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全自動運転時代のクルマの価値 「運転しにくい車」が売れる?

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昨日(10月2日)の日経「春秋」が面白かった。クルマに関するコラムだった。書き手は、最近、真っ赤なスポーツカーを買ったとか。しかもマニュアル。もうすぐ定年を迎える彼は、販売員から「いや、僕が売った顧客のなかで、いちばん若いと思います」と言われたという。

コラムはこんな一文で終わる。

同僚と今後のヒット商品の品定めをした際、最も支持を集めたのは自動運転車だったが、自分の予想は「運転しにくい車」である。某自動車メーカーのトップは自動運転が実は大嫌いだそうだ。


なるほど。

商品やサービスの価値について考えてみよう。ここ数日、久々に会う友人とも、家族とも「変化」について語り合った。語る領域は、世界や国家といった大きな枠組みや、格差の話から、「話題のスマホ」や楽器まで実に幅広かったのだが。言うまでもなく、テクノロジーの変化・進化は著しい。しかし、その時に、提供される価値とは何だろう。

全自動運転車が実用化された時に、逆に私たちが手にするのは「駆け抜ける喜び」ではなく「移動」というプリミティブな価値ではないか。もちろん、それは「手間のかからない移動」であり、「技術萌え」するのかもしれないのだけれども。そのうち「えっ、君んちはまだ人間が運転しているの?危ないなあ」と言われそうだが。

働き方評論家として、「機械との競争」に関する取材を受けることがぼちぼち増えている。先日は労組の機関誌からも取材を受けた。そういえば、次号の『POSSE』はAI特集らしい。労働運動に関わる者として、これらのものは「踏み絵」である。広義の「機械」に「仕事が奪われる」というホラーストーリーもメディアではウケるが、逆に「仕事を奪って頂く」道も模索できないだろうか。時代は「働き方改革」の大合唱であるが、この「いかに働かないか」という視点が社会には必要だ。人間は「消費者」であるがゆえに生かして頂けるという視点も。

極限まで便利になってしまったあとには前出のコラムが提示したように、「使いにくいもの」「面倒くさいもの」に一定のニーズが生まれる。「土鍋ごはん」「レコード鑑賞」などが流行っていることはそういうことなのだろう。テクノロジーが創る未来に希望を持ちつつも、ハンドルを握る喜びを手放すまいと思いつつ、運転席に座り、今日も駆け抜ける。

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