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日銀は長期金利(国債価格)を操作できるのか

日銀は9月21日の金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と名付けられた金融政策の新しい枠組みの導入を決めた。これは長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで資金供給拡大を継続する「オーバーシュート型コミットメント」が柱となる。

 日銀が量的・質的緩和政策を2013年4月に決定した際、「量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更」するとした。今回の日銀の枠組み変更で「金融市場調節方針は、長短金利の操作についての方針を示すこととする」とあり、これから日銀の操作目標は長短金利となる。つまり量から金利に戻ったことになる。

 日銀は従来、「期間が長い金利の形成は、なるべく市場メカニズムに委ねることが望ましい」として長期金利の操作はできないというのが前提にあったはずである。しかし、今回日銀が長期金利、つまりそれは国債の価格ともなるが、それを金融市場調節の操作目標に置いた。これとは極めて異例である。これについて日銀の黒田総裁は9月26日の講演後の会見に次のように指摘した。

 「短期の、例えば当座預金の政策金利のマイナス0.1%は、完全にコントロールできる世界で、それが短期金利に大きな影響を与えるわけですが、長期金利の方は操作目標であって、完全にコントロールできるものではないわけです。ただ、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の経験、それから各国の量的金融緩和の経験から言っても、長期の債券を買うことによって長期の金利に影響を与えられることは分っているわけですし、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとで、イールドカーブに非常に大きな影響を与えられたということも、その通りです」

 長期金利は目標に据えたものの、完全にコントロールできるものではないとしており、これはつまり今回の長期金利の誘導目標のゼロ%というのは、かなりの幅を持ったものと言えよう。ただし、日銀は量的・質的緩和によりイールドカーブを引き下げ、マイナス金利政策によりさらに大きく引き下げられたことで、イールドカーブ操作に自信を持ったことも確かではなかろうか。

 日銀は長期金利が上昇した場合などには、例えば10年金利、20年金利を対象とした指値オペを実施する用意があるとしている。固定利回り方式による国債買入の場合には、買入予定総額に上限を設定しないことがあるともしている。長期金利が大きく上昇するような場合には、それを日銀は無制限の国債買入で押さえ込むことも予想される。

 いまのところ長期金利が大きく動くことは考えづらい。上昇よりも低下していく可能性を意識していた方が良いかも知れない。しかし、何かのきっかけで長期金利が大きく上昇した際には無制限の買入でそれを阻止できるのかは疑問である。

 日銀は本来コントロールはできないとしていたものを操作目標に置いた。これはあらためて国債市場に対する挑戦とも言えよう。果たして国債市場はいつまで素直に日銀に従っていくのか。これは時間とともにさらに国債の流動性を低下させることにもなりかねず、いずれその反動が起きることもありうる。日本の国債市場は新たな局面を迎えつつある。

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