。
だが、もしあの事故で一人でも人命が失われていたら、機長の判断はどのように世間では扱われたのだろう、と想像すると空恐ろしくなる。
おそらく事故調査委員会のシミュレーション結果は大体的に報じられるのだろう。引き返すという当然あるべき判断を独断で覆し、乗客を殺したと言われるかもしれない。さらに機長はエンジン停止時のマニュアルのいくつかを飛ばして、川への着水を試みている。結果的にはその判断をも含めて正しかったのだが、犠牲者が出ていれば独断専行の批判は免れなかっただろう。当日視界良好で、川にすぐに救助に駆けつけられる船が多かったことなど、機長の腕だけではどうしようもない幸運も重なっている。たしかにあの事故で一人も死者が出なかったことは奇跡的なことなのだろう。

しかし、「ハドソン河の奇跡」での機長らの努力に意味はなく、ほとんどが偶然による奇跡などと言い切れるものではない。機長は着水の最後の最後までベストな角度で少しでも安全に着水できるよう、ギリギリまで努力し続けていたし、着水後の乗客の誘導誘導、寒さ対策までも最後まで徹底して行っている。努力しても天候などの条件が重ならなければ文字通り水の泡だったのかもしれない。だが、最後までやり抜いたからこそ奇跡は起きた。そして奇跡が起きた後、自分の判断が正しかったことの証明するための努力も機長は悩みながらも欠かすことはなかった。

最近、努力すれば報われると考えている人が減っているとの記事が話題になったことがあった。
【悲報】「努力をすれば報われる社会」と思っている人は僅か15%  ネット民「氷河期世代なんかずっとしんどいぞ」

たしかに努力で全て決まるわけではないのは世の中の常だ。しかし、最初からあきらめていれば当然報われることはない。

「努力は報われない」のではなく、「努力をしたからといって報われるとは限らない」ということだと思います。かといって、努力をしないと時間がたてばたつほど必ず負けてしまいます。
投資は「勝つ」より「負けない」銘柄(藤野英人) |マネー研究所|NIKKEI STYLE

韓国のセウォル号の水没事故では、船長は乗客を助ける努力を最初から放棄していた。そもそも過積載で安全に航行する努力を会社全体で放棄していたふしもある。命を救うためには72時間以内の迅速な救助活動が鍵であったにも関わらず、海洋警察も政府も失態を隠そうと、努力の方向もシカトも間違えていた。そのために現場では多くの混乱が生まれ、救えたはずの命を落とすことになった。そもそもセウォル号が事故を起こした当日は、波も高くなく目立った暗礁もなく、視界も良好だった。そうした日にも事故をおこしてしまったのは、船員と船会社が事故を回避する努力を怠ったからだろう。

努力しても必ず生還できるわけではない。しかし、両映画を見ると、奇跡の生還と悲惨な悲劇を分けたのは、やはり努力だったのだと思わずにはいられない。努力しても成功するとは限らないが、努力しない先に、良き未来はないのだ。

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