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日弁連 死刑制度廃止を宣言へ 反対派の主張に道理はない

 日弁連は10月6日、7日に開催される人権大会(開催地、福井市)で死刑廃止宣言を行う予定になっています。

 予定というと正確ではなく、宣言案が提案され、参加者の議決のもとで採択されるということになります。日弁連理事会では既に承認された提案内容になっています。

 私も宣言案自体は読みましたが、この内容に賛成です。

 ようやく日弁連も死刑廃止を宣言するに至ることは法律家団体として、在野法曹としての役割を果たす上でも不可欠のものでした。

 これまでは死刑執行の凍結を訴えるのが日弁連のスタンスでしたが、この宣言によって大きな一歩を踏み出すことになります。

 時間が掛かったとはいえ、大きな一歩です。

 死刑制度は、えん罪であった場合には取り返しの付かない刑罰であるというだけでなく、死刑が国家権力によって行使されるのは国民支配の道具としても利用されるものであり、死刑廃止は民主制国家の最低限の歯止めとも言えます。

 トルコでは先般、軍によるクーデター未遂事件が起きましたが、廃止していた死刑を復活させるなどというのは強権政治の象徴でもありました。

 日本でも治安維持法による死刑が思い起こされますが(但し、国内においては先例なし)、戦後も国家秘密法案(廃案)には法定刑に死刑も規定されました。遠い過去の話ではないのです。

石破茂自民党幹事長 待っているのは徴兵制と死刑!

アムネスティホームページより。2015年の死刑執行国は、もはや少数だ。
死刑執行2015

 ところで、これに対し、犯罪被害者を支援する弁護士グループから反対が表明されています。
日弁連・死刑廃止宣言は「思想・良心の自由を侵害」弁護士グループが反対表明」(弁護士ドットコム)
「山田廣弁護士は、「死刑の存置や廃止の考え方は、弁護士個人の死生観、人生観など内面に深く関わる問題で、弁護士の業務とは無関係だ」として、「(日弁連の宣言は)個々の弁護士の思想・良心の自由を侵害し、強制加入団体の決めることができる範囲を逸脱している」と批判した。」

 強制加入団体だからできないという理由はもはや使い古された論理でしかなく、何の説得力もありません。
 安保関連法制に反対する弁護士会の声明、運動に対しても、推進する側から反対が表明されましたが、会としての意思表明であり、在野法曹としての責務に基づくものであって、このような批判は的外れです。

「人権擁護大会が行われる福井市で犯罪被害者支援の活動をしている川上賢正弁護士は、「(廃止宣言によって)弁護士はみんな死刑制度廃止に賛成だと市民から思われるようになる。それは耐えられないことだ」と危機感を示した。その上で、「死刑制度を廃止するか、存置するかは、弁護士が口にだしていうべきではない。国民それぞれが決めるべき問題だ」と訴えた。」(前掲弁護士ドットコム)

 これも会としての意思表示であり、個々の会員が賛成することを縛るものでもなければ、そのように見なされるものでもありません。問題点をすり替えてはいけません。

 弁護士が口に出して言うべきでないというのであれば、あなたも黙って下さい、というべきレベルのものでしかない暴論です。

 国民が決めるというのも最終的には、国会の議決に基づくものという意味以上のものはなく、それに向けて政策提言をしてはいけないということは導かれません。民主主義のイロハも知らないのでしょう。

 犯罪被害者問題になるとこれを支援する弁護士たちは、途端に感情的になるのですが、法曹としての対応が求められているのであって、生の感情を法制度にそのまま流入させてどうするのですか。

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